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咲柔館課外授業②~ネパールで柔道を広め続ける理由~

 10月2日(土)、ネパールで柔道普及に尽力されている古屋祐輔さんが、咲柔館に来て下さいました。古屋さんは、20代前半の頃ネパールに行き、孤児院で柔道をする子どもたちに心動かされ、それ以来約10年間ネパールで柔道普及に努めています。その活動は、テレビ番組「世界の村で発見!こんな所に日本人」(朝日放送テレビ)でも紹介されました。
 コロナ禍の影響もあり、昨年の12月に帰国され、今月末にはネパールに戻られるそうです。残り滞在期間がわずかな中、咲柔館に来て下さり、本当に感謝しています。


 
 古屋さんは、咲柔館の子どもたちにネパールの文化や柔道について詳しく教えて下さいました。
 ネパールでは、柔道場の数こそ少ないものの、その教育的価値が高く評価され、柔道を教える孤児院やろう学校もあります。多くの道場で嘉納治五郎師範の写真が掲げられており、ネパールの柔道家は嘉納師範を「神様」と考えているそうです。毎年10月28日には、嘉納師範の生誕祭が盛大に行われ、大きな誕生日ケーキを作り、パレードを行うほど、人々に尊敬されています。

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 「標高3790mへ届け!畳と笑顔!」と題し、昨年11月にNPO法人JUDOs様が、エベレストの学校へ畳と柔道衣を寄贈したニュースをご覧になった方も多いのではないでしょうか。もちろん、古屋さんもヘリで畳と柔道衣が届いた瞬間に立ち会っています。その時の様子(JUDOs様作製動画)も子どもたちと一緒に見ました。エベレスト柔道クラブのカジ先生は、その中でこう語っています。

「エベレスト地域にとって柔道は大切なんです。なぜなら柔道の大切な哲学と、私たちシェルパ民族の哲学や文化は似ているのです。エベレストで柔道をやる子どもたちに8つの柔道の哲学を教えたい。礼儀・勇気・友情・誠意・道義心・謙遜・尊敬・自制心です。」

「エベレスト地域に柔道クラブができたのは2016年でした。柔道がエベレスト地域で初めての公式なスポーツでした。それまでエベレストにスポーツはありませんでした。今でも(大会があるような)スポーツは柔道以外にはないです。だからエベレストで生活をしている子どもたちは柔道がとっても魅力的なんです。そして、子どもたちだけではなくて、両親や村人も喜んでいます。村人皆が柔道について知っているんです。そして、エベレストの子どもたちが大きくなった時、『世界一高い柔道大会』を必ず作ります。オリンピックや世界選手権と同じような「新しい柔道大会」を開催します。その大会でエベレストの子どもたちが金メダルを取るのが夢です。」

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 咲柔館の子ども達は、ネパールの柔道にとても興味を持ったようで、質問をする場面も多くありました。自分が習っている柔道の価値を再確認すると共に、世界へと視野を広げる良いきっかけになったと思います。
 あるお子さんは、帰りがけに、「また日本に来てね。」と古屋さんに言い、古屋さんは笑顔で「君もいつかネパールに来てね。」と返してくれました。日本とネパールの距離は約5000㎞ですが、柔道場で共に過ごした時間によって、その距離は一気に縮まったようです。

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 古屋さんは、私の「なぜネパールで柔道を広め続けるのですか。」という質問に対してこう答えました。
 「私は何かをする時、これが『誰かの役にたっているか』と常に考えます。」
 自分の「損得」ではなく、「誰かの役にたつかどうか」を基準に行動されている古屋さんだからこそ、こうした活動が実を結んでいくのだと思います。古屋さんは、「自分は裏方での役割でして、ネパールの人たちが頑張っていることが多くの人に伝わってほしいです。」とおっしゃっていました。
 実は古屋さんは、柔道をやったことがありません。ネパールの道場にいる時も、普段着でニコニコしています。ただ、古屋さんの心と行動は、「精力善用」「自他共栄」そのものです。ネパールにこんなかっこいい日本人がいることを誇りに思います。古屋さん、咲柔館に来て下さり本当にありがとうございました。これからも交流を続け、柔道のすばらしさを一緒に広めていきましょう。
 これからも文武一道塾 咲柔館では、お子さんたちの心に響く課外授業を行っていきます。


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