読書感想文「世界でもっとも貧しい大統領 ホセ・ムヒカの言葉」
少し前まで、私は小売業で働いておりました。当時の私の仕事の評価は、「売上」で判断されていました。「どれだけ商品を売ったか」ということです。私が扱っている商品は、「嗜好品」と呼ばれるもので、一言で言うと、
「今の生活をちょっと良いものにする商品」
言い換えれば、
「生活するのに絶対に必要とは言えない商品」
ということになります。
そんな商品を扱い、がむしゃらに数字(売上)を追求していくなかで、先日ふと、
「お客さんに必要のない商品を無理やり買わせているんじゃないか」
という気持ちが頭をもたげてきました。
消費が加速する社会
先日読んだ、ウルグアイの元大統領ホセ・ムヒカさんの本の一節に、こんなことが書いてありました。
「消費が世の中を動かしている現代社会では、消費をひたすら早く、多くする必要がある。消費がストップすれば、不況を招くからだ。こうして世の中は、もっと売るために、もっと人々が働くために、〝使い捨ての社会〟を実現したが、この社会で生きていくには、消費し続けるしかない。そして、人々は、高価な商品やライフスタイルのために人生を放り出す――」
自分の数字を作る為に、あの手この手で商品を買わせる方法を考える…
「本当に良い商品を案内している」「お客さんの生活をちょっと良いものにしている」
そう言えなくはないと思います。
ある程度、仕事と割り切ってやらないといけないのかもしれませんが、気づいてしまった以上、この気持ちは大事にしていきたいと思います。