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監督 第2話:画家

大部屋には、若い画家も住んでいた。

彼はあまり人付き合いをせず、絵に専念していた。

ただ、時々夜に出かけては、深夜、ひどく酒に酔って帰ってきた。

彼が描くのは抽象画だった。

何のために描くのかを聞かれると、彼はこう答えた。

「何の目的もなく、ただ描くんだ。絵はそれ自体で価値を持つ。このことは奇跡だ。それなのに、絵の外に目的があると、そちらに目が移ってしまう。すると絵そのものの価値が、ないがしろになってしまうんだ」

そう言うと彼は、ふたたび絵に没頭しはじめるのだった。

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