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トラブルの芽を事前にみつける、オンライン時代の「雑談力」

唐突ですが「雑談」って必要だと思いますか?

昨年の新型コロナウイルスの流行が突如はじまり、ニューノーマルの代名詞となったテレワークも2年目に入りました。メリット・デメリットいろいろな意見がありますが、最大の悩みはコミュニケーションの低下といわれているようです。

わたしの書籍編集の仕事も打ち合わせはほとんどオンライン上だけになり、スムーズなコミュニケーションを取るのが難しいと感じることが増えて、「雑談」の必要性や価値について考えることが多くなりました。

初対面がオンラインは特に注意すべき!

人それぞれ、仕事をしやすくするためのビジネス上の会話のコツのようなものがあると思います。

営業の仕事をしているわたしの友人は、お客様を訪問し商談が終わったあとにエレベーターホールで見送っていただくときに、同行している部下の前では話しにくいことを話したり、言いづらいことをお伝えしたりすると言っていました。

しかし、それも対面でのビジネスが可能だったころの話で、みんなが同時に入るオンライン会議ではそういったことも出来ず困っているようです。

編集者の仕事で一番大事なコミュニケーションを取る相手は著者の方になる場合が多いと思いますが、多くの方は小説家でもない限り本業のお仕事をお持ちです。そうなると必然的に多忙なスケジュールの中で原稿を書いてもらうことになるので、著者の方にはじめてお会いするときには、「雑談」を利用してあえて聞きにくいことにも立ち入ってお聞きすることもあります。

例えば、

●編集者にしてほしいこと、してほしくないことは?
●締め切りは守ってくれるほうか?
●ご旅行など長期で不在にするご予定は?
●育児や介護などで多忙なことはないか?
●週末もお仕事をされるタイプか? など

しかし、コロナ禍の今では本が出来上がるまでほとんど直接お会いすることが出来ないという状況です。これもニューノーマルの一つになるのでしょうが、特にはじめて仕事を一緒にする方とは、オンラインで相手の顔は見えても細かな感情を察するのが難しく、誤解がないか不安になることもあります。

オンラインで「空気を読む」のはさらに難しい

また、実際にお会いする利点には、その方の雰囲気を読み取ることが出来るというのもあると思います。例えば性格は「おおざっぱか?」「神経質か?」などは、その方の表情や顔色、目線、また目話し方やスピード、回りのスタッフへの対応などから憶測して判断しているんですね。

これらをノンバーバルコミュニケーション(非言語コミュニケーション)というらしいのですが、その場の「空気を読む」ことから直接聞けないような情報を受け取っているんだと思います。

残念ながらZoomで空気感までを読むのは難しく、その結果、今までだと「雑談」の中から拾えていたかもしれないトラブルになりそうな小さな芽がオンラインだと隠れてしまい、大きなトラブルになってやっと気が付くということもあるのではないでしょうか。

ビジネスライクになりがちなオンラインの打ち合わせでも、たわいのない話をすることで信頼関係をつくることをもっと重要視しなければと思います。

コミュニケーションの変化に対応していく

人と会うことや、会社に行くことが当たり前だったコロナ禍以前であれば、「雑談」は特に意識をしなくても自然とできていたことだったのでしょう。

しかし生活が一変し、電車の中でおしゃべりすることすら我慢しなくてはいけないような今の時代では、意識して何でもない会話をするようにしなければ、相手との信頼関係をつくるのは難しいのかもしれません。

今までは会議や打ち合わせはきっちり時間内に終わらせるべきだと考えていましたが、冒頭で少し長めのアイスブレイクでお互いにリラックスしたり、たとえ終了時間がすぎていても、相手の都合がよければたわいもない話で打ち解けるようにしています。

そうした「雑談」から、「そうそう、さっきのあのテーマだけどね……」と別なアイデアが湧いてきたり、「自分の知り合いでこういう人がいてね……」と情報交換ができたりと、無駄と思われるたわいもない時間が、実は大事な「余裕」というのだなと感じるようになってきました。

福祉の本編集部も、春に二人の若手社員を迎えました。先日、リモートワーク会議のすきま時間に「春から始めたこと!」をテーマに「雑談」したところ、みんな麻雀好きということがわかり意外な話で盛り上がりました。15分程度のことでしたがその後仕事が快調に進んだような気がします。

コロナで仕事の仕方が一変したのに合わせて、人と人とのコミュニケーションの取り方も変わっていくべきなのだと感じています。

(編集部 倉橋)

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