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ABEMA師弟トーナメント2022 予選Bリーグ2位決定戦

1月21日、ABEMA師弟トーナメント2022 予選Bリーグ2位決定戦が放映されました。チーム木村「シン ドラの穴」とチーム杉本「味噌煮込み」の顔合わせとなっています。両チームは1回戦でも対戦があり、チーム木村が勝っています。

一局目:高野智史六段 vs 藤井聡太竜王

両チームとも弟子が先陣を切り、藤井竜王にとっては1回戦のリベンジマッチとなります。振り駒で先手となった藤井竜王が角換わりに誘導し、相腰掛け銀の定跡形の駒組みで両者とも6分以上に時間を増やします。藤井竜王が30秒ほど考え、中空で指を振って確認してから▲4五桂と仕掛けると、高野六段は1分半程考えて△4二銀と引いて受けます。藤井竜王が飛先の歩を交換すると、高野六段は4筋の歩を突いて桂を取りにいきます。藤井竜王は1筋の歩を突き捨ててから7筋の歩をぶつけ、4筋の桂を取られる代わりに7筋の桂を取ります。藤井竜王が▲4四角~▲1一角成と香を取って馬を作ると、高野六段は桂を跳ねて馬の利きを止め、銀取りに△4四桂と打って反撃します。藤井竜王が構わず2筋の歩を合わせると、高野六段は桂で銀を取って金に当てます。藤井竜王がこれにも手抜いて▲2三歩成から殺到すると、高野六段は歩の連打で飛車の利きを止めます。藤井竜王が▲4四香の王手から取られそうな馬で桂を取って金に当てると、高野六段は歩で馬の利きを遮断してから"と金"を作って金に当てます。藤井竜王は構わず▲7三銀~▲6四桂と寄せに入り、瞬く間に即詰みに討ち取りました。
チーム木村:0勝 - チーム杉本:1勝

二局目:木村一基九段 vs 杉本昌隆八段

両チームとも師匠が出陣します。後手の杉本八段が四間飛車に振ると、木村九段は穴熊を目指します。杉本八段が桂を跳ねて△8一玉型に構えると、木村九段は角を覗いて7筋の歩を交換します。杉本八段は4筋の歩を突き捨て△4五銀とぶつけると、銀を交換して△4七飛成と竜を作って金に当てます。木村九段は△5八銀と持ち駒を投じて竜を追い返し、▲4八飛とぶつけますが、杉本八段は竜をかわして交換を避けます。杉本八段が9筋を端攻めすると、木村九段は金取りに▲4四飛と飛び出して攻め合います。杉本八段は金を前進して角を追い、角交換してから△3八竜と竜の横利きを通します。木村九段は銀を引いて竜の横利きを止めますが、杉本八段は飛車取りに△3三角と打って遠く先手玉に睨みを利かせます。杉本八段が9筋の香を交換して桂取りに△9六歩と打つと、先手玉はかなり厳しい状況に見えましたが、木村九段は力強い手つきで△9二歩と打ちつけ、香を吊り上げて▲8五桂と切り返します。杉本八段はやむなく△8五同桂と応じますが、木村九段は▲7三歩から攻め込み▲8三角成と詰めろを掛けます。杉本八段は△8一銀と打って凌いだかに見えましたが、4分近く残していた木村九段は2分程考え、手順に後手の攻め駒を取り、最後は鮮やかな即詰みに討ち取りました。
チーム木村:1勝 - チーム杉本:1勝

三局目:木村一基九段 vs 藤井聡太竜王

チーム木村は勝った師匠が連投します。先手の藤井竜王が角換わりに誘導し、相腰掛け銀の定跡形の駒組みで両者とも6分以上に時間を増やします。木村九段が右玉に構えると、藤井竜王は銀矢倉に組んで入城し、更に穴熊に組み替えます。お互いに飛車を5筋に回してから藤井竜王が4筋の歩を交換して桂を跳ねると、木村九段は飛車を4筋に回します。藤井竜王が飛車を2筋に戻して飛先の歩を交換すると、木村九段は△4五桂と桂を取ります。藤井竜王が▲2三角と打ち込み、角金交換後に▲2三同飛成と竜を作り、▲4三金と打って後手の飛車の利きを止めると、木村九段は竜金両取りに△3一桂と打ち金桂交換に成功します。大きく駒得となった木村九段は△7九角と打ち込み、8筋を継ぎ歩で攻め、△5九角と打ち込んで攻め込みます。藤井竜王は飛車取りに▲4四香と打って銀香交換し、竜で飛車を追って飛車取りに▲4六歩と打ちますが、木村九段は銀取りに△8五香と打って攻め合います。藤井竜王は▲8三歩と玉頭を叩き、木村九段が9筋にかわすと、▲7七銀打と紐を付けます。藤井竜王は▲6三竜と銀を食いちぎって自陣に投じて粘りますが、木村九段は冷静に△8七歩と叩いて寄せ切りました。
チーム木村:2勝 - チーム杉本:1勝

四局目:高野智史六段 vs 杉本昌隆八段

チーム木村は弟子が「ここで決めます」と出陣します。後手の杉本八段が中飛車に振り、4筋の位を取ってから飛車を4筋に振り直すと、高野六段は飛車を浮いて受け穴熊を目指します。杉本八段が更に飛車を3筋に回して飛先の歩を伸ばすと、高野六段は飛車をぶつけて交換します。杉本八段が桂香両取りに△3九飛と打つと、高野六段は角取りに▲4三飛と打ちます。杉本八段は角をかわしてから△1九飛成と香を取り、△4一香と香取りに打ちます。お互いに桂を取り合い、杉本八段が△8四桂と控えて打つと、高野六段は銀を引いて桂跳ねを防ぎます。杉本八段は香を成り金取りに△5八成香と寄せますが、高野六段も歩を垂らして▲4一歩成と"と金"を作って金に当てます。杉本八段が金を上がってかわすと、高野六段は▲8五香と打ち、桂を取ってから▲6四角と銀を食いちぎります。杉本八段は△7四金と打って粘りますが、高野六段は▲8三香成から後手玉を吊り上げ、▲7二銀と打って攻め込みます。杉本八段は△8七香成から反撃すると、作戦会議室では木村九段が「助かってくれ、頼む」とつぶやきます。杉本八段は△9五桂の王手で先手玉に迫りますが、高野六段が玉を上部に脱出させると寄りません。お互いの玉が接近して際どい終盤戦となりましたが、高野六段は▲6一竜と金を食いちぎって寄せ切りました。
チーム木村:3勝 - チーム杉本:1勝

予選Bリーグ2位決定戦の結果

チーム木村は、師匠の木村九段が連勝してチームを波に乗せ、弟子の高野六段も着実に1勝を挙げて予選突破を果たしました。2位通過という形にはなりましたが、木村九段が安定して勝ち星を挙げており、高野六段の活躍次第では優勝も狙えると思います。
チーム藤井は、弟子の藤井竜王が1勝して意地を見せましたが、珍しいミスで逆転負けを喫してチームに勢いをつけることができませんでした。師匠の杉本八段は中盤まで優勢の局面を作るものの、この日も白星に恵まれず惜しくもここで敗退となりました。

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