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その接し方で大丈夫?『新人保育者の育て方』であなたの先輩力をチェック

翔泳社から好評発売中、新人保育者の育成担当として必要なスキルと心構えを解説した『安心して仕事を任せられる!新人保育者の育て方』。

この春、新人保育者を育てる立場になった方は「自分がうまく育てられるか」「新人との接し方が分からない」と不安を抱えているのではないでしょうか。

今回は本書から、「序章 あなたならどうする!? 新人育成力チェック」を紹介します。

すぐに落ち込む新人、いつも指示待ちの新人……どうすれば信頼され仕事のできる保育者へと育てることができるのか、ヒントを掴んでいただければ幸いです。

◆著者について
浅井 拓久也 (あさい たくや)
秋草学園短期大学准教授。専門は保育学。保育所や認定こども園の顧問も務める。全国で講演会や研修会を行っている。著書に『マンガでわかる!保育所保育指針 2017 年告示対応版』(中央法規出版)、『活動の見える化で保育力アップ!ドキュメンテーションの作り方&活用術』(明治図書出版)、『先輩保育者が教えてくれる!連絡帳の書き方のきほん』(翔泳社)などがある。

1 すぐに落ち込む新人への接し方がわからない

「新人のためを思って助言しているのに、助言されることが自己否定だととらえているようです。どうすれば新人が助言を受け入れやすくなるのでしょうか?」

あなたなら、新人にどう接する?

  1. 自分の経験をもっと詳しく伝える。

  2. まずは、なぜだろうと?と新人の立場で考えてみる。

望ましい対応は2

新人育成には信頼関係が大事です。信頼関係ができる前に、選択肢1のように先輩自身の経験をたくさん話しても、新人には伝わりにくいです。そこで、新人との信頼関係を作りましょう

そのためには、まずは新人の立場から考えてみるのです。図の例だと、新人は子どもに何を伝えたかったのか、どのような気持ちでいたのかに思いを巡らせて、いったんは共感してみるのです。

そのうえで、このような場合はどうすればよいのかという具体的な助言をすると、新人は先輩の助言を自己否定ととらえることなく、前向きに受け止めやすくなります。こうしたプロセスを経ることで、新人は先輩の助言を「受け止める力」がついていきます。

2 いつも指示待ちで、自分で考えて行動してくれない

「言われたことしかしない新人がいますよね。新人が指示されたことからもう一歩先を予想して動けるようにするためにはどうしたらよいのでしょうか?」

あなたなら、新人にどう接する?

  1. 「これではオンラインで会議ができないでしょ!」と注意する。

  2. 「念のためパソコンが動くかも確認しておいてね」と伝えておく。

望ましい対応は2

新人からすれば、頼まれたパソコンはきちんと用意しました。だから、選択肢①のような言い方をすると、先輩に対して不信感をもってしまいます。そこで、先輩から指示や頼みごとをされたときは、「どうしてそういう指示や頼みごとをするのか」を考えたり質問したりするように助言します。

例えば、「風邪薬を買ってきて」と頼まれたとき、風邪薬が売り切れでも、風邪薬が必要なのは頭痛がひどいとわかっていれば頭痛の鎮痛薬を買おうと考えることができます。

この場面でも、オンラインで園の紹介をするためにパソコンが必要だとわかれば、「園のパンフレットや園紹介のスライドも必要かな」「パソコンがきちんと動くか確認しておこう」と考えることができるでしょう。

もちろん、先輩自身も指示や頼みごとをする際はその背景や新人にしてほしいことを詳細に伝えるともっとよいでしょう。

3 私が新人の頃に比べてできないことが多すぎる

「自分が新人だった頃にすいすいできたことを新人ができないと驚くことがありませんか?でも自分の思い出が過剰に美化されていることも……?!」

あなたなら、新人にどう接する?

  1. 「もっとがんばって!」と檄を飛ばす。

  2. 昔は昔、今は今と割り切って新人に必要な助言を考える。

望ましい対応は2

時代は変わっていきます。手書きしかできなかった時代の新人と、スマホやパソコンで文章を書くことができる時代の新人では、書くという行為一つとってみても、経験や考え方はまるで異なります。

だから、自分が新人の頃を前提として檄を飛ばしても、今の新人にとっては簡単に理解できないこともあります。

そこで、今の新人が育ってきた環境や経験してきたことを前提とした助言をするとよいでしょう。新人の立場を考えて、学びやすくすることも先輩の大事な仕事なのです。

4 報告や相談を受けても、話がわかりにくくて困っている

「新人から報告や説明を受けると、何が言いたいのかよくわからないことがあります。どのようなアドバイスをするとわかりやすい話し方になるのでしょうか?」

あなたなら、新人にどう接する?

  1. 話をきちんと整理してから話すように伝える。

  2. まず言いたいことを言う、次に理由を言うように伝える。

望ましい対応は2

新人の話がわかりにくいのは、話を整理する具体的な方法がわかっていないからです。だから、選択肢①のような助言をしても、そもそも整理自体ができないので、わかりにくいままです。

そこで、わかりやすい話し方とは話を構造化することであることを教えます。話を構造化するとは、何について話すのか、何を言いたいのか、なぜそう言いたいのかをきちんと区別して、順番に話すことです。

そして、難しい言い回しや自分が知らない言葉を使うのではなく、小学校4年生でもわかるような平易な言葉を使って話すことを伝えると、新人の伝える力が高まっていきます。

5 細かいことにこだわりすぎて、仕事がなかなか進まない

「仕事ではこだわりが強すぎると同僚に迷惑がかかります。新人のこだわりを上手にコントロールする方法とは何でしょうか?」

あなたなら、新人にどう接する?

  1. 仕事はほどほどで切り上げるものと教える。

  2. 仕事を進める前に確認すべき項目を教える。

望ましい対応は2

新人がこだわりをもちすぎるのは、仕事の「ほどほど」とはどういうものかがわかっていないからです。だから、選択肢1のような助言をしても、事態は一向に改善されないでしょう。

そこで、必要以上にこだわりをもたないようにするために、仕事をする前に確認する項目を教えます。例えば、持ち時間です。持ち時間から逆算すれば、何をいつまでにどこまでやるのか(やれるのか)が明らかになります

また、報連相のコツを教えるようにします。報連相をどのタイミングで行うと、最も効果的かということがわかれば、新人が一つの仕事にこだわりすぎて、時間を浪費することがなくなるでしょう。

本書の詳細は▶こちら

今回の記事で紹介した以外にも、現場で役立つ新人・後輩指導のノウハウが詰まった1冊になっています。

  1. 育成担当者として身につけておくべき、指導のスキル・心構え

  2. 全45パターン!よくある場面別で使える具体的な声がけの方法や指導のコツ

  3. 新人が勝手に育つ園にするための、制度や仕組みの作り方

園長、主任保育者、初めて後輩を持つ保育者の方におすすめです!

目次

第1章 必ず押さえたい「新人育成10の鉄則」
第2章 場面別新人が育つ指導のコツ ①保育の基本スキル編
第3章 場面別新人が育つ指導のコツ ②心構え・メンタル編
第4章 場面別新人が育つ指導のコツ ③チーム力・人間関係力編
第5章 新人がもっと伸びる! 育成の仕組み・制度のつくり方

保育者向けのおすすめ本


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