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[将棋]いにしえの戦法、ヴォーギン先輩をAI先生でボコそうとしたら、返り討ちにされた件www②

 本記事は前回[将棋]いにしえの戦法、ヴォーギン先輩をAI先生でボコそうとしたら、返り討ちにされた件www①|ゆに@将棋戦略 (note.com)の続編記事となります。

 前回記事で紹介しておりませんでした、途中図から△3三桂▲4六銀右(途中図②)とする変化を調べていきます。

途中図②と評価値。AI的にはこちらが本線のようだ。

 途中図②では従来的には△3五歩や△3六歩が考えられていました。まずは順にそれらを見ていきます。

 途中図②から
△3五歩 ▲2八飛 △4五桂 ▲同 銀 △同 銀
▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △2二歩 ▲9五歩
△2三銀 ▲2八飛△9五歩 ▲4六歩 △3六銀
▲9四歩(結果図①、評価値も併せて表示)

結果図①と評価値。▲2四歩に△同歩の変化。

手順前後はNG

 △3五歩には▲2八飛として、以下△4五桂▲同銀△同銀となります。ここまでは従来通り。ここで従来は▲9五歩とする指し方もあったと記憶しているのですが、それには△3六歩と手抜きされて、▲9四歩に△3五飛が好手です(△3七歩成なら▲3三歩が利くところ)。以下、▲3八歩△9七歩▲同香△8五銀(参考図①)となると、もう▲2四歩が利かない将棋となってしまいます(評価値-150程度)。

参考図①。▲2四歩は後回しに出来ない。

 というわけで△4五同銀には▲2四歩です。▲2四歩には△同歩と△3四飛があり、△3四飛は後述します。▲2四歩△同歩▲同飛には△2二歩と受け、後の△4四角を狙います。このタイミングで▲9五歩と突くのが良い手です。△同歩なら、少し難しい手ですが、▲9二歩△同香▲9三歩△同香と釣り上げてから▲2二角成を決行し、以下△同飛▲同飛成△4四角▲1二竜△9九角成▲6三香(参考図②)となると先手有利です。途中、香車を釣り上げるのが急所で、2枚の歩のコストで後手玉の退路を封鎖できます。

参考図②。香車を釣り上げるのが急所。評価値は300点ぐらい。

 以上の理由から△2三銀と粘ることになり、はっきりしない展開となりますが、後手は2三や3六の銀の働きが弱く、結果図①はやや先手に分がありそうです。

 次に、▲2四歩に△3四飛としてみます。

 途中図②から
△3五歩 ▲2八飛 △4五桂 ▲同 銀 △同 銀
▲2四歩 △3四飛 ▲2三歩成 △2六歩 ▲同 飛△3六歩
▲2五飛△3五飛 ▲同 飛 △同 角 ▲4一飛
(結果図②、評価値も併せて表示)

結果図②と評価値。こちらはかなり激しい展開になる。

△3四飛は激しい変化

 △3四飛は▲2三歩成とさせておいて△2六歩と垂らし、▲同飛に△3六歩と飛車取りの先手を取る狙いです。こうなると結果図②までは一本道です。結果図②では後手は瞬間的にカナ駒を多く持っていますが、4三の金の処置が難しく、AIの評価値はやや先手を支持しています。

 途中図②から△3五歩とすると2筋を突破されてしまいました。そこで次に、途中図②から△3六歩と飛車を呼び込んで先手を取り、局面を落ち着かせる指し方を調べてみます。

 途中図②から
△3六歩 ▲同 飛 △3五歩 ▲2六飛 △4五桂 ▲4八銀
△5一角 ▲1一角成 △3三角 ▲同 馬 △同 金 ▲4七銀
(結果図③、評価値も併せて表示)

結果図③と評価値。局面は収まったが、後手陣は悪形が残る。

悪形が残る

 途中図②から△3六歩とした場合、途中の△4五桂▲4八銀までは必然と思われますが、そこでの後手のまとめ方が難しいです。上述の手順は一例ですが、後手は悪形が残りやすく、先手が指しやすいと思われます。

AIさん「何もしないでおこう」

 というわけで、途中図②から従来の△3五歩と△3六歩を検討し、いずれも先手有利の変化が多い結果でした。それでは後手はどうすればいいのでしょうか?

 実はAIさんもしばらくの間は特に△3五歩を推奨します。しかし、じっくり読ませていくと△3五歩は候補から消えていき、代わりに「何もしないでおこう」というような候補に変わってきます。具体的には、将来の端攻めに備える△8四歩などです。それでは少し進めてみましょう。

 途中図②から
△8四歩 ▲6九金 △7四歩 ▲6八銀 △8五歩 ▲5五歩
△3五歩(結果図④、評価値も併せて表示)

結果図④と評価値。ようやく互角の評価に。

 △8四歩のように手を渡されると、意外と先手も攻めがありません。そこで、AIさん推奨の手は▲6九金で、中々思い浮かばない手ですが、いずれ△4五桂と跳ねてくる展開が考えられるので、あらかじめ▲6八銀とかわしながら固めておこうという発想のようです。指されてみればなるほどですね。
結果図④までの手順は一例ですが、全くの互角の展開と思われます。
(なお、途中の▲5五歩に△同歩は▲4四歩△同金▲5五銀が調子の良い攻めです。)

 というわけで、四間飛車VS棒銀の研究は一旦ここまでに致します。
結論としましては、以下のようになりました。
・△4五銀の変化は従来認識と異なり、先手が指しやすい。したがってAI的には△3三桂が勝る。
・△3三桂の変化で、従来の△3五歩や△3六歩は先手有利の変化が多い。
・AI流は「何もしないでおく」△8四歩。これで全くの互角。

 研究を始める当初はAIさんの現代的な指し方で棒銀がボコられるんじゃないかと思っていたのですが・・・、予想に反して、棒銀はけっこう優秀であることが分かりました。今は研究している人も少ないでしょうし、ぜひ活用してみてください。

 それでは読んで下さり有難うございました。引き続きよろしくお願いいたします。


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