見出し画像

解説)世界一売れたセールスコピー【古典を学ぼう01】

セールスコピーの世界では超有名ですが、歴史上最も売れたのは『ウォールストリートジャーナル』のコピーです。初めてこのコピーが市場に出たのは1974年。それ以来ずっと同じコピーが使われ続け、1991年時点で売上1000億円を突破し、最終的に2000億円を超える売上を稼ぎ出したそうです。そのコピー、僭越ながら少し解説を入れていきますので興味があればお付き合いください。


↓ウォールストリート・ジャーナルのコピー解説(ここから)↓

読者の皆様へ:

25年前の美しい春の夕暮れ時、2人の若者が同じ大学を卒業しました。彼らはとてもよく似ていました。2人とも学生の平均より成績がよく、品格もあり、将来に向けた情熱的な夢に満ちていました。

解説)オープニングは「ストーリー」で始まっています。よく言われますが、セールスコピーにおけるストーリーは本当にパワフルな心理トリガーです。ストーリーであることによって"売り込み感"が低減され、読者を巻き込んでいくことができます。

最近、この2人は25回目の同窓会で大学にやってきました。彼らは相変わらずとてもよく似ていました。2人とも幸せな結婚をしていました。また、2人とも子供が3人いました。後でわかったことですが、2人とも卒業後は同じ中西部のメーカーに勤めており、今もそこで働いています。

しかし違いもありました。

1人はその会社の小さな部署の管理職でした。そして、もう1人は社長でした。

解説)ここで「コントラスト(対照)」の心理トリガーが使われています。元々同じような状況だった2人が、全く違う状況になっているわけです。この違いが大きければ大きいほど、理想の状況にある1人が輝いて見えますし、読み手の印象に強く残ります。そして、その違いを生み出すものが何かを知りたくなります。

何が違いを生じさせたのでしょうか?

人生において、何がこのような違いを生み出すのか考えたことがありますか?その違いは、持って生まれた知力、才能、はたまた懸命な努力によって生まれるとは限りません。一方が出世を望み、もう一方が出世を望まなかったわけでもありません。

その違いは、どういう知識を持っていたか、そしてどのようにその知識を活かしたか、という点から生まれたのです。それが、あなたにウォールストリートジャーナルについて案内している理由です。このジャーナルは、読者に知識を…それもビジネスに役立つ知識を提供するのが目的ですから。

解説)ここではじめて、知識という「ソリューション(解決策)」を提示し、ウォールストリートジャーナルという「商品」を提案しています。つまり、相手が問題意識や欲求を持つ前は、商品の話は一切していないということです。読み手が問題を認識する前に売込みをしてしまうと、読者は警戒し、高速で離脱します。コレ初心者に本当に多い間違いですのでご注意を。

他とは違う出版物

ご存知の通り、ウォールストリートジャーナルはユニークな出版物です。これは全国で唯一のビジネス日刊紙です。営業日当日に、ビジネスニュースのエキスパートで構成された世界最大のチームによってまとめられます。毎号、ジャーナルの各ページには、ビジネスマインドを持つ人々にとって面白く印象的で幅広い情報が掲載されています。

その情報源は驚くほど多岐にわたっています。株式市場や金融のみならず、めまぐるしい早さで動くビジネスの世界に関すること全てが載っています。ウォールストリートジャーナルには、あなたが必要とするビジネスニュースの全てが揃っているのです。

解説)商品の「USP(Unique Selling **Proposition:独自の売り)**」について書いています。他の新聞と何が違うのか、なぜそれを提供することが可能なのか(証拠)など。「嘘つけ!」と思うような誇大表現ではなく、あくまで"信じられるレベル"の約束であることに注目ですね。

知識は力なり

私は今、ジャーナルのトップページを読んでいます。その日の重要なニュースが特集記事と組み合わされていて、それぞれのニュースを深く掘り下げることができます。インフレ、卸売価格、車の価格、ワシントンでの主要な開発に携わる工業向けの税制優遇など、ビジネスニュースのあらゆる要素が網羅されています。

また、ジャーナルのページというページがすべて、あなたに役立つ魅力的で印象深い情報で埋め尽くされています。日々の個人資産管理のコラムを読み続ければ、あなたは賢明な貯蓄家、よりよい投資家、賢い消費者となることができます。週単位では小規模企業、マーケティング、不動産、科学技術、地域開発のコラムもあります。ウォールストリートジャーナルを1度も読んだ事がなければ、あなたにとってどれだけ役立つものか想像もつかないでしょう。

解説)商品の「ベネフィット(利点)」について書いていますね。先の商品のUSP、特徴が"あなたにどう役立つのか"に変換されて書かれています。「〜になることができます」というように。ベネフィット・ライティングですね。読み手の頭の中に、いかにして理想のシチュエーションを思い浮かべてもらうか…ここはコピーライターの腕の見せどころです。

28ドルで購読

試しに28ドルで13週間ジャーナルを購読してください。そうすれば私たちの説明が本当だと証明されるでしょう。これは私たちが提供する購読期間のうち、最も短いプランですが、まずジャーナルの価値を理解するには、これがベストな方法です。もっと長期の購読期間で、もっと割引のメリットを受けたいと思う方もいるでしょう。そうした人は、年間購読が107ドルで定価より20ドルもお得です。最も割引率が高いのは2年間購読で185ドルです。69ドルもお得です!

同封の申込書に必要事項を記入して、切手不要の封筒に入れて投函してください。ジャーナルには次の保証があります。内容がご期待に添えない場合は、購読後いつでも解約できます。まだお届けしていない分についてはご返金いたします。これが適正で良心的な提案だと思われるなら、ウォールストリートジャーナルは、多くの読者の役に立っているようにあなたにも役立つと思います。

解説)ここで「価格のプレゼン・オファー(提案)」です。最初から価格の話をする場合と、読み手が問題を認識して価値を感じた後に価格を提示する場合と…どちらが有利でしょうか?お察しの通り後者です。 特に知識商品など目に見えない価値を提供する場合は、こうした順序やストーリーを使った間接的なアプローチが有効であることを覚えておきましょう。あと「保証」についても言及していることに注目です。読み手が申込まない理由を排除しています。

ぜひ、試してみてください。さぁどうぞ、同封の申込書を送ってください。すぐにジャーナルをお送りします。

解説)ここで「CTA(Call To Action)」です。しっかりと読者の行動を促しています。ハッキリと言わなければ、読者はどうすればいいのか分かりません。これを書かないのは怠慢です。CTAのないコピーは成約率が下がります。読者の行動を具体的に、何なら申込んだ後のことまで描いてあげることが大切です。

先ほど、このお手紙の冒頭で、大学のクラスメート2人についてお話ししましたね。彼らは同時期に大学を出て、同時期に働き始めたのです。では、なぜ彼らのビジネスにおける状況はこんなにも差がついてしまったのでしょうか?知識です。役に立つ知識です。そして、それをビジネスに適用する方法です。

成功への投資

ウォールストリートジャーナルの購読を始めたからといって、すぐに成功するという保証はできません。しかし、このジャーナルが常に、あなたにとって面白く、頼りになり、役立つということは保証できます。

解説)最後、「クロージング」ですね。繰り返しますが、"信じられるレベルの約束"であることに注目しましょう。何ができて、何ができないかをハッキリ伝えています。ちなみに、ちょっとテクニカルな話ですが「できないこと(短所)を正直に書けば、できること(長所)の信頼性が上がる」んです。

ピーター R. カーン
バイスプレジデント
共同出版者

PS
最後に大事な事ですが、ジャーナルの購読料は税金控除の対象になります。

解説)PSは意外と読まれます。ヘッドラインの次に読まれる…という話もあります。ダメ押しの一手で、読み手に"言い訳の余地"を与えています。「人は感情でモノを書い、理屈でそれを正当化する」生き物です。屁理屈ですが、読み手が自分の行動を正当化する理由ですね(お見事!)

↑ウォールストリート・ジャーナルのコピー解説(ここまで)↑


さて、いかがでしょうか?解説は役に立ちそうでしょうか?よろしければコメントいただけますと嬉しいです。希望があれば、別の名作コピーも解説していこうと思いますので。ゲイリー・ハルバートの『Amazing Diet Secret』や、ジョン・ケープルズの『They Laughed When I Sat Down At The Piano(私がピアノの前に座った時、みんな笑った)…』のコピーなど(ちなみにピアノのコピーは、使い方間違えている人が本当に多い)

古典を学ばないのはもったいない

このような圧倒的な成果を生み出したコピーは「古典」と呼ばれたりします。そして、僕はセールスコピーを書く際、2020年の今現在もなお、これら古典を参考にして書いています。20世紀終盤、広告の黄金時代に「天才」と呼ばれたコピーライター達が全精力をかけて書いたコピーですから。

「古典」の完成度が高い理由

しかも、当時はインターネットもメルマガもない時代です。そんな中で、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの命である「計測」をするには、ダイレクトメールやチラシなど、お金のかかる紙媒体でテストするしかなかったでしょう。気軽にテストできない分、メチャクチャ精度を上げて書いたはずです。天才たちの叡智と膨大なお金を掛けて反応率が改善されていったコピーなんです。

そして、天才と呼ばれたコピーライター達もまた、多くのコピーを過去の名作をパクって書いています。なので、僕からすれば「みんななんで参考にしないの?」という話です。天才たちの財産、使わない手はありません。むしろ、僕のような凡人が「ゼロから自分で書こう」なんておこがましい限りです。セールスコピーの目的は、芸術作品を生むことではなく「反応を上げる」ことですから、エゴを出してはいけないのです。

もちろん、直接競合となる事業者のコピーを丸々パクるのはダメですよ。道義的に問題ですし、法律的にもたぶんアウトです。1つの基準として「パクられた相手が怒るかどうか?」を考えて参考にするのがいいと思いますね。それを考えると、20世紀の古典を参考にするのは賢明な選択だと思うのですが、いかがでしょうか?

「古典」をどうやって活用するか?

実際に僕もマイナーチェンジ含めて100本以上のコピーを書いてきましたが、ヒットしたコピーのほとんどが「古典」を参考にしたものです。そして、実際に書くうえで役立ったのは、古典をパクって上手くいった実例です。駆け出しの頃は、古典を元にした先輩のコピーで反応よかったものを色々と探して、どのような構成になっているかを自分で分解しながら、自分のコピーに応用していったものです。

また、ウォールストリートジャーナルは米国のものですから、それをもとにして書いて”日本で実際に売れた”コピーがベターですね。手前味噌になりますが、僕が実際にウォールストリートジャーナルのコピーをパクって書いて、社長さん向けに結構な反応を叩き出したコピーがあります。こちら有料noteですが、実際に上手くいった実例が欲しい方はパクリ元にご利用ください↓


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?