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ABEMA地域対抗戦 Bリーグ1位決定戦

3月9日、ABEMA地域対抗戦のBーグ1位決定戦が放映されました。チーム関西Bを降したチーム中部と、チーム関東Bを破ったチーム九州という顔合わせとなりました。


先発棋士3人は以下の通り発表されました。
中部:八代弥七段、藤井聡太竜王名人、服部慎一郎六段
九州:佐々木大地七段、佐藤天彦九段、深浦康市九段

一局目:八代弥七段 vs 佐々木大地七段

振り駒で先手となった佐々木七段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換します。佐々木七段が再度2筋の歩を合わせると、八代七段は3筋の歩を伸ばして取り込み成り捨てます。佐々木七段は▲4五桂と跳ね、八代七段が7筋の歩をぶつけると、▲5三桂成と成り捨てて後手陣を乱してから▲3四歩と桂を取り返しにいきます。佐々木七段は▲3五銀と繰り出し、八代七段が7筋の歩を取り込んで角取りに△6五桂と跳ねると、構わず▲4四銀~▲3三歩成と攻め込みます。八代七段は△7六桂と王手してから角桂交換しますが、佐々木七段は▲5三銀成と金と交換して▲6五桂と後手玉に迫ります。八代七段は玉を上部に逃がしますが、佐々木七段は連続王手から王手飛車で飛車を取り即詰みに討ち取りました。
チーム中部:0勝 - チーム九州:1勝

二局目:藤井聡太竜王名人 vs 佐々木大地七段

後手の佐々木七段が横歩取りに誘導し、藤井竜王名人は青野流で応じます。佐々木七段は7筋の歩を突き、藤井竜王名人が1分程考えて▲3五飛と引くと、意表を突かれたのか2分以上考えて角交換し、△4四角と打ちます。藤井竜王名人は△7七角と合わせて飛車を取り合い、佐々木七段が再度角交換して△6五桂と跳ねると、桂をぶつけて交換します。佐々木七段は銀取りに△2六桂と打ち、藤井竜王名人が▲2九銀とかわすと、△8九飛~△2八歩と畳み掛けます。藤井竜王名人は▲2四飛と打ち、銀を取らせる代わりに竜を作って桂2枚を取りますが、佐々木七段は△4八銀と打って金と交換し、△5六桂と歩頭桂を放って即詰みに討ち取りました。
チーム中部:0勝 - チーム九州:2勝

三局目:服部慎一郎六段 vs 佐々木大地七段

先手の佐々木七段が相掛かりに誘導し、お互いに飛先の歩を交換してから角を交換します。お互いに銀冠の形を作り、服部六段が△2二玉と入城すると、佐々木七段は2筋で桂をぶつけて交換し、金銀両取りに▲5五桂と打って金桂交換します。佐々木七段は▲5四歩と垂らし、服部六段が飛車を5筋に回して受けると、▲5三角と打ち込みます。服部六段は△9二角と打ち、佐々木七段が▲6四角成と馬を作ると、飛車をぶつけて交換します。佐々木七段が▲5一飛~▲2一金と後手玉に迫ると、服部六段は△5七歩成~△6七桂成と攻め合います。佐々木七段は▲1一金と香を取って詰めろを掛け、服部六段が△4一桂と飛車の横利きを止めて逃れると、冷静に▲5四飛成と銀を取りつつ竜を作って即詰みに討ち取りました。
チーム中部:0勝 - チーム九州:3勝

四局目:豊島将之九段 vs 佐々木大地七段

中部は棋士チェンジし、満を持して豊島九段を送り出します。後手の佐々木七段が横歩取りに誘導し、豊島九段は青野流で応じます。佐々木七段は二局目と同様に角交換して△4四角と打ち、豊島九段が▲7七角と合わせると、飛角交換します。豊島九段は3筋の歩を伸ばし、佐々木七段が△3六歩と桂頭を叩いて金で取りに行くと、後手玉のコビンと2筋を睨み▲4四角打と後手の金の利きに重ねます。佐々木七段は2分以上考えて根元の桂を取り、豊島九段が▲2二角成と金銀との2枚替えで馬を作ると、2-3筋の歩を成り捨てて△1四角と王手し馬を作ります。豊島九段は自陣に金銀を投じて守り、▲5二馬と銀を食いちぎり、銀を飛車と交換して▲5一飛と打ち込み寄せ切りました。
チーム中部:1勝 - チーム九州:3勝

五局目:豊島将之九段 vs 佐藤天彦九段

先手の佐藤九段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、豊島九段はミレニアムに囲います。佐藤九段が5-6筋の歩を突き捨てて▲5五角と出ると、豊島九段は飛車を浮いて6筋の歩を支えます。佐藤九段は▲7一角成と馬を作ってから6筋に"と金"を作って攻め込み、豊島九段が飛車取りに△3三角と覗くと、構わず銀取りに▲5三"と"と寄ります。豊島九段は飛角交換してから1筋の歩をぶつけますが、佐藤九段はもう1枚の角を▲6一角と打ち、▲9五銀と打って飛車を捕獲します。豊島九段は△6九飛~△6六飛成と銀を取って竜を作り、1筋を端攻めしますが、佐藤九段は取った飛車を▲5一飛と打ち込み、自陣に底歩を打って万全を期してから、詰めろ竜取りに▲5四馬と引き付けて寄せ切りました。
チーム中部:1勝 - チーム九州:4勝

六局目:藤井聡太竜王名人 vs 佐藤天彦九段

後手の佐藤九段が四間飛車に振り美濃囲いに構えると、藤井竜王名人は▲5五角と飛び出して△6三銀と上がらせてからミレニアムに囲います。藤井竜王名人が飛車を4筋に寄せて▲4六歩と仕掛けると、佐藤九段は角をぶつけて交換し、△6九角~△3六角成と馬を作ります。藤井竜王名人が飛車を寄って馬を追い、桂を犠牲に▲3一飛成と竜を作ると、佐藤九段は馬を角と刺し違えて飛車を捌きます。藤井竜王名人は角取りに▲8五金と打ち、佐藤九段が△3九飛成と竜を作ると、王手銀取りに▲7四桂と跳ねて銀と交換します。佐藤九段は金取りに△6六桂と打ちますが、藤井竜王名人は金を取らせる代わりに角金交換し、再度王手銀取りに▲7四桂と打って銀を剥がし、▲5六角と王手して即詰みに討ち取りました。
チーム中部:2勝 - チーム九州:4勝

七局目:藤井聡太竜王名人 vs 深浦康市九段

先手の深浦九段が角道を止め、相雁木の将棋となります。藤井竜王名人は7筋から仕掛け、深浦九段が銀を繰り出すと、長考を重ねて歩で先手陣を乱して角を交換し、金桂両取りに△4八角と打って馬を作ります。深浦九段が▲4八角と合わせて馬を消し、飛車取りに▲6五桂と跳ねると、藤井竜王名人は△7四角と打って間接的に先手の飛車を睨みます。深浦九段が▲4七角と打って飛車取りの筋を消し、▲5三桂不成と王手しつつ角の利きを通して角交換後に飛車をタダ取りすると、藤井竜王名人は王手桂取りに△2六角と打って自玉に迫る桂を取り返します。深浦九段は▲8一飛成と竜を作り、もう1枚の飛車を王手角取りに▲5一飛と打ち込みますが、藤井竜王名人は桂で防いで飛金交換し、△2八飛と打ち込んで反撃します。最後は激しく形勢が揺れ動く寄せ合いとなり、藤井竜王名人が即詰みに討ち取りました。
チーム中部:3勝 - チーム九州:4勝

八局目:藤井聡太竜王名人 vs 都成竜馬七段

九州は棋士チェンジし、都成七段を送り込みます。後手の都成七段が角を交換して向かい飛車に振り、お互いに慎重に駒組みを進めます。藤井竜王名人が▲9八香~▲9九飛と転回すると、都成七段は4筋から仕掛けて桂交換します。藤井竜王名人が9筋を押さえ込んでから▲4九飛と回すと、都成七段は△5六桂~△4八角と打ち込み馬を作ります。藤井竜王名人が飛車取りに▲3二角と打つと、都成七段は△4六歩と飛頭を叩きます。藤井竜王名人は構わず銀取りに▲6六桂と打ち、▲7四桂と王手してから飛車を取り合います。藤井竜王名人は▲3一飛と王手し、▲4三馬~▲5二馬と金を剥がし、▲8二銀と捨てて鮮やかに寄せ切りました。
チーム中部:4勝 - チーム九州:4勝

九局目:藤井聡太竜王名人 vs 佐藤天彦九段

振り駒で先手となった佐藤九段は四間飛車に振って美濃囲いに構え、藤井竜王名人が△6四銀と上がって飛車を浮くと、飛車を7筋に寄せて備えます。藤井竜王名人が構わず7筋から仕掛け、飛車で銀を食いちぎって△9九角成と馬を作ると、佐藤九段は7筋の歩を伸ばして飛車先突破を図ります。藤井竜王名人が馬で飛車を追って△6四銀と打つと、佐藤九段は飛車を諦めて▲7三歩成と桂を取って"と金"を作り、もう1枚の飛車を▲7二飛と打ち込みます。佐藤九段は"と金"で後手陣の金を剥がしますが、藤井竜王名人は△7八飛と打って竜を作り、佐藤九段が王手竜取りに▲7七角と打つと、△5五桂と王手を防ぎ、竜を取らせる代わりに王手角取りに△4七桂不成と飛び込み、取った角で退路封鎖して即詰みに討ち取りました。
チーム中部:5勝 - チーム九州:4勝

Bリーグ1位決定戦の結果

チーム中部は、藤井竜王名人に今大会初黒星が付いたものの、最後は怒涛の4連勝でチームを1位通過に導きました。豊島九段もチームが3連敗で暗雲が漂い始めたところで1勝を挙げ、悪い流れを断ち切りました。八代七段と服部六段は、出番が少ないこともあってまだ勝ち星に恵まれていませんが、この2人が活躍すれば優勝に近づけると思います。
チーム九州は、佐々木七段がいきなり3連勝しチームに勢いを付けました。佐藤九段が4勝目を挙げ、監督の深浦九段は気迫も露わに藤井竜王名人を絶体絶命に追い詰めましたが、惜しくも目前に迫った勝利には届きませんでした。佐々木七段が好調を維持し、都成七段やこの日は出番のなかった古賀五段が活躍すれば、予選突破は可能と思います。

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