仕事を辞める妄想を毎日していた私からしている後輩へ
目を見張るほどの晴天の下で退職願の用紙を天高く突き上げ、もう片方の手では中指を立てている。
そんな様子を何度も妄想している。
何度もってかエブリデイよ!
毎日のルーティンワークと化しただけあり、どんどんスムーズな妄想ができるようになっていっている。
突き上げる中指の角度や晴天とはいってもどれくらい晴れているのか?雲は一つもないのかそれとも少しはあるのか?といった詳細な部分まで妄想できるフェーズに突入した。雲は少しある。中指の角度は未だ決まらず。日々、少しずつ理想のθを模索中。
そんな状態ですが、転職キメました。思い描いてた青空には恵まれず、引っ越しの手続きでバタバタとバタコさんになり、中指ではなく角を立てまくり退職決行しました。
あーあ全然理想通りにいかんなぁと凹んでいたら、後輩から「僕も辞めたいです!先輩はどうやって辞めましたか!?」と連絡が来たのでタイミングも良いし振り返ってこうと思います。
マジで早く言わないと死ぬ
もっと早く言えばよかったという後悔は正直ある。
言うのが遅くて有給使えなかった身としてはとてもある。
わしの約40日の有給たちがサヨナラも告げずにいなくなったとき、わしには確かに有給たちの泣き声が聞こえた。塵や泡や光の粒や、そういったものに姿を変えていく有給たちは儚さや切なさをたたえていた。
「ごめん……」
呟いても、もう遅い。そこには何も残らなくって、ただ悔恨ばかりが在る。
そんなことにならないためにももう言いましょう。
「自分、辞めます!!!!」
ええええええええ!!!?いつ!!!?となったら「いずれの確定未来っす!」くらいでいいと思います。嘘は言っていません。この世の中、終身雇用なんてまやかしです。
「なので有給使います!!!!!!」
間違ってないけど間違った接続詞の使い方と勢いで相手に口を挟む隙を与えないまま、有給の届けをガリゴリガリ!と記入し、その場で退勤。
これで明日からしばらく来なければいいのです。有給無駄にするくらいなら早めに使ったほうがいいし、辞めたかったらそのまま辞めたらいいしどっちに転んでもリターンありです。とりあえず有給取ってからのんびりと考えましょう。
有給を取りやすくするための下準備
とは言っても、なかなかそう行動できない……
まずは種を蒔くことです。少しずつ、やっていきましょう。
まずなぜ上司に言いづらいのか?
上司が先のことを色々考えて嫌になっちゃうからです。そうならないためにも、まず上司を辞めさせましょう。
辞める人間は後のことなんて考えないので、無敵です。あなたも無敵だし、上司も無敵。
明日から毎朝、彼氏の家にゼクシィを置く結婚したい女のように、上司の机に求人誌を置きまくりましょう。
嫌でも転職がチラつくはずです。
そこで機を逃さず「自分……マーシャル諸島に行ったんですけど見識変わりましたよ。狭い世界でしか生きてなかったなと思いますね」と言いましょう。上司の見ている世界がいかに狭いか、いかに視野狭窄か、その脳髄に叩き込んでやるのです。
上司ももうア、アワ……となり始めます。そこで、褒め称えます。
「上司さんがいつも先陣切って仕事とってきてくれるんで本当に助かってるし尊敬してます!そんな人を失うのはつらいですが……俺は上司さんの選択を応援します!」
もういなくなることを確定させてやりましょう。人間は混乱する生き物です。あっあぁ、俺っていなくなるのか……と思わせたが最後、その勢いを殺さないことだけがあなたの仕事です。
ここまで来たら胸の前で手を組み、「旅立ちの日に」を熱唱しましょう。
余裕があれば「時の旅人」を追加で歌ってやってもいいです。あなたのアツいお見送りの気持ちに、上司も涙を禁じ得ません。
贈り物はハンカチがいいでしょう。上司はすかさず涙を拭くことができるので助かります。
あなたもマイハンカチを出して振りましょう。シンクロ効果を利用し、上司もハンカチを振ります。こうなればしめたものです。お別れの確定演出です。これで辞めないなんて、詐欺です。
これで上司が辞めることは決まりました。あとは自分もと伝えることで、お前もか〜!となり、絆は深まります。同苦の体験といい、同じ苦しみを味わうと人は結束が強まるものです。
この際同じところに転職するのもいいでしょう。
退職というつらく苦しく難しいものを共に乗り越えたなんて、もう家族のようなものです。
万が一うまく転職できなかったとて、家族である元上司を頼ればいいのです。それはちょっと……となった時は、「家族って結局、他人ですか?」と吐き捨てるように聞いてみましょう。そんなことはないよごめんねと謝ってくることでしょう。余裕です。
これで退職はできるんじゃないかな?
やってみなきゃわからんことだらけなんだし、色々時間をかけて見てみていいんじゃないかなと思うし失敗したっていいのさと思います。
大丈夫だ後輩。君の目の前には無限の世界が広がっているよ。
ではこの記事のリンクだけ後輩に送りつけてきたいと思います。くらえーーーーーッ!!!
ここの欄はプロヒールとちがうのですか?