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#1 産まれて初めて見た景色

ほら、早速木曜日の更新に間に合わないじゃん!
全くなにやってんだオレは。

いつも少し遅れる。なにかがちょっと遅い。
しかも焦らない。
めちゃくちゃマイペース。

振り返ってみれば産まれた時からそうらしい。
10代の頃に母親から言われた事がある。

「ママのお腹の中が居心地が良くて予定日から2週間も遅れて産まれたのよ♪」

ついこの前会った時は「ママのお腹の中が居心地が良くて予定日から1ヶ月も遅れて産まれたのよ♪」

と年々予定日が変わってるから恐らく1週間ちょっとくらい遅れたらしい。
勿論居心地が良かったのかは覚えてないがお母さんのお腹の上で寝るのが好きだったのはなんとなーく覚えてる。

自分はこの家族の次男、第三子として平成元年の4月24日に産まれ今年で33歳になった。
これだけ生きてれば甥っ子や姪っ子だけでなく友達にも子供が産まれいくつもの出産話を聞いた事がある。
産まれるまでに10数時間かかったとか…
へその緒が絡まってて大変だったとか…

あれ?
オレが産まれた時はどれだけ大変だったんだろ?
聞いた事なかったな…

ある日ふと疑問に思ったオレは母親に聞いてみた。

「オレ産む時大変だった?」

「貴方はねぇ…ツルッと出てて来て泣き声も静かでなんかヤギさんみたいだったよー♪」

「夜泣きもしないし静かだったから近所から本当に産まれたの?って疑われてサイレントベイビーって呼ばれてたんだから♪」

産まれて初めて付けてもらったあだ名に少し戸惑いながらもそりゃ3人目だし母親も出産に慣れてたんだなーと勝手に思ってた。
とんでもない事実を知るまでは。

「周りは10数時間かかったとか大変だったって聞くけどオレは比較的楽だったんだね!」

「うん♪でもトイレで頭出てきちゃってビックリしたんだから♪」




え?





トイレで頭出ちゃって…??








母親のお腹の中が居心地良かったオレは予定日を過ぎても産まれて来なかった。
だがオレがいつ産まれても良い状態だった為に母親は入院していたらしい。

そんなある日。
いや。平成元年の4月24日。
「全然出てこないねー♪」と母親は大きなお腹を抱えトイレに向かった。

用を足そうと力を入れた瞬間…

「これ違う!!」

気付いた時には遅かった。

オレが産まれる為に送った合図は腹痛と間違えられ無情にも産まれかけてしまったのだ。

母親曰く「ナースコール押すのが大変だったんだから!」

いや。そうなんだろうけどそうじゃないだろ!

その後無事ナースさん達が到着し無事ツルッと出てて来て泣き声も静かに世に誕生したらしい。

いや。トイレでほぼツルッと出てたしトイレで泣き声切ってた可能性ありません?

泣き切ってたは無いか。
ただ産まれ落ちた世界が聞いてたヤツとちょっと違ったからオレは戸惑ったんでしょうね。

そりゃ初めて見た世界が便器なんだから。

「噂では産まれる世界には無限の可能性が広がってるって聞いてたんですけど思ってたより真っ白で狭いでちゅー♪」

言うてね。

まあ今となってはもう少し早く産まれてたらこんなエピソードも無かった訳だし産まれた瞬間に母親がくれた貴重な教訓だと言い聞かせてる。


「予定から遅れて良いことないよ!」



次回からの更新頑張ります。

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