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2022年に将棋界で達成して欲しい記録

2022年の年頭にあたり、今年の将棋界で達成して欲しい記録をまとめておきたいと思います。達成されるであろう記録の予想ではなく、個人的に達成して欲しいと思っている記録なので、新年の初夢を見るように気楽に眺めていただければと思います。

■5年連続勝率8割以上(藤井竜王)
昨年度は前人未到の4年連続勝率8割以上を達成した藤井竜王ですが、今年度も12月末時点の勝率が0.818(45勝10敗)となっています。1-3月の対局予定は、王将戦七番勝負(4-7局)、順位戦(3局)、朝日杯(1-4局)です。52勝13敗以上で8割なので、王将奪取が絶対条件になります。順位戦も昇級を争う強豪との対局が続きますので、相性の良い朝日杯で優勝したいところです。ちなみに全勝した場合の勝率は0.848(56勝10敗)で、自己最高記録0.849には届きません。
*王座戦の予選や銀河戦収録などの日程が不明ですが昨年は4月以降だったので対象外と思われます。

■史上最年少六冠(藤井竜王)
昨年までに四冠を獲得した藤井竜王が、今年新たに奪取する可能性があるタイトルは、1月からの挑戦が決まっている王将と、9月から五番勝負が始まる予定の王座です。もちろん既に保持している4つのタイトルをすべて防衛した上で、新たに2つのタイトルを奪取するのは容易ではありません。でも今の藤井竜王の勢いがあれば、成し遂げてくれるのではないかという期待が膨らみます。これまでタイトル戦に6回登場して負けのない藤井竜王にとって、最難関はトーナメントを勝ち上がらなければならない王座かもしれません。なお、残るタイトルの名人と棋王は、早くて2023年の挑戦となります。

■史上初の10代同士のタイトル戦(藤井王位vs伊藤(匠)四段)
19歳の伊藤(匠)四段が、初参加の王位戦で予選を勝ち上がり挑戦者決定リーグ入りを決めています。12名が紅白に分かれて総当たりのリーグ戦を戦い、優勝者同士が挑戦者決定戦を行います。まだまだ先の長い道のりですが、今期の王位戦は永瀬王座を伊藤(匠)四段が破り、渡辺名人も予選で敗れてタイトルホルダーが姿を消しています。絶対的優勝候補がいない中で、誰が挑戦者になっても不思議ではありません。伊藤(匠)四段が挑戦権を獲得すれば、同学年の藤井王位と10代同士のタイトル戦が実現します。

■タイトル獲得通算100期(羽生九段)
昨年も達成して欲しい記録として挙げましたが、残念ながら昨年の羽生九段は不振に喘ぎ、タイトル戦の登場はありませんでした。しかし前期王位戦では挑戦者決定戦まで進みましたし、羽生世代の佐藤(康)九段が王座戦で、郷田九段も棋王戦で挑戦者決定戦に進出しており、まだまだ老け込む歳ではありません。現代将棋を取り入れた強い羽生九段が蘇り、タイトル獲得通算100期の夢を追い続けて欲しいと思っています。

■女流八タイトル全冠制覇(里見女流五冠)
昨年の里見女流五冠は、清麗を失冠したものの女流王将と女流王座を奪還し、女流五冠に復帰しました。自身最大の女流六冠の更新、そして全八冠制覇も視野に入ってきました。しかし今年は、西山女流二冠がこれまで奨励会員の立場では出場できなかった女流棋戦にも参戦しており、二強の争いが激化することも想定されます。更に清麗を奪取した加藤(桃)清麗、タイトル戦の常連伊藤女流三段も力を付けてきています。また山根女流二段ら20代前半の若手や野原女流初段ら10代の新鋭の台頭もあり、女流タイトルの勢力図がどのように変わっていくのか楽しみにしています。

■初タイトル獲得までの最多挑戦(伊藤女流三段)
里見女流名人に伊藤女流三段が挑む女流名人戦が、1月に開幕します。2019年に木村九段が7回目のタイトル挑戦で初タイトルとなる王位を獲得して話題となりましたが、伊藤女流三段にとってはこれが9回目のタイトル挑戦となります。女流名人への挑戦が決まってタイトルへの想いを聞かれた際「女流棋士の中では一番強いんじゃないかと思う」と答えた伊藤女流三段が、悲願の初タイトルを獲得できるのか注目しています。まだ28歳の伊藤女流三段にとって、これが最後のチャンスという訳ではありませんが、これまで何度も悔し涙を流してきた伊藤女流三段が、今年は歓喜の涙を零す姿を見たいと思っています。

■将棋界初の女性棋士誕生(里見女流五冠、西山女流二冠、中三段)
昨年は西山女流二冠が年齢制限前に奨励会を退会し、三段リーグ突破を期待していたファンに衝撃が走りました。制度が違うので単純に比較はできませんが、囲碁界では男女混合棋戦で女性棋士が優勝することもあるのに対し、将棋界ではまだ女性の棋士は一人もいません。将棋界には棋士とは別に女流棋士という制度があり、最近は女流棋戦も充実してきたので苦労して男性と同じ条件の棋士になる必要性は低くなっているのかもしれません。しかし西山女流二冠や里見女流五冠は、棋士との対戦成績を見ても棋士になれる可能性はあると思います。ご本人たちがどう考えているのかわかりませんが、是非所定の成績を残してプロ編入試験を突破して欲しいと思います。なお現在、中三段が奨励会の三段リーグで戦っており、今期は12月末時点で5勝3敗と健闘しています。中三段の奨励会突破にも期待したいと思います。


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