シェア
金田健一
2020年9月24日 18:44
二人は散歩へ出かけた。天神の街で彼らが選んだのは喫茶店ではなく、自分らと同じ住宅街にある小さな公園。車の侵入を防止するための柵を超えると砂でできた地面と、錆の目立つ黄色いブランコと滑り台、腐食したベンチ、そして白いモルタルで囲まれた砂場がある。ベンチに座るのはデニムとカーキ色のシャツを着た、三十に近い女。その女は砂場にいる自分の子供を静かに見守っていた。 明美は子供に歩み寄って挨拶をした。子