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チラシやポスターに伝えたいことを詰め込んでない? 「失敗しないデザイン」のコツ

福祉や医療の現場でも、チラシやポスターを作ることがあると思います。その際、デザインに慣れていない方が作るとどうしても伝えたい情報を詰め込んでしまいがちです。

そして、でき上がるのはいかにも素人が作ったように見えるチラシ。いったいどうすれば伝えたい情報を掲載しつつ、見た目もいい感じにできるのでしょうか。

好みのデザインを真似するという方法もありますが、なにより大切なのは失敗しないためのポイントを知ること。そのコツを解説した本が、デザイナーの平本久美子さんによる『失敗しないデザイン』(翔泳社)です。

平本さんは大ヒットした『やってはいけないデザイン』の著者でもあり、業務でチラシなどの作成している方や、プロではないノンデザイナーのためのデザイン術について解説することを得意とされています。

本書『失敗しないデザイン』は、平本さんがこれまで登壇してきたデザイン講座の内容を実践ですぐ使えるようにまとめたもの。せっかく作ったのに効果なし、そんな悲劇をなくすためのテクニックがたくさん紹介されています。

今回はより分かりやすいデザインの方法を知っていただきたく、平本さんが「絵本の読み聞かせイベント」のチラシを添削する「デザインお直しBEFORE&AFTER ①イベントチラシ編」を抜粋して紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

以下、『失敗しないデザイン』から「デザインお直しBEFORE&AFTER ①イベントチラシ編」を抜粋します。掲載にあたって一部を編集しています。

デザインお直しBEFORE&AFTER ①イベントチラシ編

BEFORE

絵本の読み聞かせイベントのチラシです。「いつどこで」といった基本的な情報を正確に伝えなくては!という思いからか、事務的でやや固いイメージになってしまっています。

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AFTER

情報を整理し、レイアウトに余裕をもたせました。親子で気軽に参加できる楽しいイベントであることが、じっくり読まなくてもパッと伝わるようにリメイクしました。

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パッ!と目に入らない

一番目に入るチラシの上半分に文字が詰め込まれていて、目立ちにくいレイアウトです。配色も白黒基調のため、楽しそうな雰囲気があまり伝わってきません。

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例えば駅や公共施設のような人の集まる場所には、チラシやポスターなど、あちこちに広告がありますよね。道行く人たちの目に留まろうと、それぞれが必死にアピールしています。チラシやポスターはそれ単体で見られることよりも、ライバルたちと一緒に並ぶことの多い広告物です。

そのため、まずはしっかりターゲットの目に留まるためにデザインの工夫が要ります。「主役を大きく作る」のは、その工夫のひとつ。

主役を大きく作って、目立たせよう

メインターゲットのママさんたちの目に留まるように、主役を大きく作りました。「ワクワク」「びっくり!」といったキーワードを背景に散りばめることで、楽しさをイメージさせます。

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文字が多くて、事務的

リード文が長く、細かい文字を読まないと伝わらないデザインです。イベントの概要も全て文章内で説明されているので、事務的なイメージがしてしまいます。

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簡潔に書いてわかりやすく伝えよう

リード文はなるべく簡潔に要点をまとめましょう。また、大事な情報は本文内だけで説明せず、キーワードを抜き出してアイコン化することで、パッ!と伝えられます。

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囲みすぎて、窮屈なレイアウト

ほとんどの要素が線で囲まれているうえ、線と線の間に余白が少ないため、ギュウギュウ詰めのレイアウトになっています。リラックスできる場のイメージには合いません。

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線ではなく、余白で囲んでみよう

要素は線で囲むのではなく、余白で囲むイメージでレイアウトします。余白があることで視線が動かしやすくなり、パッと情報を見つけることができます。

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昔ながらのフォントを使っている

全体的に、昔から使われているようなフォントが使用されています。あまり古いフォントを使うと、デザインも垢抜けないイメージになり、若い層からは敬遠されてしまいます。

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パソコンのOS やソフトには、いまだに1990年代にデザインされたフォントがインストールされていることがあります。

一方、私たちが普段目にしている広告やパッケージ、雑誌、ウェブサイトなど、プロが手掛けるグラフィックデザインでは、それらのフォントが使われることはごく稀です。フォントはデザインの印象に強く影響します。デザインのトレンドが時々刻々と変化している中で昔のフォントを使うと、相対的に古く垢抜けないイメージを与えてしまう、というわけです。

新しいフォントで今っぽさを出そう

システムにインストールされたフォントだけでなく、インターネット上で配布されている無料フォントも取り入れて、デザインをバージョンアップしましょう。

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※日本語のフリーフォントを好きな言葉で試せるウェブサイト
ためしがき

好きな言葉を入力すると、日本語フリーフォントを使ったデザインをその場でシミュレーションしてくれるウェブサイトです。タイトルなど、短い言葉に個性的なフォントを使いたいとき、ウェブ上でデザインを比較できるので便利です。イメージに合うフォントが見つかったら、フォント配布元の利用規約や注意事項をよく読んで使いましょう。

まとめ|ターゲットの立場で見直そう

デザインの端々からは、いろいろなイメージが伝わります。文字を詰め込みすぎたレイアウトは余裕のないイメージを与えますし、事務的な言葉や言い回しは、固い印象を与えてしまいます。

常にターゲットが見たらどう感じるかを想像しながら見直してみましょう。想像が難しい場合は、ターゲットに近い人にデザインを見てもらい、率直な感想を聞いてみるのもおすすめです。


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