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心の健康・心理(翔泳社の福祉の本)

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翔泳社の福祉の本が扱う「心の健康・心理」をテーマにした記事を収納しています。
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記事一覧

発達障害の人が親の介護で直面するタスク&体調管理、そして遠距離介護の費用

発達障害を持つ人で、親の介護をしている人はけっして少なくありません。自身の仕事や生活に加えて介護の苦労も重なることで、すっかり疲弊してしまっている場合も。 今回は、そんな人たちの負担が少しでも軽くなり、真似するだけで介護がちょっと楽になる工夫やアイデアを解説した書籍『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に親の介護をするための本』を紹介します。 本書の著者でもある村上由美さんは、発達障害の当事者として日常生活を送るために行なった試行錯誤や経験が、親の介護に非常に

【4/11まで無料公開】発達障害を持つ人の仕事や勉強、暮らし、子育てなどに役立つ本

4月2日は世界自閉症啓発デー、4月2日から4月8日までは発達障害啓発週間です。 発達障害の特性があることで、仕事や勉強、暮らし、子育てで「難しさ」を感じている方は少なくないのではないでしょうか。 「どうしてうまくいかないのか」という憤りを少しでも減らしていただきたいという思いから、翔泳社では、ちょっとした仕組み化や便利なツールで「難しさ」を解決するというテーマの本を刊行してきました。 今回、発達障害啓発週間に合わせて、これまで刊行してきた関連本12点を2024年4月11

認知症と診断されたあとも仕事を続けるには?

認知症と診断されると、仕事にも大きな変化が訪れます。 特に会社勤めであれば、同じ部署で同じ仕事を続けられるとは限らず、働きたいという意思があってもどうしたらいいのか途方に暮れたり、転職や退職など難しい判断に迫られたりしてしまいます。 できるだけ以前と同じように働き続けるには、いったいどうしたらいいのでしょうか。 今回は、そのためにできること、しておくべきことをまとめた『本人と支援者が教える!認知症になったあとも「ひとり暮らし・仕事」を続ける方法』(翔泳社)を紹介します。

認知症の当事者と「読みやすさ」を試行錯誤した本が完成するまで

「家族や支援者向けの認知症の書籍は多いけど、当事者向けのものが少ない……」 そこから企画したのが、2023年12月20日刊行の書籍『本人と支援者が教える!認知症になったあとも「ひとり暮らし・仕事」を続ける方法』です。 著者は、認知症当事者のかもしたまことさんと、若年性認知症支援コーディネーターの来島みのりさん。本書を制作するにあたって、編集の私と著者2名で「どのような内容にしたら当事者が読みやすい本になるか」を何度も話し合って考えました! 今回は、話し合った内容や、本の

日常生活で利用できる、精神保健福祉制度によるサポート

精神疾患や精神障害の症状は人によってそれぞれです。さらに、治療は長期にわたることが多く、困難や困りごとを抱えながら日常生活を送り、仕事をしている人も少なくありません。 そんな人をサポートするために、精神保健福祉法や障害者総合支援法、生活活保護法などを中心としたさまざまな精神保健福祉制度があります。当事者の方はもちろん、家族や専門職の方も、たとえいますぐ必要ではなくても知っておくことで功を奏する機会があるかもしれません。 そこで今回は、翔泳社から発売中の、改正精神保健福祉法

あなたにとって幸せな時間とは? そして幸せでない時間とは?

家事や仕事、そのほか諸々の雑事に追われ、かといって空いた時間や休日はだらだら過ごしてしまう。それがむしろいいのだと感じる人もいるかもしれませんが、やはり有意義で充実したと実感できるような日々を過ごしたいと思うのが人の常。 そのためにはやはり、幸せだと感じられる時間を過ごすことが不可欠です(もちろん、幸せでない時間を減らすことも!)。では、あなたにとって幸せな時間とは? これはあくまで一般的な話になりますが、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)アンダーソン経営大学院

境界性パーソナリティ障害(BPD)の人の「嵐のような人間関係」

「境界性パーソナリティ障害(BPD)の人々の生き方は止まらない激情のジェットコースターのようなもの」 と、BPDの実像や治療法を伝え広めたベストセラーの邦訳、『境界性パーソナリティ障害の世界 I HATE YOU DON'T LEAVE ME』(翔泳社)では書かれています。 こうした特徴から、BPDの人は人間関係をうまく構築したり、人付き合いを続けたりすることが難しい場合も少なくありません。本書ではそれが「嵐のような人間関係」と形容されています。 今回は本書から、BPD

境界性パーソナリティ障害(BPD)の人たちが生きる世界

境界性パーソナリティ障害(BPD、Borderline Personality Disorder)を世に知らしめ、その実像や治療法を臨床精神科医ならではの視点で描いてアメリカでベストセラーとなった『I HATE YOU DON'T LEAVE ME』。 その第3版(2021年刊)の邦訳が、『境界性パーソナリティ障害の世界 I HATE YOU DON'T LEAVE ME』として翔泳社から6月21日(水)に発売しました。 本書はアメリカを始め日本など世界15か国で翻訳され

フリーランスになる前に副業から! 発達障害を持つ人が会社を辞める前に準備すべきこと

会社を辞めて、フリーランスとして働きたい。 ASDやADHDなどの発達障害を持つ方の中には、仕事内容や人間関係などさまざまな理由から、会社勤めに限界を感じている場合が少なくないかもしれません。 そんなときの選択肢として、フリーランスとして働くことが挙げられます。ですが、思い立ってすぐに会社を辞めてしまわず、準備をしてからのほうがうまくいく可能性が高まります。 書籍『発達障害フリーランス 属さない働き方のすすめ』(翔泳社)の著者である銀河さんは、自身も勢いで会社を辞めたこ

認知症の本の編集者が推す、2022年の個人的ベスト小説『ミシンと金魚』

今年もあともう3か月ですね。 社会人になってから毎年同じことを言っているような気がしますが、1年はどうしてこんなに短いのでしょうか ……。そして、私がコラムを担当するのも、どうやら今年最後のようです。 そこで今回は、少し早いのですが、今年読んだ本の中で最も印象に残った1冊を紹介したいと思います。 その1冊は、『ミシンと金魚』という小説です。 この本は2021年のすばる文学賞受賞作で、著者は訪問ヘルパーの経験があり現役ケアマネジャーでもある永井みみさんです。 物語の主

発達障害を強みに変える、フリーランスという働き方

「発達障害を強みに変える」という言葉は、発達障害を持つ方の就労支援をされている銀河さんのスローガンです。 銀河さんは自身も発達障害の当事者で、いまはフリーランスとして仕事をされています。かつては会社員として働いていたものの、人間関係などに悩んで退職。「死ぬよりはマシだ」とフリーランスになったそうです。 そんな銀河さんがこれまで培ってきたフリーランスとして働く方法や、なぜ発達障害を持つ方がフリーランスに向いているかなどを紹介・解説した書籍が『発達障害フリーランス 属さない働

最初はうつ病と診断されることの多い双極性障害、病気の経過を振り返って医師に相談しよう

双極性障害がうつ状態から始まった場合、多くはうつ病と診断されます。躁状態が表れることでうつ病から双極性障害へと診断が変更されますが、平均して4年~10年かかることもあります。 適切な治療のためには正しい診断が不可欠ですが、当事者や周囲の人はどういったことに気をつければいいのでしょうか。 翔泳社から発売中の『これだけは知っておきたい双極性障害 躁・うつに早めに気づき再発を防ぐ! 第2版 ココロの健康シリーズ』から、双極性障害と診断について解説された「PART3 最初から双

なんとなく不調を感じていても、診察で異常がなければ健康?

翔泳社から発売中の書籍『「アジャイル式」健康カイゼンガイド』のお知らせです。 著者はアジャイル実践者&スポーツプログラマーの懸田剛さんと、保健師&看護師&産業カウンセラーの福島梓さん。健康改善のための方法が紹介されている本書ですが、アジャイルという言葉は聞き慣れないかもしれません。これはソフトウェア開発でよく使われる手法です。 例えば、noteのようなサービスに大がかりな機能を追加しようとすると、計画から機能実装までかなり長い期間が必要です。ひととおり開発してからミスやバ

職場の悩みはいつも人間関係に……対人心理学で心の仕組みを覗いてみると?

職場での悩みの多くは人間関係にまつわることかもしれません。 いじめやハラスメントのようなはっきりとした被害がある場合だけでなく、相手に対してちょっとした違和感やもやもやした感情を抱くこともあります。 ですが、周囲との関係悪化や仕事を失うことなどを恐れ、不満や改善してほしいことを直接伝えることができず、自分が我慢すればいいと考えてしまいます。そして、それが続くと、いつしか気持ちが爆発します。 かといって、相手と腹を割って話し合うことはなかなか難しく(それができれば苦労せず