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重要な性質を満たす定義を作るくらいならば,その性質を定義としてしまうという試み \\ #掛け算の数学的定義を求めて
前回↓(※全文無料公開にしました
前回記事を読んでいただければ分かるが,今回は順序対の仮の定義が,ちゃんと順序対として成立するのか(性質を満たしているのか)を調べるつもりだった.
だが,考えてみれば,その必要はないのでは?ということを思った.
確証は無い.
だが,もしかしたらイケるかも,とは思う.
何より,イケれば面白い.
内容と方針の整理
前回の内容をかいつまんで振り返りながら,もう少し詳しく説明する.
掛け算の数学的定義を考える上で,集合の直積集合を参考にする.
集合の直積集合とは,以下のことだ.
$$
X \times Y=\{(x, y)|x \in X, y \in Y\}
$$
この$${(x,y)}$$が,順序対というもの.
順序対の重要な性質は
$$
(x,y)=(x’,y’)\to x=x’\wedge y=y’
$$
で,これは「$${(x,y)=(x’,y’)}$$ならば$${x=x’}$$かつ $${y=y’}$$」という意味.
本当は,ある順序対の定義があり,その定義に従って上記の性質がある.
ここまでを要約すると,「数の積の定義のために,集合の直積集合を利用することを考える.直積集合とは,順序対の集合なので,まずは順序対について考える」という感じ.
で,上記の性質を満たすように順序対の定義を作ることを目指す,というのが前回記事の内容.
しかし,順序対の具体的定義など実は不要なのでは無いか,というのが今回の試みである.
厳密に言うと,上記の性質を満たす定義を作るくらいならば,上記の性質を定義としてしまうという試み.
すなわち,「$${(x,y)=(x’,y’)\to x=x’\wedge y=y’}$$を満たす$${(x,y)}$$を順序対という」だ.
2×3=6を定義する
自然数を集合で定義すると
$$
\begin{align*}
2&=\{0,1\} \\
3&=\{0,1,2\} \\
6&=\{0,1,2,3,4,5\}
\end{align*}
$$
なので,
$$
\begin{align*}
2\times3&=\{(x, y)|x \in 2, y \in 3\} \\
&=\{(0,0),(0,1),(0,2),(1,0),(1,1),(1,2)\}
\end{align*}
$$
である.
$${2\times3=6}$$という結果が欲しいので,
$$
\begin{align*}
&\{(0,0),(0,1),(0,2),(1,0),(1,1),(1,2)\} \\
=&\{0,1,2,3,4,5\}
\end{align*}
$$
が導ければ良い.
自然数とは何だ
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