見出し画像

竜王戦第四局延期について思うこと

11月7-8日に行われた竜王戦第三局の後11月10日から高熱で入院していた羽生九段が、11月14日に退院され11月17日の王将リーグから対局を行うとのニュースが流れた。大事に至らなくて本当に良かったと思う。

11月12-13日に予定されていた竜王戦第四局は延期され、第五局が予定されていた11月26-27日を第四局として続行すると発表されたのは、前日の11月11日のことだった。延期という決定は妥当だし、多くの将棋ファンや両対局者にとっても納得できるものだったと思う。ただ、元々第四局の会場となる予定だった福島市の吉川屋や、前夜祭や大盤解説会を楽しみに遠方から訪れた方々にとっては残念なことだったと思う。

報道によると、前夜祭は「歓迎の夕べ」というイベントに変更され、豊島竜王は和服で登場し、地元や羽生九段への気遣いが込められた挨拶をしたという。佐藤康光会長も急遽駆け付け、立会人予定だった島朗九段と即興のトークショーで場を盛り上げた。更に豊島竜王が第三局の自戦解説を行い、副立会人予定だった飯島七段や観戦記を担当する予定だった藤井女流初段がサポートした。

会場を訪れたファンは、当然のことながら第四局を間近で観戦したかったはずだ。しかし、それが叶わない中で関係者ができる限りのサービスでもてなしたことは、充分に伝わったのではないだろうか。ファン層が急激に拡大しつつある将棋界において、佐藤会長をはじめ一人ひとりがファンを大切に想う行動は、とても素晴らしいことだと思う。

1つだけ気になったことがある。今回は対局前の入院だったので延期という処置になったが、対局途中に発熱した場合はどうなるのかという点だ。特に竜王戦のように2日制の対局では、1日目の終了後に発熱するという事態は充分考えられる。もちろん発熱した状態で指し続けることは御法度だし、投了扱いになるのか指し直しとするのか、ルールを明確にしておいた方が良いように思う。既にルールはあるのかもしれないが、体調不良を申告した棋士に不利益がないルールであることを願いたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?