読書のリスク

世の中には、読書をする意味だとかメリットを謳う本は数多くあると思いますが、その反対のデメリットを伝える本ってあんまり見たことないですよね。本好きの1人としてそのメリットに関して反論することは無いのですが、そのデメリットについても伝えなくては危険だなぁと感じることがあります。それは自分の身をもって感じたことではありますが、「本は薬にも毒にもなる」ということ。そこで、僕の思う読書のリスクについて書きたいと思います。

1.お金がかかる
本を買うにはお金がかかります。文庫で600円くらい、ハードカバーで1500円くらい。あまり大した金額ではないように思えますが、当たりハズレがあるので、自分にとってのハズレ本を買ったときはショックが大きいです。でも、図書館で借りたり、今ではKindle unlimitedなどの定額制サービスも充実しているので、前よりも金額面での負担はどんどん減ってきています。
(僕の本を買う時の工夫をまとめたnoteはこちら)

2.時間がかかる
本を読むのには時間がかかります。特に、自分に下地が無い知識に関する本だと、何を言っているのかちんぷんかんぷんで、何度も同じところを読んだりして、一向に進まず、どんどん気持ちがくじけていきます。

3.精神的な負荷が大きい
お金がかかるのも時間がかかるのも、どんな趣味にも言えることですが、僕が今回最も伝えたいことはこの3番目です。
読書のメリットで語られるように、本を読むということは、その人の人生を追体験したり、物語の登場人物たちに感情移入したりと、普段の自分では体験できないような感情を共有できることです。人の一生は短く、体験できることは限られています。それを擬似体験できる本は素晴らしいものだと思います。ですが、そこに大きな落とし穴があります。それは、疑似体験できるものが良い体験だけではない、ということ。本の中には、誰かを傷つけてしまったり、不幸な境遇に陥ってしまうものもたくさんあります。それを追体験することで、自分も不幸な気持ちになってしまい、気持ちがすごく落ち込んでしまいます。
一方、誰かの成功談や輝かしい話にも注意が必要です。本を読んでいる間は、自分もその本の主人公になったような気持ちで成功の幸せに酔いしれることができますが、本を閉じて現実に戻った時、そこにいるのは普通の生活をしている自分です。そのギャップに苦しみ、自己否定や自己嫌悪に陥ることもあります。

冒頭で述べたように、「薬にも毒にもなる」のが本です。幻冬舎社長の見城さんの著書「読書という荒野」には、このような一節があります。

本を読めば、自分の人生が生ぬるく感じるほど、苛酷な環境で戦う登場人物に出会える。そのなかで我が身を振り返り、きちんと自己検証、自己嫌悪、自己否定を繰り返すことができる。読書を通じ、情けない自分と向き合ってこそ、現実世界で戦う自己を確立できるのだ。

本が持つ毒を克服してこそ、より強い自分になれるのだと僕も思います。だけど、毒を受け止めれる体調や精神状況じゃない時には、くれぐれも注意してほしいと思います。