「発達障害」の表現に思うこと

「障害」の表現については今までにかなり議論されて話題にもなった。

「害」の漢字自体がネガティブな意味を持つ上に、「気分を害する」のように他動詞的に使われるため、「障害」がある人に問題があるように受け取れてしまうからだ。


かといって「障がい」「障碍」と表記したところで本質的に変わらないと思うが、そこを踏まえた上で違和感を覚えるのが「発達障害」という表現。



一当事者として言うと、正直しっくり来てない。


この違和感はどこから来るのだろうか?


「発達」「障害」の意味を改めて辞書で調べる

(本当はいくつかの辞書を引きたいところだけど、手元にないのでご勘弁。)

はっ‐たつ【発達】 の解説
[名](スル)
1 からだ・精神などが成長して、より完全な形態や機能をもつようになること。「心身が発達する」
2 そのものの機能がより高度に発揮されるようになること。「文明が発達する」「交通機関が発達する」
3 そのものの規模がしだいに大きくなること。「発達した低気圧」
出典:デジタル大辞泉(小学館)
しょう‐がい〔シヤウ‐〕【障害/障×碍/障×礙】 の解説
[名](スル)
1 さまたげること。また、あることをするのに、さまたげとなるものや状況。しょうげ。「旧弊が改革の―になる」「―を乗り越える」「電波―」 「立憲公議の美政を組織せんと欲せば、之を―し是を非難し」〈東海散士・佳人之奇遇〉  
2 個人的な原因や、社会的な環境により、心や身体上の機能が十分に働かず、活動に制限があること。「胃腸―」「言語―」
 3 「障害競走」の略。
 出典:デジタル大辞泉(小学館)


これを見ると「発達障害」の「発達」は意味の1、「障害」は意味の2に当たるのか。



………………



んーしっくり来ない



「発達障害」を分解すると、「発達(動名詞)+障害(名詞)」の組み合わせとなる。

そう、発達は漢語動名詞だから「発達する」とは言うけど、「障害」の上につく他の熟語はただの名詞であることがほとんど。
どう頑張っても「言語する」「身体する」「精神する」とは言わない。



ここに違和感があったのか。


四字熟語にしない場合、「発達(の)障害」と格助詞の「の」が入るわけだけど…「発達の障害」と言われても、何となくの想像はできてもピンと来ない。

まして「発達障害」の4文字に、「個人の脳の発達特性により、脳が十分に働かず、活動が制限されること」という意味を込めるのは無理があるというか、そこまで読み取るのは結構しんどい。


そもそもの「障害」の意味がネガティブだし、上に「発達」と付くと分かりづらさが加わるから、言い換えた方が良いと思うが、じゃあ適切な表現とは何かと問われると、分からない。


個人的に「脳の発達特性」がしっくり来るんだけど、市民権を得るのに時間がかかりそう。

「ニューロダイバーシティー(脳の多様性)」なる表現もあるが、多様性は個人に対して使う言葉じゃないから、別の文脈で使われるんだろうな。



「障害」という言葉も含め、適切な表現とはなんなのか、難しいと思う今日この頃でした。



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