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コロナ禍でのクリーニング事業運営

イギリスやアメリカで新型コロナウイルスのワクチン接種が始まりました。これまでマスクやアルコールで防御するしかなかったコロナ感染症対策も、いよいよ次のステージへの第一歩を踏み出したように感じます。

安全性や効果、持続性についての検証が十分でないとの指摘もありますが、それでもワクチンという『希望』が現実のものとなり、ようやく世界がコロナのトンネルから抜け出せるという期待を抱かせます。

一方で、国内では感染の第三波で医療が危機的状況にあり、年末年始にかけて各種GoToキャンペーンが停止になるなど、行動の自粛がより強く求められる状況になっています。国内でのワクチン接種の開始は、年度内を目標としているようですが、一般の接種が始まるのはその数か月先となるようです。今起きている第三波以降も、当面はこれまで同様の感染対策を継続していかなければならないでしょう。

今年の初め頃から騒がれ始めたコロナウイルス。実に1年以上もの長きに渡り付き合うことになりそうです。

ウイルスバリアお勧め衣料②

コロナによって様々な産業がダメージを受ける中で、クリーニングも大きな打撃を受けている産業のひとつといえます。

緊急事態宣言時の瞬間的なダメージは、他産業に比べるとまだマシだった(それでも40%以上ダウンしたのですが…)ものの、その後の回復の鈍さは厳しいものがあり、また政策的な支援の対象にもならず、クリーニング市場回復の見通しは全く立たない状況です。

クリーニング業界は今、大きな試練に立たされています。

新型コロナウイルスによる生活スタイルの変化が、これまで経験したこともないほど急激にクリーニングの需要を減少させてしまいました。

テレワーク、在宅勤務、オンライン会議、ビジネスカジュアル…

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週5日スーツを着て会社に出勤していた光景が、コロナ禍の中で大きく変わりました。多くの企業で出勤日数が減り、中には完全在宅勤務の企業も出てきて、スーツやワイシャツを着る機会が確実に失われています。この社会変化は、コロナ後も継続されるものと考えなければならないでしょう。

ビジネスウェアを着る機会が減ってしまったことが、結果的にクリーニング店に通う習慣を失わせつつあります。来店の習慣が無くなると、これまで適度にクリーニングに出していたお洋服を、クリーニングに出さなくなる、もしくは出す頻度が少なくなる、といったことが起こります。ビジネスウェアの需要減は、それだけにとどまらないのです。

このような状況下で、クリーニング事業者は各社それぞれに、この苦境を乗り越える対策を立てています。オンラインのクリーニングサービスを開始した会社、新サービスを始めた会社、店舗や工場の休業日を設けた(または増やした)会社、不採算店舗や工場を閉鎖した会社、コロナ禍で社会貢献に取り組んだ会社…。

『この状況下で何に着手するのか?』ということが、この1年間、常に企業のトップに付いて回りました。経営者の誰もが、初めて経験するコロナという異常事態の中で、手探りの状態で今やるべきことを判断してきました。

この1年間、私も大いに悩みながら、決断をしてきました。今も次にするべきことは何か?と問い続けています。

4月の緊急事態宣言以降、様々な取り組みを行ってきました。

時短営業に家賃交渉、シフト調整に休業手当。

マスクが手に入らない時期に、スタッフ全員に洗えるマスクを配布しました。

コロナ感染の恐怖と戦いながら勤務してくれているスタッフに、特別感謝金も支給しました。

一方で、急激に減少した売上・仕事量に対して、ドラスティックなシフト削減をスタッフにお願いもしました。

ルートコースの見直しをして、配送車両も減らしました。

LINEやツイッターなどの企業アカウント運用を始め、デジタルマーケティングの取り組みを本格化させました。

コロナ禍でお客様や地域に対して何か出来ることは?と考えてウイルスバリアというサービスも始めました。

仕事が早く終わった時、空いた時間を地域貢献に…という思いで、地域の清掃活動も始めました。

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先が読めない中で、何に着手するのか?を決めるのは、正直とても悩みます。どこまで踏み込むべきか、どの程度で抑えるべきか、決断の影響がどう出てくるか。

落ち込んだまま回復の兆しが見えない業況に、何か手を打たなければ…と焦りも出てきます。でも何をする?やるべきことはやっているつもりでも、本当にそれで十分なのか?もっと思い切ったことをするべきじゃないか?常にそんな葛藤と戦い続けてきました。

そうした葛藤の中で、どこまでするのか?何をするのか?を決める判断基準にしてきたのは『スタッフ』と『お客様』でした。

例えば…緊急事態宣言で売上が4割近く落ちている中、260名のスタッフ全員に洗えるマスクを配ったのも、同じ月に特別感謝金を支給したのも、異常事態の中にあっても勤務してくれるスタッフが何より大事だと考えたからでした。

また、4月以降店休日を設けるクリーニング店が増える中、時短営業の店舗は一部あるものの、正栄クリーニングでは店休日を設けず、これまで通りのサービスを続けてきました。大きく落ちた売上に対して、店舗を閉めて人件費を抑えるという経営判断は痛いほど良く分かりますが、そのしわ寄せがお客様にいくことを考えた時に、店休日という判断はしませんでした。その代わり、他経費を徹底的に見直す『経費削減プロジェクト』が今も動いており、違ったアプローチで経費削減に取り組んでいます。

先が見えない中で、クリーニング事業者はそれぞれの判断基準で方向性を決めるしかありません。それは当社も同様です。

そして私の判断の軸は、『スタッフ』を大事にすること、『お客様』へのサービスを守ること、だと考えています。苦境の中でも軸がぶれることなく、事業を継続させていくことが、今、経営者としての私の役目だと思っています。

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