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保育士の道に進む人に役立ててもらいたい、資格試験の対策テキストと問題集

昨年末のことですが、印象に残った記事がありました。

人気ファッション誌『egg』のモデルとして活躍していた宇津木秀美さん(でみちゃん)が、10代の頃からなりたいと思っていた保育士の道へ進んだ経緯を取材したものです。

黒ギャルモデルとして知られていた頃から専門学校に通い、保育士と幼稚園教諭の資格を取得。ですが、ギャルとして人生を謳歌したいこともあってどうすべきか悩んでいたと。

そこから一歩踏み出せたのは、かつて職業体験で訪れた保育園での経験が大きかったそうです。母親がフィリピン人のため見た目で差別的な扱いを受けていたのに、子供たちはそんなのは関係なく接してくれた。だから、自分も先生になって一人ひとりの個性を大切にしたいと思ったと答えています。

いま実感していることは、子どもたちには教えたことがそのまま伝わってしまうので先生の責任は重大だなって。そんな中で、“おとなのエゴで決めつけない”ように意識しています。たとえば、塗り絵の時間でもバナナは黄色である必要はなく、自由に塗りなって。赤やピンクだってあるかもしれないから(上掲の記事より)

いま、待機児童の問題や幼児教育・保育の無償化など子育てを取り巻く環境が大きく取り沙汰されています。その中で中心的な役割を担う職業が保育士ですが、働く環境や年収が必ずしも充分ではないことも社会的な問題として取り上げられています。

ただそれでも、宇津木さんのように子供たちのために保育士の道に進む方も少なくありません。翔泳社では以前から、そうした方をサポートするために保育士資格の試験に役立つ教科書を刊行してきました。

そのメインとなるのが『福祉教科書 保育士 完全合格テキスト 上 2020年版』と『福祉教科書 保育士 完全合格テキスト 下 2020年版』です。

翔泳社の通販サイトSEshopではPDF版も販売しています。

保育士になるには試験を受けて資格を取得する方法と、大学や専門学校で必要な科目を取得して卒業する方法があり、どちらもさまざまなことを学ばなければなりません。前者については、大学・短期大学の卒業者であれば、保育に関する実務経験がなくても受験できますが、その筆記試験の合格率は約20%であり難易度の高い試験です。

最初に紹介した記事で宇津木さんが言うように、子供は大人の言葉や態度を受け取って育ちます。だからこそ、保育士の受験者にも、子供の心理学や教育法、さらには遊びに関する事柄まで幅広く確かな知識が求められます。

もし保育士を目指している方がいらっしゃれば、実際に保育士養成の第一線で活躍する専門家が結集して、必要な知識をていねいに解説した本書を役立てていただければと思います。

※専門学校・高等学校を卒業した方など、受験資格の詳細については全国保育士養成協議会のページを確認ください。

翔泳社の福祉の本には、試験対策に特化した問題集として『福祉教科書 保育士 完全合格問題集 2020年版』、一問一答形式の『福祉教科書 保育士 出る!出る!一問一答 2020年版』、語呂合わせで要点を覚えられる『福祉教科書 ゴロ合わせでらくらく暗記!保育士完全合格要点ブック 第2版』もありますので、こちらもぜひ参考に。

また、今回は『福祉教科書 保育士 出る!出る!一問一答 2020年版』から、試験でどういった問題が出るのかを紹介します。現在の自身の知識がどれくらいかを把握するテストとして目を通してみてください。

以下、『福祉教科書 保育士 出る!出る!一問一答 2020年版』(翔泳社)から一部を編集して抜粋します。問題番号は本書に準じます。

保育の心理学

【Q96】子ども同士のいざこざに気付いた時には、保育者は必ず仲裁しなければいけない。

× いざこざの原因を見極めたうえで、自発性を大切にし、ときには子ども同士での解決に導くなどの対応も考えられる。必ず仲裁しなければならないわけではない。

【Q133】生後1か月頃には、単色の単純な刺激と、同心円模様、新聞の一部、顔の絵といった複雑な刺激を対にして見せられると、より複雑な刺激、特に顔図形を好んで注視する。

× 顔や複雑な図形、あるいは濃い色彩への選好はかなり初期から現れるが、それが特に目立ってくるのは[生後2~3か月頃]からである。

保育原理

【Q263】「児童福祉法」においては、「児童福祉施設の職員は、常に自己研鑽に励み、法に定めるそれぞれの施設の目的を達成するために必要な知識及び技能の修得、維持及び向上に努めなければならない」とされている。

× この内容は、児童福祉法ではなく[児童福祉施設の設備及び運営に関する基準]の第7条に定めがある。

【Q271】概ね2 歳児では、排泄のリズムを表に付けて、トイレに誘う時間を決め、その時間通りにトイレに連れていくようにする。

× 生理的機能が未発達な子どもの状況を無視して、排泄を時間で強制することは望ましくない。

子ども家庭福祉

【Q407】2019 年5月現在、アメリカ合衆国は「児童の権利に関する条約」を批准していない国の一つである。

◯ アメリカ合衆国は「児童の権利に関する条約」に批准していないが、将来的に「批准」する意思があることを示す[署名]は行っている。

【Q417】放課後児童健全育成事業では、放課後児童支援員は、保育士資格や教員免許取得者でなければならない。

× 保育士資格や教員免許取得者以外でも、「大学で、社会福祉学、心理学、教育学などの学科を卒業した者」、「二年以上放課後児童健全育成事業に類似する事業に従事した者で市町村長が適当と認めた者」が、都道府県知事が行う研修を修了すれば、放課後児童支援員の要件を満たす。

社会福祉

【Q546】福祉サービスは、社会福祉事業の適正な実施の確保を図るために、最低限度の措置にとどめなければならないとしている。

× [社会福祉法]第78 条第1項では、「常に福祉サービスを受ける者の立場に立つて[良質]かつ[適切]な福祉サービスを提供するよう努めなければならない」と明示している。

【Q558】個別面談の際、ある保護者が話しづらそうにしてなかなか語り出さないので、保育士は「今日はやめて、別の日にお話を伺うことにしましょう」と面談を切り上げた。

× 保護者が話しにくい状況にある場合、その状況を理解し、[話しやすい]雰囲気を作ることが大切である。例えば、[開かれた質問]や[閉じられた質問]などの質問技法を用いることも有効である。

教育原理

【Q657】「児童権利宣言」において、「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心とを授けられており、互いに同胞の精神をもつて行動しなければならない」と述べられている。

× 「 児童権利宣言」(児童の権利に関する宣言)ではなく、正しくは[世界人権宣言]である。「世界人権宣言」は1948(昭和23)年の国際連合で採択された。

【Q667】幼保連携型認定こども園に入園することのできる者は、満3歳以上の子どものみとされている。

× 満3歳以上の子どもの他に、[保育を必要とする満3歳未満の子ども]も入園できる。

社会的養護

【Q756】2017(平成29)年度の児童相談所における児童虐待相談処理件数を見ると、13万件を超えており、児童虐待防止法が制定された2000年と比較して7倍超になっている。

◯ 児童虐待相談処理件数の統計は1990(平成2)年度の[1,101件]から2000年度には1万7,725件に、2017( 平成29)年度は[13万3,778件]と報告されている。

【Q770】子どもと里親家庭のマッチングは、フォスタリング業務の中でも里親委託の成否を左右する極めて重要な要素である。

◯ 「フォスタリング機関及びその業務に関するガイドライン」IVの3に述べられている。

子どもの保健

【Q888】乳幼児突然死症候群(SIDS)の日本での発症頻度はおおよそ出生6,000〜7,000人に1人と推定され、多くは生後1歳以上で発症する。

× 発症頻度は、日本では出生[2,000人に1人]である。また多くは生後[1歳未満]である。

【Q906】気管支喘息と診断されている子どもに対しては、発作が起きないように、外遊びや遠足には参加させない。

× 気管支喘息と診断されている子どもは、発作が起きていないときは、外遊びや遠足にも[参加させる]。

子どもの食と栄養

【Q1033】妊産婦の食生活指針では、体格区分が「ふつう」の場合の、妊娠中期から末期における1週間あたりの推奨体重増加量は、0.5~0.7kg/ 週である。

× 妊娠期における推奨体重増加量は、非妊娠時の体格区分別に示されている。体格区分が[ふつう]の場合の、妊娠中期から末期における1週間あたりの推奨体重増加量は、[0.3〜0.5]kg/ 週である。

【Q1048】児童養護施設においては、児童が施設を出て社会人として生活していくために、調理の技術や、食事をバランスよく摂ることなど健康管理等の生活技術を習得させて、自立を食生活の面からも支援することが求められる。

◯ 児童養護施設では、バランスの良い食事の摂り方や[調理技術]なども学ぶ機会を作り、施設を出た時に食生活において[自立]できるように取り組んでいる。

保育実習理論

【Q1185】保護者の不適切な養育が疑われる場合、プライバシーの保護や守秘義務の観点から、確たる証拠が得られるまでは様子を見ることが必要である。

× 保護者の不適切な養育が疑われる場合は、市町村や関係機関と[連携]し、要保護児童対策地域協議会で検討するなど適切な対応を図ることが求められている。また、虐待が[疑われる]場合は速やかに市町村または児童相談所に[通告]することが求められている。

【Q1192】乳児院での実習を始めることになったOさんは、「安全」について考えるように職員から課題を出され、最初の一日の可能な限り多くの時間を子ども目線で物を見て関わることに努力した。

◯ 子どもにとっての危険は、子どもの目線で様々なことを見て初めて気づくこともあるので、子どもの目線でよく見て確認することは大切である。


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