見出し画像

文化芸術関係者の弱点

こんにちは!
白田将悟@令和歌謡&City Pop作曲家・編曲家です。
いつもありがとうございます。

ぼちぼち確定申告の時期なので、昨年の収入や領収書関係を整理しているのですが、
コロナ禍になってから国や自治体が取り組んでいた「補助金関連」の資料も出てきたりで、それをきっかけにこんなことを思い出しました。

画像1

これは何かというと、2020年に文化庁で実施した「文化芸術活動継続支援事業」という事業の、運営事務局閉局のお知らせです。
コロナ禍で様々な影響を受ける芸術家を支援しようという、国の取り組みですね。

これは2021年の春頃にお知らせが出ていたのですが、この内容にとても衝撃を受けました。

79,700件の芸術関係者が無事に文化庁の補助金を受け取り、機材や制作等の様々な場面で活用して、ピンチを何とか乗り越えたことでしょう。
※私のその一人です。

ただ、残念ながら12,000件が不交付ということで、何が衝撃かと言うと、
この内の93%(約11,000件)が、事務局側の資料再提出や修正依頼を複数回やっても返答がない、あるいは音信不通という!

これ、ものすごくもったいない話だなと思うんですよ…

この補助金の申請は、申請金額にもよりますが、迅速性や利便性を重視しているということもあり、提出資料も事務局側が用意した様式に経費や項目を入力し、そのファイルをウェブから提出するという、個人的にはかなり難易度が低いものかなと思いました。

自治体による同じような補助金申請も経験あるのですが、膨大な紙資料を用意して郵送したりと、ものすごく手間がかかりました。

難易度が比較的低い申請方法にも関わらず、約11,000件の方が、資料も出せない、音信不通になってしまい、不交付になってしまうというのはとても残念なことだなと…

確かに面倒なことではあるけど、少し頑張っていろいろ情報収集して申請すれば補助金も受け取れて、救われる人がもっと多かっただろうにと…

その他にこんなこともありました。
私が申請する時に、Twitter等で情報収集してたんですが、とあるミュージシャンによるこんなツイートが炎上しているのを見かけました。

【拡散お願いします】⽂化芸術⽀援の申請後の精算手続きは、今までは領収書郵送だったのですが、9月12日からExcelにて提出に変わる。Excel以外ではダメと。
Excelない人、使用経験ない人(僕も)は補助金もらえないの?
文化芸術をバカにしてるの?
Excelだけしかダメなんで絶対に撤回させます。

たぶんこの方からすると「ウェブと郵送両方で対応しろ」と言いたいんでしょうが、私が思うに、それをしてしまうと審査側の手間もかかり、交付に時間がかかるのかなと。
これはまさに先日投稿した記事の「トレードオフ」に置き換えるとわかりやすいと思うのですが、「ウェブと郵送の両方」で対応すると、
エクセルやウェブが苦手な方を救済出来る一方、事務局側の手間(人件費等莫大な予算も)がかかる、迅速性も下がるというデメリットもあると思います。

結局、
・ウェブとエクセルによる利便性の高い申請方法、かつ迅速な交付
・ウェブとエクセルだけでなく、手書きや郵送(アナログ)による申請も受け付け、時間や手間をかけてでもより幅広い方に交付

これのどちらかだと思うんですよ。
様々な意見があると思いますが、このご時世でどちらの選択肢が支持されるかと言えば前者の方かなと。

冷酷なことをはっきり言ってしまうと…
このご時世、多くの国民が日常生活でいろんなテクノロジーを駆使している訳なんだから、エクセルで経費や項目を入力するぐらい頑張ってくれよ!とw

そしてこの炎上Tweetに対して、親切な方が「エクセルなくてもこれを使ったらいけますよ~」というリプライに対してこのようなさらに衝撃的なTweetも。

あのね、Excel無料であるとか覚えればとかそういう問題じゃないの。
覚える事もできるけど、なんでコロナで困っての補助金の為にそこまでしなきゃなの?PC持ってない人はどうするの?

結局、「面倒なこともやろうと思ったらできるけど、補助金受け取りのために国は我々に面倒なことをさせようとしているのが許せない」
ということなのでしょう。

まさにこれらのことが、「文化芸術関係者の弱点」なんだなと改めて思いました。

これは過去の私の経験や思考も踏まえて思う所なんですが、
芸術関係やってる人って、以下のような思考を持つ人が結構多いと思うんですね。
①芸術(自分の得意なこと、好きなこと)だけやっていればいい。それ以外の面倒なことは他の人(スタッフ)がやるもの
②国や政治家・役人のやることは何でもかんでも「悪」だという決めつけ

①についてはまぁ、どんな人でも面倒なことはやりたくないと言うのは当たり前のことなんですがw
私の若い頃も「ミュージシャンは音楽だけやればいい、それ以外の裏方仕事や面倒なことは事務所やスタッフがやってくれる」という思考を持っていました。
こういう思考って、芸術(芸能)関係者特有の思考だと思うんですね。
今の時代はいろんなツールや手段があって、昔なら自力ではできなかった面倒なこともある程度できるはずです。

②については、これは音楽関係特有かもw
昔の時代から続くロックの精神というか、政治や権力、不満だらけの社会に立ち向かってこそナンボじゃい!みたいな所でしょうか…
政治や権力は「悪に決まっている!」という昔の思考から抜け出せずに、何でもかんでも反発、敵視するという。
先程引用した炎上ミュージシャンも、補助金事業に対して「文化芸術をバカにしてるの?」と言っているぐらいなので、国を敵視するような思考が強いのかなと推測できます。

「補助金申請にエクセルしか認めないなんていう国は、文化芸術の敵だ!」ということなんでしょうか…
政治や権力に反発して「補助金なんかいらん!」という方が、筋が通っていて共感できるのですが…w

私の勝手な推測ではあるのですが、上記の①②の思考が重なってしまった人が、残念ながら不交付になってしまったのかなと…

この辺りの思考をもう少し柔軟にできれば、
必要な機材や道具を揃えたり、普段は高額でなかなか手を付けられなかったMVや音源制作をしたりと、
活動を停滞させずに済んだ人も多いのかなと思うと、とても残念に思います…

ちなみにこの補助金制度、今も同じような取り組みを行っているのですが、申請と交付のハードルがかなり高くなり、そう簡単に受け取れなくなってしまいました。
本来は幅広い分野の多くの方を、なるべく簡素化した仕組みで救済しようといった形で実施していたと思うのですが、
ハードルを高くすることで、より意識が高く、行動力のある人だけを救済しようという方針に舵を切ったようです。
当然の結果だと思います…(泣)

「文化芸術だけをやっていればいい」、「国は文化芸術関係者の敵である」といった古い思考こそが、文化芸術関係者の最大の弱点であり、文化芸術関係の発展を阻害しているものだと私は考えます。
「文化芸術」なので、歴史とか伝統とか、昔の思考を重要視することもとても必要ですが、時代に合わせて柔軟にアップデートすることも必要だと思います。
※もちろん、国や社会が必ずしも正しいとは限らないので、反発することも時には必要だと思います。

・面倒なことも少しだけ頑張ろう!
・何でもかんでも国や社会のせいにしない!
・本当に困ったときは国や社会、周囲の人に頼ろう!

“自助”“共助”“公助”をバランス良く意識して、この先の困難にも立ち向かっていきましょう!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?