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金田健一
2021年4月15日 17:06
桜井恭弥は一九九九年の一月に生まれて、二〇一六年に高校二年生、十七歳となった。思い出と季節の寒暖とが、まるでマズルを整えて並べられたマスケットのような、ファスケスの要素を持った気色悪い制服で一緒くたになって彼の頭に刻印されていることが、彼がこの日々を振り返ったときに悔やまれることの一つであった。こればかりはシステムのせいなのだから、仕様のないことだと呑み込んでは、吐き出した。 青春とは、多くの