「町内会2.0」を考える

自分の住む自治体で、町内会に関する条例を作ることになったそうです。
その条例に関するパブコメを募集しているとのこで、人生で初めてのパブコメを出してみました。

なんで、パブコメを出そうかと思ったのか

僕は大学時代に、サークル活動で地域の町内会活動のボランティアをしていました。それが高じて、大学の卒論も地域活性化のことについて書くなど、魅力にどっぷりハマってしまい、社会人になってからもちょくちょく活動に顔を出しています。

そんな中、たまたま町内会の条例に関するパブコメを募集すると知り、自分の知見や若者の視点から言えることもあるんじゃないかと思い、初めてパブコメを出すことにしました。

今回、パブコメを出すにあたり、自分の中で色々考えたことをここに書いておきます。
パブコメでは短い文章になってしまったり、条例として書くことではないと思い省略したことの全容です。(僕の住んでいる町内会をベースに考えたので、都会の町内会にしか当てはまらないかもしれません)

1.これまでの町内会

調べてみると、そもそも町内会は、戦時中に政府や軍が国民を統制しやすいようにご近所でグループにしたもの。
当時は配給の管理を行っており、町内会から外れること(「村八分」みたいなもの)は生活の危機を表していました。また、防諜の役割も果たしたおり、町内会内で互いに監視し合っていました。

戦争が終わると、占領軍によって、「戦争を支えていた」との理由で町内会は解体されましたが、1952年に地域組織として復活。子ども会、老人会、婦人会と連携しながら、趣味などのサークル活動やマンション建設反対の住民運動等を行うようになりました。

2.町内会って、具体的にどんな活動をしているの?

現在、町内会の活動には、以下のものがあります。(僕の住んでいる町内会の例)

・ごみステーションや街路樹の管理、花壇の花植えといった環境美化の活動
・防犯に関する取り組み
・高齢者・子どもの見守り
・防災活動
・雪かき

このように、町内会の活動内容は多岐にわたり、地域問題解決の便利屋のように機能しています。

3.現在、町内会が抱えている問題って何?

現在、問題になっているのは、「担い手不足」。特に、役員になる方の不足です。

僕が町内会に関わっていた時も人手不足が問題になっていて、定年した60代の人が町内会では若手というような状況でした。人がいなくて、地域のお祭りが無くなったり、隣の町内会と合同でやるようになったところもありました。
また、役員になる人がいなくて、町内会によっては何人にもお願いして回ったり、順番制にするという対応しているところもありました。

※「お金が足りない」という話は不思議と聞いたことがありません。学生の耳には入らなかっただけかもしれませんが。
ただ推測してみるに、町内会費は定期的に回収されて大きく変動することは無いでしょうし、町内会のイベントも例年ほぼ同じなので、収入に応じたイベント内容に洗練されているので、そういう話を聞かなかったのかもしれません。

4.行政が補完することはできないの?

このまま町内会の人不足が進めば、先述の地域活動が機能しなくなり、地域のお祭りも無くなっていくでしょう。
地方自治体が、こういう仕事を代替することはできないんだろうか…?と考えてみましたが、おそらく難しいでしょう。町内会の活動は多岐にわたっている上に、地域内の実状やネットワークに通じていないと難しいものばかりです。
また、自治体の仕事としても正直いっぱいいっぱいできめ細やかな対応を必要とする町内会の仕事に割く人員も時間も無いというのが現実ではないでしょうか。

5.労働地獄と娯楽天国

そもそも「なぜ町内会に参加する人がいないのか?」ということなんですが、僕は今日本が抱えている「働きすぎ」の問題と密接に繋がっていると考えています。
昨今「働き方改革」が叫ばれるほど、過剰な労働時間が問題視されています。これまでの歴史を振り返ると、町内会の活動は余暇の時間に行われていて、現代の働き過ぎサラリーマンは「休みはゆっくり体を休めたい」または「余暇にあてる時間なんてそもそも無い」という感じなのではないでしょうか。
(今回のパブコメには、この辺のことを書かせていただきました。)

加えて、余暇時間があっても、娯楽が溢れている現代では「町内会の活動をする」という選択肢の優先順位が圧倒的に低い(というか、そもそも選択肢に無い)ということも考えられます。町内会の人不足を解消するには、映画やスマホゲームを相手に闘わないといけない時代になっているかもしれません。

6.町内会をアップデートする

最近流行りの「○○2.0」とかではありませんが、現在町内会で活動されている方々の意識をアップデートする必要があるのではないでしょうか。

僕が考えるに、「あえて町内会で困っていることをオープンにしてしまった方がいい」と思います。

「祭りをするのに人が足りない」「ごみステーションの使い方を徹底させたい」など、町内の困りごとをSNS等で世間に投げてみる。そうすれば、何か引っかかった人が手を挙げてくれるかもしれません。
今は「プロボノ」や「副業」が徐々に広まってきているので、自分のスキルを活かせると感じてくれる人や、自分が何か関わることができる「関わりしろ」みたいなのを魅力的に感じてくれる人もいると思います。
集会室や会議室で、困ったと頭を抱えて話しているよりは、自分たちのある種弱みをさらけ出してみた方が上手くいくかもしれません。

おわりに

ここまで、つらつらと僕が町内会条例のパブコメを提出するときに考えたことを書いてきました。自分の体験を通して書いているので、他の町内会には当てはまらないことが多いかもしれません。
ですが、町内で伝統的に行われてきた行事が無くなったりするのは悲しいですし、見えないところで活躍してくれている町内会の仕事はステキなことだと思います。


町内会活動で、何かお困りの方にこのnoteが届けばよいと思います。