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休日手当から報酬設計を考える

仕事によっては休みの日でも連絡が来るっていうのは珍しくないと思います。かく言う私もその一人なのですが、現場は年中無休で動いているため、私の休日でも何かあれば業務用携帯に電話がきます。せっかくの休みなのに、いつ電話がくるか分からないとなるとなんだか休めている気がしません。

このことについて取引先と話していたら、昔は「休日対応手当」みたいなのがその会社ではあったそうです。「休日でも業務用携帯を持たせているので業務に関する問い合わせがあるかもしれない。だから手当を出しとくね」という内容だそうです。この話を聞いたときは、「うちも出してくれればいいのに」と話したのですが、今思うとちょっと違うかなと感じています。

手当が出るということは

休日の電話対応に手当がつくということは、「手当をつけるから休日でも電話が来たら対応してね」と会社が言っているようなものです。そして、電話をかける側も「あの人たちは休日の電話対応に手当が出ているから電話しても大丈夫なんだ」と認識してしまいます。これと似たような話があって、保育園のお迎えでも「規定の時間内までに迎えに来なかったら罰金」というルールを設けたら、逆に時間内に迎えに来る親が減ったそうです。これまで「保育士さんたちに迷惑がかかるから」と良心で早く迎えに来ていた人が、罰金というルールが設定されると「お金で済むんならそうする」という気持ちに変わってしまったということです。
保育園のお迎えの例を参考にすると、「休日対応手当」をつけたら今よりも休日の電話対応が増える気がします。

そもそも休日に仕事の対応をしている分のお金が欲しいかと言われるとそういうわけではありません。私の希望としては、「休日なんだからゆっくりしたい」「仕事以外のことをしたい」というのが一番です。「お金」ではなく「時間」が欲しいわけで、手当で解決できるような問題ではありません。冒頭の取引先でも、こういった理由を考慮して休日手当を無くし、「休日の電話対応はしなくてよい」というスタンスに変わったようです。

報酬設計は会社のメッセージ

この休日手当について考える中で、会社がどう報酬(インセンティブ)を設計するかで社員に会社としてのメッセージを伝えることができるなと思いました。
休日手当をつけるということは「休日でも業務の対応をしてね」というメッセージですし、営業の契約件数にインセンティブをつけるということは「たくさん契約とってきてね」というメッセージです。会社として何を重視しているのか、というのが報酬設計に表れてきます。
これから就職、または転職しようとしている人は、どういう手当があるかでその会社が何を重視しているかが分かるかもしれません。会社側としては、社是や企業理念を照らし合わせて、それを十分に伝えられる報酬設計となっているのかを見直してもいいかもしれません(年齢に関わらず能力の高い人を評価すると言っているのに、能力給の割合が年齢給より少ないとか)。
「お金」という分かりやすすぎる指標だからこそ、普段の朝礼や月次の社内誌よりも会社としてのメッセージを伝えやすいのではないかなと思いました。