ビジネスを哲学する|20. 能力って何だろう?
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〈楽しさ〉とは何だろう?
どういうときに、私たちは楽しいのだろう?
魚釣りが好きな人は、魚釣りをしているときが楽しい。
まったく魚が釣れないときはどうだろう。
それでも楽しいかもしれないけれど、釣れるときのほうが楽しいだろう。
魚釣りをする人は、自分の能力を試している。
ただ試すだけでも楽しいかもしれないが、能力を発揮できるともっと楽しい。
スキーをする人も、サッカーをする人も、絵を描く人も、何かしら世界に働きかけることを楽しいと感じる人は、みんなそうだろう。
世界に働きかける自分の能力。それを試すことを楽しいと感じて、その能力が発揮できるともっと楽しい。
組織の中で役割を果たすことも、同じではないだろうか。
役割を果たすことをつうじて、世界に働きかける。その能力を試すことは楽しいし、その能力が発揮できるともっと楽しい。
働くことは、働きかけること。
細胞だってそうだ。細胞は自分の能力をもっている。その能力によって周囲や世界に働きかけようとすることで生き生きとし、その能力が発揮できるともっと生き生きとする。
でも、「できることとやりたいことは違う」と考える人もいる。
できることがあっても、つまり能力があっても、それをやりたいとは限らない、という考えだ。
そう考える人は、もしかしたら、できることを十分にできていないのではないだろうか。能力を十分に発揮できていないのではないだろうか。
たとえば、サッカーをすることで能力を発揮する人が、野球もできるからといって野球をさせられても、サッカーをしているときほど楽しくは感じないだろう。
「できることとやりたいことは違う」と考える人でも、その人が本当にできること、能力を十分に発揮できることがあれば、それを楽しいと感じて、やりたくなるのではないだろうか。「できるけどやりたくない」という不満は、「もっとできることがある」という不満なのではないだろうか。
組織の中で人が〈楽しさ〉を感じるためには、世界に働きかける能力を十分に発揮できなければならない。組織は、その人のもっている本当の能力を見きわめ、その能力を十分に発揮できる役割を与えてあげなければならない。
それがうまくいけば、〈楽しさ〉というモチベーションが、役割を果たそうとしたときにすぐに得られる。「できること」が「やりたいこと」になる。
さて、そうすると、「いますぐ得られるモチベーション」は〈楽しさ〉だけなのだろうか?ほかにはないのだろうか?
つづく
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