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第30期銀河戦決勝トーナメント1回戦 藤井竜王vs中村修九段

11月29日に、銀河戦決勝トーナメント1回戦第7局が放映されました。本戦トーナメントGブロック最終勝ち残り者の藤井聡太竜王と、Bブロック最多連勝者の中村修九段の顔合わせになっています。

中村九段は史上24人目の通算800勝(将棋栄誉敢闘賞)を達成している60歳のベテランです。王将2期の経験があり、前期に藤井竜王に破られるまで史上最年少王将の記録保持者でした。藤井竜王とは過去2回の対戦があり、いずれも敗れています。

戦型は三間飛車相穴熊

先手の中村九段が三間飛車に振り穴熊を目指すと、藤井竜王も穴熊に構えます。藤井竜王が△4一金と引いて角の可動域を拡げると、中村九段は飛車を3筋に回して攻撃の糸口を探ります。

銀の捕獲

藤井竜王が△2四角と覗いて受けると、中村九段は▲2六歩と突いて後手の角に圧力を掛けます。藤井竜王が△4四銀と出ると、中村九段は▲4五歩とぶつけます。藤井竜王が堂々と△4五同銀と応じ、8筋の歩を突き捨てて△8八歩と桂頭を叩くと、中村九段は▲3七桂と跳ねて銀を捕獲します。

銀と桂2枚の2枚替え

藤井竜王は8筋の桂を取って"と金"を作ると、中村九段は▲4五桂と銀桂交換し、▲2五銀と打って後手の角を追います。中村九段は▲4四歩と垂らしますが、藤井竜王は構わず△8六角とぶつけ、角を交換してから歩で4筋を補強します。

田楽刺し

中村九段は▲6一角と打ち込んで攻めをつなぎますが、藤井竜王は"と金"で香を取り△8九飛成と王手で竜を作ります。中村九段が▲4九歩と底歩で凌ぐと、藤井竜王は△4二香と田楽刺しに打ちます。

藤井竜王の猛攻

中村九段が▲3二成銀と金と交換すると、藤井竜王は△6六角と打って攻防に利かせます。中村九段は3筋の歩を伸ばしますが、藤井竜王は構わず△4六香と銀を剥がすと、△4八角成と金を食いちぎって先手陣を崩します。

瞬く間の終局

藤井竜王が飛金両取りに△5七銀と打つと、中村九段は▲3九金と打って粘ります。藤井竜王が銀で飛車を取り、金の両取りに再度△5七銀と打つと、たまらず中村九段は投了を告げました。

まとめ

本局は中村九段が三間飛車を採用し、相穴熊の将棋となりました。中村九段は飛車を3筋に回して揺さぶりを掛けましたが、藤井竜王は銀を先手の守りの桂と交換させることで先手陣を弱体化させ、飛車先を突破して竜を作ると、一気に先手の穴熊を攻略し寄せ切る快勝となりました。
勝った藤井竜王は、2回戦で永瀬拓矢王座との対局が予定されています。2回目の銀河戦優勝に向け、難敵を倒して駆け上がることを期待します。

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