太陽と朝顔
ちょうど一年前、我が家の下にも赤紙が届いた。
そう。今日みたいに真夏の太陽がギンギンに輝いていた日だった。
まだ、十六の若さで一つ上の兄は国のために戦場へと向かった。
お父さんは体が弱く、母と兄の四人家族だった。
幸いにも父の下には、お国からの招集はかからなかったがとうとう我が家にもこの憎たらしい真っ赤に染まった紙切れが来たかと思った。
母は兄を送り出す時こそ「自慢の息子」と言って送り出していたが、
兄の姿が見えなくなっていってからはずっと家族四人の写真を見て泣いていた。
どれくらい泣いていたかは覚えていないが、ずっとだ。
本当にずっと。
父はそんな母を見て一切口を開かなかった。
必ず生きて帰ると兄と約束したが、未だに兄の安否は定かではない。
日本の戦況はよくないらしい。
噂によると、一部では特攻作戦という戦闘機に乗り敵戦艦へと身投げする作戦が始まっているらしい。
もうやけくそだ。
どうにか、兄には生きててほしい。
そんなこんなで、兄が出兵してから一年が経過したわけだが、今日も一年前と変わらず太陽が輝いている。
皮肉なものだ。こんなに天気がいいなんてな。
熱い。
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