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第30期銀河戦決勝トーナメント決勝 藤井竜王vs高見七段

12月27日に、銀河戦決勝トーナメント決勝が放映されました。今期本戦トーナメントGブロック最終戦で対局し、勝って最終勝残者となった藤井聡太竜王と、最多連勝者として決勝トーナメントに進んだ高見泰地七段の再戦となっています。決勝トーナメントでは、藤井竜王は中村修九段、永瀬王座、豊島九段を破り、高見七段は前期優勝者の菅井銀河、広瀬八段、渡辺名人を降して勝ち上がっています。

高見七段は叡王獲得1期の強豪で、第4回ABEMAトーナメントでは藤井竜王のドラフト指名を受け、チームメイトとして優勝に貢献しています。高見七段にとって銀河戦決勝は、久し振りの大舞台ということができると思います。

戦型は角換わり相腰掛け銀

振り駒で先手となった藤井竜王が角換わりに誘導し、相腰掛け銀の将棋となります。高見七段は4筋に飛車を回して先手からの仕掛けに備えますが、藤井竜王は構わず4筋の歩をぶつけ、3筋の歩を突き捨てて4筋の歩を取り込みます。

技の応酬

藤井竜王が飛車先の歩も交換すると、高見七段は飛車取りに銀を引きつつ飛車の利きを通して先手陣の金に当てます。技が決まったかに見えましたが、藤井竜王が飛頭を歩で叩くと、高見七段は飛車で取ると先手に先に竜を作られるのでやむなく玉で取ります。後手の飛車の利きが止まったので、藤井竜王が飛車を引くと、高見七段は歩で2筋を守ります。技の応酬となりましたが、形勢はわずかに藤井竜王に傾いたようです。

中央を制圧

藤井竜王が▲4五桂と跳ねて銀を引かせ、1筋の歩を突き捨ててから▲4四歩~▲5五銀と中央を制圧します。飛車を8筋に戻して反撃の機会を探った高見七段が4筋の金頭を歩で叩いてから3筋の歩を伸ばすと、藤井竜王は後手の玉頭を睨む▲2五角と打って攻め続けます。形勢は藤井竜王に大きく傾いたようです。

藤井竜王の猛攻

高見七段は5筋に金を寄せて玉頭の守りを補強しますが、藤井竜王は1筋で歩を補充し、桂を交換してから▲3五桂と打ち攻め駒を足します。高見七段は歩で先手の角の利きを止めますが、藤井竜王は▲4三歩成から金桂交換します。藤井竜王が銀取りに▲3六角と引いて追撃すると、高見七段は歩で銀を守ります。

瞬く間の終息

藤井竜王は攻める手を休めず▲4四歩~▲4三金と打ち込んで金交換し、▲2三飛成と竜を作ります。高見七段は竜取りに△2二金と打ちますが、藤井竜王は構わず▲4四歩から後手玉に迫ります。藤井竜王が銀を交換してから詰めろかつ飛車取りに▲5四角と出ると、受けがなくなった高見七段は投了を告げました。

まとめ

本局は角換わりの定跡形から藤井竜王が仕掛け、中央に戦力を集めて猛攻を浴びせました。粘りには定評のある高見七段に粘る隙を与えず、一気に寄せ切る快勝となりました。
藤井竜王は銀河戦2度目の優勝を飾り、JT杯に続き今年度2つ目の一般棋戦優勝となりました。対局後に「今期の銀河戦はこれまでの反省を踏まえて、より積極的にという方針で指すことができた」と話していましたが、以前はやや苦手なのではないかと言われた30秒将棋も克服し、前人未到の4つの一般棋戦完全制覇も視野に入ってきました。年明けには羽生九段との王将戦七番勝負も控えており、どのような名局を魅せてくれるのか楽しみにしたいと思います。
高見七段はこの日は完敗となりましたが、強豪を次々と撃破して決勝まで勝ち上がったことを自信にして、他棋戦でも活躍して欲しいと期待しています。

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