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仕事ができる人のノートとメモを覗き見してみよう

仕事ができる人は、ノートの書き方やメモの取り方から人とは違う。

だから、実際に仕事のできる人のノートを見れば、何か仕事の参考になるもしれません。

今回紹介するのは、さまざまなジャンルの達人20人のノートとメモを紹介する『仕事と勉強ができる人のリアル「ノート&メモ」術』(翔泳社)です。

本書では、30年以上ノートにこだわってきたビジネス書作家の戸田覚さんが、経営者や医師、研究者、クリエイター、東大卒勉強法デザイナー、勉強系人気インスタグラマーなどのノートを紹介。

使っているノートやツールはもちろん、メモの取り方や記録方法のこだわりや工夫など、その人らしいノート&メモ術を実際の中身とともに見ることができます。

戸田さん自身のノートも掲載されているので、この記事では戸田さんのノート&メモ術を紹介します。

日々大量の情報に触れながら、記事や書籍、動画も含めて多くの情報発信を行っている戸田さんは、いったいどのようにして情報収集し、整理しているのでしょうか。


膨大な情報量との戦いにノートで対応する

戸田覚さん
株式会社アバンギャルド、株式会社戸田覚事務所
代表取締役

中央大学中退後、アルバイトなどを経て、20代前半でライターデビュー。その後、ビジネス書作家としても活動し、著書累計160冊以上、Webや雑誌などの連載多数。講演やテレビ出演などもこなす。2018年よりYouTubeをスタートし、2023年現在のチャンネル登録者数は、22万人以上。大量の仕事を最短時間でこなすのがモットーだ。

僕の仕事は、本書のような書籍執筆、Webや雑誌、新聞の記事や連載原稿などの執筆作業が半分。書籍はこれまでに160冊以上執筆し、現在でも記事は月20本以上執筆している。さらに、YouTubeにも意欲的に取り組んでおり、6年近く前にスタートして、動画の総本数は2000本を大きく超えている。つまり、1日1本以上の動画を作っているわけだ。

YouTubeは、毎週10本以上アップしており、2つのチャンネルを運営している。量は質に勝ると考えており、完成度7~8割の動画を大量にアップするのが成功の秘訣だと考えている。実際に本数をやや減らした時期には、減らした本数以上に再生数が減っているので、自分のチャンネルに関しては通用する法則だ。

コンテンツは自分で作成しているが、動画の編集などは会社のメンバーが対応してくれている。その会社の経営に加え、講演などの仕事、大きなプロジェクトを請け負ってオウンドメディアや冊子を作る仕事もしている。

個人的なポリシーとしては、量は質に勝ると考えている。例えば、YouTubeの動画なら、質の高いものを1本アップするより、完成度7〜8割のものを2〜3本アップした方が、トータルでのビューは増える。つまり、収入も増えるわけだ。会社を経営しているので、安定的な収入が欠かせない。そう考えるとばらつきの多い質に頼る仕事より、量に頼る仕事の方が確実性が高いと考えている。

先に量ありきで、その後質を追求することをポリシーにしている結果が、この仕事量というわけだ。こんな量の仕事を40年ほど続けているので、もはや負担とも思わなくなっている。

仕事のネタなど、振り返ることが多いノートはOneNoteにまとめている。マイクロソフト製のアプリで、誰でも無料で利用できる。ただし、ファイル容量に制限があるので、サブスクリプションを利用している。本気で使うなら、有料課金の「Microsoft 365」の加入がおすすめで、Excel、WordなどのMicrosoft Officeも同時に利用可能なので、仕事に使うならマストと言える。
古くなったネタは別のセクションにバックアップしている。OneNoteは、ノートが大量になると使いづらい。個人的には連日大量のノートを記録しているので、使わなくなったと思ったら、同じ名前のOLDセクションを作り、そちらにドラッグして移動する。こうすることで、ひんぱんに見るノートがコンパクトにまとまり、探す手間が少なくなる。

情報も量との戦い

書籍、記事、動画のコンテンツは基本的に自分で作成しており、編集作業を他の人に任せている。当然だが、何を作るかという"ネタ"もほとんどが自分で考えている。一部編集部等からの依頼や提案もあるが、全体から見ると3%もないだろう。

例えば、動画を年に400本アップするとなると、そのネタになる情報は1500〜2500本は必要だ。それらを取捨選択して、有力候補として絞り込む。僕の場合は製品レビューなので、800本程度に絞り込んだ上で、メーカーにコンタクトして借用するなどの交渉をしなければならない。

同様の仕事が、執筆にもある。大雑把な計算だが、月間で300〜400件程度のネタをインプットして、記録している。

もはや、この量になると紙のノートでは絶対にこなせない。このようなコンテンツのネタはすべてOneNoteに記録している。あまりに量が多いために、OneNote自体の量の制約に突き当たり、ファイルは3つめとなっている。もちろん有料契約しているのだが、1ファイルの上限が2GBなのだ。

OneNoteでは、直近で使っているネタを1つのセクションとして運用し、掲載が終了したら「YouTube Old」というセクションに移行して、バックアップとして運用している。こうすることで、目にする情報の量が少なくなり、探すのも楽になるからだ。

OneNoteは、パソコン(Macでも利用できる)に加え、タブレットやスマホでも利用可能だ。もちろん、iPhone、Androidスマートフォンのどちらでも使える。同じアカウントで利用すれば、データは常に同期される。パソコンが万が一故障したり、なくしたりしてもメモはクラウド上に保存されている。紙のノートや手帳はなくしたらお終いだが、OneNoteなら安心だ。

OneNoteを使う理由

OneNoteを選んだ理由は明確で、マイクロソフト製だからだ。Evernoteも有料会員で併用しているのだが、今やトラブルでログインができなくなった。サポートの返信でさえ2週間くらいかかっている。これでは、メインのノートとして使うのは無理だ。

結局は、マイクロソフトやGoogleなどの超大手のサービスが、より安心できるわけだ。もちろん、機能も申し分なく、さまざまなデバイスで併用できるのが便利だ。パソコンで記録したノートはiPhoneやiPad、Androidスマートフォンでも利用できる。

いつでもどこでも、どのデバイスでもチェックできるのは重要だ。しかも、ファイルがクラウドにあるので、バックアップを考える必要がない。劣化や災害などで紙のノートが失われる可能性より、マイクロソフトの有料サービスでファイルが失われる可能性は低いと思っている。

OneNoteは、前記のようにスマホで利用可能で、iPhone、AndroidスマートフォンのどちらでもOK。スマホは常にインターネットにつながっているので、いつでも最新のノートを記録・閲覧できるわけだ。パソコンもSIMが入るモデルを選択し、常にインターネットにつながった状態で利用している。

Webからの情報収集はiPadを愛用

今や、多くの方が情報をWebページから取得しているだろう、僕も同様だ。Webの情報はiPad+Apple Pencilを利用して、iPadの標準アプリメモに記録している。特に腰を据えて情報を探す際には、iPadを使う。たまたまパソコンでWebページを見ていて気になったことがあれば、OneNoteやKeepに記録することもある。

ちょっとした記録はメモアプリのKeepも利用している。こちらは、Google製のアプリなので安心して使える。Gmailなどと共通の容量制限はあるものの、無料で利用可能。Keepに記録するメモは、基本的に一時利用のものばかり。例えば、人から聞いたレストランの電話番号をちょっと書いておくような用途だ。失ってもかまわないメモも記録しておくことで、あとで役立つ。

iPad+Apple Pencilを併用し、画面には左側にWebページ、右側にメモを開いている。気になる情報を見つけたら、タイトルやリンクなどをメモにドラッグするだけで貼り付けられる。つまり、今見ているWebページを瞬間的に保存できるわけだ。

さらに、Apple Pencilを利用して所感を手書きできる。パソコンで作業するよりも確実に手っ取り早く、気になる情報をどんどん溜め込んでいける。

重要なのは、「あれはどこで見たっけ?」とあとで考えないで済むようにしておくことだ。一度見た情報を再度探すのは時間の無駄と長年の仕事で気づいている。その対策がiPadの活用で、最初に見ている段階で必要なものをどんどん記録しておくわけだ。

ノートを利用するだけでも、実は画面が広いと大きなメリットがある。スマホでも問題なく内容は読めるが、iPadなら画面が広いのでさらに使いやすい。また、2画面での利用も可能なので、Webページを見ながら標準のメモアプリに情報を記録する使い方が非常に便利で、おすすめだ。

Teamsがまさに神アイテムだ

社内に加え、ひんぱんに連絡を取っている外部とのやりとりはTeamsを中心にSlackなどを利用している。実はこれが、ノートのあり方を大きく変えた。

これまでは、会議やミーティングをしたら議事録を作って記録を残していた。簡単な打ち合わせならメモを残していただろうし、それがないこともあった。

ところが、Teams上でやりとりをすると、自動的に全部テキストで記録してくれる。誰とどんな話をして、どんな作業をすることになったかが全部記録されているのだ。会社のメンバーと出かけることになり、その待ち合わせ場所や持ち物などを伝えられたとする。

これが面談だといちいち記録しなければならない。ところが、Teamsなら依頼が来た時点で勝手に記録されている。ノートやメモを書く必要すらないわけで、あとで検索などして探せばいい。

マイクロソフト製のビジネスチャットアプリ「Teams」をご存知の方も多いだろう。「Slack」も同様の機能を持っている。このアプリで情報をやりとりすると、すべてが記録される。つまり、あとで検索して探すことも可能だ。ファイルのやりとり、打ち合わせなども会話よりはるかに記録性が良く、自動でノートが出来上がると言っても過言ではない。外注を含め、ライセンスを割り当てて9名で利用している。

TeamsやSlackは、コロナ禍で面談しづらいことによって大きく利用が広がった。だが、コロナには関係なく、ビジネスチャットによるやりとりは非常に効率的で、やりとりのノートを書くという時間が大きく軽減されることがわかった。

結論としては、最強のノート術は自分で記録する手間をかけずに、あらゆる情報やコミュニケーションを保持しておくことだ。

ボイスメモも圧倒的に便利になった

スマホの普及で、ボイスメモがとても使いやすくなった。いつでもどこでも、サッと録音できるし、音声入力も可能なのだ。

Pixelのレコーダーは非常に秀逸で、音声メモを自動的にテキスト化してくれる。ちょっとしたアイデアや考えたことは、音声入力でどんどん記録している。思いつきの記録はテキストを打つより、しゃべる方が早くストレスがない。記録しているうちに内容を見失うこともないのだ。

さらに先進の専用ツールを使うと驚くべき記録ができる。「PLAUD NOTE」は記録した音声をテキスト化するのだが、通話内容にまで対応する。さらに、ChatGPTを利用して内容を自動で要約して、箇条書きを生成する。適当にしゃべった内容をとりまとめてノートを作ってくれるのだ。なお、PLAUD NOTEは先行で利用しているが、一般に購入できるようになるのは、2024年の春の予定だ。

愛用しているロディアのノートとPLAUDNOTE。ロディアのノートが好みなのは、マイクロカットのミシン目が入っていて、きれいに切り離せるため。あまりないが重要なノートを記録したら、スキャンしてデータ化している。PDFファイルにすることで利用性も良く、OneNoteに貼り付けるなどして他のメモと同様に保存可能だ。ただし、最初から保存することがわかっているなら、OneNoteを使う。

このように、僕のノートは徹底的にデジタル化し、記録する時間まで最小限にしようとしている。これで膨大な情報を毎日うまくさばいている。だが、手書きの良さも十分にわかっている。今でも、つらつらとロディアにメモを書くこともあるが、それは主に仕事以外の趣味の分野だ。

手書きのメモをスキャンすると、JPEG型式の画像やPDFで保存できる。紙と違って劣化せず、いろいろなデバイスで読むことができる。手書きが好きだがデータ保存に懸念を感じている方にはおすすめの方法だ。


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