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LayerXのHR事例を集めてみた

LayerXさんの採用人事の取り組み事例を集めてみました。人事採用事で悩んでいるスタートアップ・ベンチャー企業のHR担当さんのお役に立てれば嬉しいです。


候補者体験(認知):潜在転職者層へのアプローチは"種まき"から

  1. Twitterでペルソナになりそうな人をフォローする

    1. 純粋でアニマルな学習の習慣として、メッセージを送るアクション以前の手前段階の情報収集。

  2. "種まき"としてYOUTRUSTでメッセージを送る

    1. Twitterで相互フォローできるとYOUTRUST上に友達候補として上がってくる。

    2. 種を蒔いておく気持ちでメッセージを送る。転職する気が全くない人でも、いざ転職を考え始めたら絶対にその送ってくれたスカウトを思い出してくれるため。

    3. 少し時間が経った時に「最近はどうですか?」と送ってみる。それだけでも採用の意思表示として相手に届く。

LayerXの採用や社内エンゲージメント向上に関する事例をまとめてみました。採用・人事ごとでお悩みのスタートアップ・ベンチャー人事担当の方は、ぜひLayerXさんの取り組み事例を参考にしてみてください。

全社採用:現場メンバーが一緒に働きたい人を口説きに行く文化をつくることが重要

自社にマッチした人材を採用するための、現場を巻き込んだ「全社採用」の裏側。採用は全社の重要課題であり、全社を巻き込んだ採用活動の推進には、現場との共通認識の形成、モメンタムの作り上げ、人事の基盤づくりが不可欠である

  1. 全社採用により、実際の配属現場を絡めることで、候補者と現場の認識のズレを防ぎ、双方にとってWin-Winな採用活動が可能。

    • 全社採用を成功させるためには、関わるメンバー全員が共通認識を持ち、モメンタムを作り上げることが必要。

  2. LayerXでは朝会と夕会を通じて採用の進捗状況を共有し、採用定例を実施している。

    • 採用定例では、「進捗確認だけで採用定例が終わってしまう」ことがないように、将来の組織の姿や課題、他社の事例などについて話し合う。

    • 最終フェーズの候補者の確認は採用定例でも行っている。あと、細かい確認はHRチーム内と経営会議でも実施。

  3. 現場メンバーが一緒に働きたい人を口説きに行く文化をつくることが重要であり、採用基準のすり合わせには現場メンバーとの意見共有が効果的。

    • LayerXでは新しい施策に積極的に取り組み、「NoじゃなきゃGo」の考え方を持っている。

  4. フロー施策とストック施策のバランスが重要であり、中長期的な目線でのブランド構築やマーケット情報の把握にも取り組む。

    1. フロー施策はとにかく働いた気にはなるが、それだけをやっていても忙しくなる。だからこそ「2年後を楽にするために今何をしておいたほうが良いんだっけ?」という中長期の目線(ストック施策)を持つことが大事。

    2. ストック施策を進めていくためのポイントとして、先にブランドをつくっておくことで、後の採用は楽になると思うようにすること。例えば「5年間で1億円の採用予算があったときに、毎年2,000万円使うより、最初の1年で8,000万円使って残り500万ずつを4年で使うほうが効果的だよね。」といったイメージ。

    3. 人事が「誰よりもマーケットに詳しい状態をつくる」ということは非常に大事。例えば「この職種であれば今の市場はこうなっている」や、「このポジションは競合の会社はこれくらいの給与を出している」など。社内の古い情報を、積極的にアップデートしていくことが人事の役割。

  5. 自社のスタンスを明確にし、独自の施策を展開することが重要。

社内エンゲージメント:2つの自律型人材の育成論

  1. ミッションとバリューを定着させる

    1. ミッション:向かう方向性を定める

    2. バリュー:意思決定基準を揃える

  2. Expectation Alignment(EA)

    1. 最初に期待値をちゃんと合わせて、その後もズレてないかというのを継続して確認し続ける

1.ミッションとバリューを定着させるためには?

自律型人材を輩出する、もしくは成長する、もしくは行動が制限されない組織を作る。

「そもそもうちの組織ってなんだっけ?」を考えることから始める。

出典元:https://logmi.jp/business/articles/324489

ミッション・バリューは、スタートアップ型企業のフレームワーク化している。スタートアップ型を言い換えると、デジタル組織「少人数の自律した人材が立ち上げていく組織」である。

下記はBASE(左)とLayerXのミッションとバリュー。

出典元:https://logmi.jp/business/articles/324489

ミッションは「会社の向かう方向」、バリューは「行動指針であり判断の軸」であるがミッションやバリューからズレた意思決定をすると“しらけ”が生まれてしまう。

"しらけ"を例えると、行動指針とは異なる行動をしたことを「それ、やめてよ」って言われると、個人からすると「いや、せっかく組織のためにと思ってやったのに、なんか頭ごなしに否定されてつらい」ってなってしまうこと。

"しらけ"を生じさせないためには、一貫した意思決定と信念に基づいた行動が必要。意思決定基準としてあれば、社員は自律して行動できる。その意思決定基準こそがミッション・バリューであり、組織OSとして成り立っている。

2.自律型人材が活躍する組織を作るには?

Expectation Alignment(期待値を合わせる)が重要。

実体験として、役員からマネージャー(石黒さん)へのフィードバックをメンバーへ開示した。このように情報の透明化の一つとして、FB内容を透明化することで、メンバーが自律して動くようになった。

会社から石黒さんへの期待値を開示することで、メンバーも「なるほど。石黒さんはこういう期待値を受けていたんですね。だったら俺たちはこれをやればいいんですね」と、やるべきことが明確になる。

あとは、Employee Experience(従業員体験)を高めるために「パフォーマンスが低くeNPSが高い人材」ではなく「パフォーマンスが高くeNPSが低い人材」にフォーカスしてeNPSを上げることに注力した。

社内エンゲージメント:インナーコミュニケーションを強化する3つのこと

LayerXは、5つの行動指針の中の1つである「Trustful Team(トラストフル・チーム)」を体現するうえで、自然とインナーコミュニケーションが強化されている。インナーコミュニケーションは組織成長を加速させるための1つの足掛かりである。

「Trustful Team」とは、各自がプロフェッショナルとして、時にはシビアな判断も含め、実行するチームを目指す。そのためにも、おたがいを信頼し、透明性のあるコミュニケーションを徹底すること、と定義されている。

出典元:https://ourly.jp/interview-layerx/

「ちゃんと物事が決まった背景やプロセスをテキストにまとめて共有していこう! 」と改めて意識付けされ、よりドキュメント文化は重視されるようになった。

1.インナーコミュニケーション活性化を目的にHRチームが実施している施策

  • マネージャーのオフサイトミーティングを実施し、マネージャー同士が集まって各部署の課題感やLayerXのマネージャーとは何かをすりあわせる場を設ける

    • 目的は、グループディスカッションやワークショップを通して、横のチームがどのようなことに課題を持ち、どのように考えて動いているのかなどを話し合うことで、より透明性の担保を強化していくこと。

  • 週1回複数のチームからの週報

    • 目的は、ボトムアップを通じて、横のつながりを増やしインナーコミュニケーションを活発化させること。内容としては自分たちのチームにどんな人が所属していて、どういう役割・仕事をしているのか、自分たちのチームが何に課題を感じていて、何に取り組んでいるのかなどをNotionでまとめている。

2.ボード陣と従業員間のコミュニケーションハードルを低くする

  • 新入社員や新入インターンは、入社後に必ず経営陣とランチをしている。

    • 目的は、入社してすぐの社員は代表の福島、CTOの松本に対して、「すごい人」というイメージを払拭させること。

    • また、毎週月曜日に30分間の全社定例を実施。前半の10分ほどで福島さん、松本さんから毎週交互に、事業と組織で意識していきたいことなどを共有する時間をとっている。

3.メンバー間のコミュニケーションを加速させる工夫

  • 1on1は、同じ部署、上司、チーム内だけでなく、別の部署、チームの人とも1on1をしてもよいというアナウンスをHRから定期的にしている。

    • 目的は、相互理解や信頼醸成を深めてもらうこと。

  • 社員名簿(簡素な自己紹介ページ)と深い自己紹介といった各々の自己紹介を入社時にNotionに記載している。

    • 目的は、自己紹介にある内容をベースにお互いの共通点を探り、相手のバックグラウンドをある程度理解したうえでのコミュニケーションをとるため。

人事組織:"ひとり人事"が抱える採用戦略・キャリアの悩みと解決策

ひとり人事が抱える2つの悩みは「採用戦略の難しさ」「キャリア」である。

  1.  採用戦略の難しさ

    1. 創業者や経営チームのビジョンやストーリーを理解しないと、同じ目線や熱量で採用戦略を考えることは難しい。

    2. 人事担当者だけに採用戦略を丸投げされても、採用競争の激しい現代ではうまくいかない。

  2. キャリアに関する悩み

    1. スタートアップのひとり人事は採用業務がメインになることが多い。

    2. CEOやCFOに相談することができない場合が多く、採用プラットフォームの選定や実務に関する知識に差がある。

    3. メンター不在な状況で同じ悩みを持つ仲間を探すためにTwitterなどでつながりを求めるが、本質的な課題解決にはならない。

1.採用戦略の難しさに対する解決策

  • 経営チームを巻き込み、採用の解像度を上げるためには、経営チームと同じ目線・熱量で採用戦略を立てることが重要。経営チームが採用の重要性を認識し、人事のリソースをサポートする姿勢を示すことも必要。

  • また、経営陣との信頼関係を築くためには積極的なコミュニケーションを行い、経営チームのビジョンや考え方を理解し、日々の取り組みで経営チームの小さな変化にも気づくことが重要。経営チームとの信頼関係を築くためには、常にコミュニケーションを重ねることが必要。

2.キャリアの悩みに対する解決策

  • 採用、HRBP、育成・評価、労務などの道に進むかを検討し、「自分の得意なものは何か」「次に得たい経験は何か」に向き合い、会社の成長に貢献したいキャリアパスを決めておくことが重要。

  • また、自分のチームの採用に力を入れていく際には、自分よりも優秀な人材を採用することが鉄則。つい自分が体調を崩すギリギリのところで「もう1人採用したい」という話が出がちだが、もっと早い段階で動きだし、なんなら募集要項をつくっておくぐらいがちょうど良い。

  • 予算的に難しい場合は、営業や広報と兼任するプランも検討できる。先手先手で動き、自身のキャリアを描くことが重要。




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