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好きな作家①「楡 周平」

昔はタイトル買いやジャケ買いをしていましたが、ここ最近は作者や著者で本を買うことが多くなりました。その方がなんとなくハズレが少ないような気がするんですよね。

そんな好きな作家の一人が、楡 周平さんです。

【来歴・人物】
岩手県生まれ。慶應義塾大学大学院修了。米国企業日本法人(写真業界の大手コダック)に入社し、80億円に及ぶ物流プロジェクトを手がけていた。1996年、在職中に犯罪小説『Cの福音』を宝島社より出版し、30万部を売り上げる。その後は小説執筆に専念するために米国企業を退社。前作の続編となる『猛禽の宴』を出版する。以後は悪のヒーロー・朝倉恭介を主人公としたシリーズ小説を刊行。正義のヒーローとして『クーデター』から川瀬雅彦も登場し、このシリーズは6作全てがベストセラーとなっている。
スリラーとハードボイルドとアクションを取り入れた作品群が特徴である。その後は『無限連鎖』などで「このミステリーがすごい!」からも注目されるようになったが、2005年に『再生巨流』を発表してからは経済小説をメインに執筆するようになり、有川崇を主人公にした『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京』や、山崎鉄郎を主人公にした『プラチナタウン』などのドラマ化された人気作品を刊行した。(Wikipediaより)

私が楡さんの作品で好きなのは、来歴の後半で書かれている経済小説の方です。一作一作に込められている業界の情報量がハンパじゃないので、小説を読むだけで業界の現状や課題が見えてくるほどです。本当に勉強になります。
また、その業界の課題解決に向けて出されるアイデアが面白くて、「これが実現したら本当に解決してしまうのでは?」と思うほど。小説を通して、楡さんが世間に提案してくれているのかなと勝手に思っています。

楡さんの小説の中で、私がオススメする3作を紹介します。

『プラチナタウン』

【あらすじ】
出世街道を外された総合商社マンが膨大な負債を抱えた故郷の町長を引き受けることに。だが、就任してわかったことは、想像以上にひどい実情だった。私腹を肥やそうとする町議会のドンや、田舎ゆえの非常識。そんな困難に挫けず採った財政再建の道は、老人向けテーマパークタウンの誘致だった。
【感想】
私が初めて読んだ楡作品です。地域振興に関心ある身としては、ものすごく興味深いテーマでした。地域にあるものに目を向け、再興に向けて進む姿は読んでいて最高に面白かったです。続編の「和僑」もオススメ。

『ラストワンマイル』

【あらすじ】
郵政民営化による流通競争の激化、ネット市場からの値下げ交渉により、暁星運輸は窮地へと追い込まれる。その中、新しいビジネスモデルを考案し、これを武器に戦いを挑む。
【感想】
 会社の存亡の危機に立たされ、従来の事業からの脱却を目指し、奔走する登場人物たち。自分たちの強みを理解すること、事業の先見性を見出すことなど、現実の仕事にも応用できることばかりで、学びの多い小説です!

「下請けに過ぎないと思われていた物流業が、実は全ての産業の生命線を握っている。まさにラストワンマイルを握っている者こそが絶対的な力を発揮することを世に知らしめる絶好の機会を目の前にしてるんです」(本書より)

『ミッション建国』

【あらすじ】
結党始まって以来最年少で青年局長となった人物がかつての首相から託されたのは、少子化を解決し新たな日本のビジョンを作ること。人口が減少していく日本に、若き政治家はどんな政策を提言するのか。
【感想】
メインは少子化対策ですが、話の中には9条の改憲や外交の話など、多岐にわたる政治の話が描かれています。行政に近い立場にいるので、この話のところどころに「分かるなぁ」ポイントがあります。社会課題解決に向けて、国のお金の使い方をどうするかについて考えさせられます。
話は変わりますが、政治をテーマにした作品を読むと、その度に自分がどれだけ政治に関心を持っていないのかが分かります。ただ、そういう小説を読んだ後は政治に対して興味が出るので定期的に政治小説を読むのが大事なのかもしれません。

まちづくりに物流、政治と様々なテーマについて書かれているのも、楡さんの魅力の一つです。興味を持った方は、ぜひ自分が今いる業界や関心のある分野の小説を手に取ってみてください!