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詩/Ha

生活はどうしても続いていて、おんなじテンポでまわりまわっていく。

とっかえひっかえって言ったって、わたしの歯よりは生え変わってないよ。きっとまだ生え揃ってもいないし、落ちたあとにもっと強いのが生まれてくるんだったら、それが永遠なのだったら、どんなにいいことなんだろう。

おわったあとは、かなしい形だったなら上に、うれしい形だったなら下に、腕の力目一杯で投げてあげよう。
空は広いのだからできるだけ上に投げてあげたいけれど、それを経るには激痛を伴うってこと、少し長くなってきた人生の中でわかり始めてきた。

わたしの歯並びが好きだって言ってくれた君を思って、まだ思い続けてることに気がついて、八重歯を舌でなぞって、とんがったその先端に安心する。
永久歯のその安心が永遠じゃないと知ってる、いつか老いて抜け落ちてしまう日があることを知っている。

最後までわたしの中に残ってくれるのは誰なんだろう、数々の君、数々になっていく君、ばいばいした乳歯と生え揃っていく永久歯、わたしを生かす度に擦り減る形、なんだかくすぐったいね。ずっと一緒にいよう。

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