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修学旅行生たちに紹介した本

先日、知人から誘われて修学旅行生に自分の仕事やキャリア選択について話す機会をいただきました。

人様に話せるような立派なキャリアではないので、自分がどうやって進路選択をし就活してきたか、働いてる中でどんなことを感じているのかを話させていただきました。学生たちには「しくじり先生」的な感じで、参考にしてもらえたらすごく嬉しいです。
その中で学生たちから「これは読んでおいた方がいいという本はありますか?」と質問を受けて、そこで紹介した本をこちらでも紹介したいと思います。
(多少ネタバレもあります)

「ザ・コーチ3〜時間泥棒と賢者の時間〜」谷口貴彦

学生たちには「紹介する本がいきなり3?」みたいな反応されましたが、「3」がオススメなんです。内容は、仕事が上手くいかずに落ち込んでいたところに現れた人物のコーチングによって、どんどん人生が上向きになるというストーリーで、読みながら自分もコーチングを受けているような感覚になれるシリーズの3作目です。

今作では、ある人物のコーチングにより忙しい日々を送る主人公の元に、そのツケが来て家庭にトラブルが起き自分にとっての仕事について考え直すストーリーになっています。そこで、再びコーチングを受けることとなるのですが、その中の一文が私がこの本をオススメしたいと思った理由です。

「正解を探そうとしてはいけません。真実を探しなさい」

私たちは普段何かを選ぶときや、問題を解決しようとするときに「正解」を探そうとします。ただ全てのことに正解があるとは限りません。例えば、今回のような学生たちに進路選択について話す場合、「有名な大学・企業に行けば大丈夫」とか「公務員は安定している」とか本当にそれが正しい答えなんでしょうか。世間一般的にそう思われているからとか、みんなそう言っているからという「世間」や「みんな」に相手が当てはまるかどうかなんて分かりません。

この本では、そういう「正解だと思われていること」を探すのではなく、自分の中にある気持ちや欲求といったものを見つめなさいということを伝えています。それは世間やみんながいう正解ではなく、自分が今感じているものという紛れもない真実です。

学生たちには、世間やメディアが伝える正解(?)の生き方・働き方ではなく、自分自身が「これが自分の生き方・働き方なんだ!」と言えるものを見つけてほしい、という気持ちを込めてこの本をオススメしました。

「ブレイブ・ストーリー」宮部みゆき

とはいっても、いきなりコーチングなんて学生にはイメージつきづらいかなと思いまして、「小説ならこれ!」ということで、こちらもオススメしました。

平凡な小学生ワタルは、家庭内のトラブルにより生活が一変してしまい、運命を変えるためにその願いを叶えてくれる幻界(ヴィジョン)へと旅立つ物語。冒険モノとして主人公の成長を感じるステキな小説なんですが、オススメの理由はワタルが自分の中にある暗い感情と向き合い、それを受け止めるシーンです。

ワタルの家庭は父親の不倫相手が現れたことで、母親が精神をやられ家族がバラバラになってしまいます(しかも不倫相手は妊娠してるし)。ワタルは幻界内で、父親と不倫相手にそっくりな顔をしている家族と出会い、彼らを殺してしまいます。冒険の終盤にはその暗い感情と戦うこととなるわけですが、そこで自分が父親や不倫相手に対してどんな感情を抱いていたのかと向き合います。自分の中に無いと思っていた感情に戸惑い、目をそらし戦いますが最後にはそれを受け入れます。

人それぞれ「こんなことを思っちゃいけない」という気持ちを抱えていると思います。ワタルのように憎い相手を殺したいと心の底では思っていたり、そこまではいかなくても誰かを陥れてやりたいといったものなど、一般的には良くないと思われる感情たちです。

誰かを許せない、否定したい、拒絶したいという気持ちは誰もが持つものです。そう頭では分かってるんですけど、そんな気持ちを抱いてしまう自分が嫌いだったり、自分がそんな気持ちを持つわけがないと見て見ぬふりをしたりするものです(もちろん私も)。ですが、そういう感情も含めて自分なんですよね…だから、そういう自分が認めたくない感情を受け入れたワタルの強さというものに自分はすごく感動しました。

自分の進路を決めるときには自分のことを深く知るということが必要だと思います。学生たちには、自分が好きなこととかやりたいことだけではなく、自分の暗い感情にも向き合って、もっと自分を理解して、これからの進路を決めてほしいなぁという気持ちをこめて、こちらをオススメしました。

はたして学生たちはこれらの本を読んでくれるのでしょうか…?
連絡先とかを交換しとけば感想もらえたのかなぁと思いつつも、何かの折に手に取ってもらえて感じるものがあればそれだけで十分ですね。