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[将棋]居飛車穴熊vs4四銀型四間飛車 懐かしの戦型をAIで解析してみた②

 さて、前回は居飛車穴熊vs4四銀型四間飛車の戦型(▲6八銀と引くパターン)について、昔の認識を振り返ってみました。(詳しくは[将棋]居飛車穴熊vs4四銀型四間飛車 懐かしの戦型をAIで解析してみた①|ゆに@将棋戦略 (note.com)をご覧ください。)昔の一般的な認識では難解とされていたようですが、現在のAIはどのように評価するでしょうか?早速調べてみたいと思います。なお、評価関数部は「Hao」を使用させて頂いております。

 まず前回のテーマ図をAIに読ませてみました(テーマ図)。局面の下に評価値を合わせて表示しています。候補手と評価値から分かることとして、第一に▲6八銀はAI的にも有力な選択肢のようです。加えて、評価値が300点弱ぐらいになっています。後手側が振り飛車を明示した時点での評価値は「Hao」の場合、大体150点前後ぐらいですので、現局面は既に居飛車穴熊側の作戦勝ち、もしくは有利ぐらいの評価になっているということです。そしてもう一つ気になる点は、▲6八銀以降は△9四歩から居飛車側に十分に組ませる指し方を読んでいるということです。と、いうことは人間がこれまで指してきた△5三銀や△5五歩はそれより悪いということになります。

テーマ図と評価値。AI的にもやはり▲6八銀は有力な選択肢のようだ。

 なんだか納得がいきませんが、とりあえず△5三銀の変化から調べてみましょう。前回の手順をなぞって、△5三銀▲3五歩△同歩▲2四歩△同歩▲6五歩△7七角成▲同銀△6五桂▲2四飛△2二歩▲5五歩△3三角▲3四飛△4六歩(△5三銀の変化図)と進めてみます。途中、AIで解析するといろいろな手を示してきますが、上記手順も概ね最善手順に近いようです。またまた候補手と評価値を覗いてみると・・・まず最初に目を引くのは人間的に自然に見える▲3七桂が第4候補にすら挙がっていないということです。(ちなみにですが、▲3七桂とすると評価値が150点ぐらいに落ちます。)しかも最善候補は▲3三飛成や▲1六角、▲5四歩とのことで、人間にはとても指しづらい手ばかりです。5五の歩で利きが止まっている角を取るのは効率が悪いように見えますし、▲5四歩は角を通してしまうので味が悪い、▲1六角に至ってはそもそもそんなの思いつきません。

△5三銀の変化図と評価値。AI的にはそこそこ差がある局面のようだ。しかし、人間的に自然に見える▲3七桂が候補にすら挙がっていない。

 とはいえ、AI的にはこれで評価値が400点弱と、そこそこの差があると言ってますので、第一候補の▲3三飛成に絞ってもう少し進めてみましょう。以下最善手順をなぞると△同桂▲3四歩△4五桂▲3三歩成△4四飛▲1六角(「奇数マス」が急所の図)となり、ここまで進めるとAIさんの言いたいことが大体わかってきました。後手陣の配置をよくよく見てみると、4三や5二のような「奇数マス」(私はこれらのように二つの数字を足して奇数になるマスを、「奇数マス」と呼ぶことにしています。)が「弱いマス」(要するに利きが少ないマスのこと)になっているので、と金作りや▲1六角が有効になる、ということなのでしょう。このように進めば、確かに居飛車側が優勢に見えますし、評価値上も居飛車有利になります。

奇数マスが急所の図。後手陣の急所は利きの少ない4三や5二の地点で、それらを狙う見事な手順だ。

 というわけで、△5三銀の変化はあっさり居飛車有利となりました。急所は「奇数マス」、ということのようです。本記事は一旦ここでお終いにして、次回△5五歩の変化を調べてみることにします。引き続きよろしくお願いいたします。


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