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一話完結

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#オリジナル小説

 船旅に喩えるならば、明りに手が届きそうなほど灯台に近づけたとしても、その灯台ごと消滅したのであれば潔く次の灯台へと漕ぐしかない、と人は信じている。この点については、坂本京介も例から漏れない。彼にも会いたいと願っても会えない人が何人もいるし、会ったところで互いが話題に窮することを心得ていたから、虚しく努めることはしなかった。いざ決別の話題が上がっても、自身の精神を健康に保とうとして、抗おうとは思わ

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