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GN Athlete Interview #2 立川理道

GRIT NATIONがもっとも大切にしている在り方(Value)は「進化を楽しむ(Positive attitude for transformation)」ということ。目標設定はもちろん大事だけれど、本当に高みに達する人たちはそのプロセスすらも楽しんでいる。だから僕たちはトップアスリートの生き方に学び、人々の生き様を肯定するブランドでありたい。実際にGRIT NATIONでトレーニングするアスリートへのインタビューを通じて、GRIT NATIONの思想を伝えていきたいと思います。

第二弾は2015年ラグビーW杯「史上最大の番狂わせ」「ブライトンの奇跡」と呼ばれた南アフリカ戦勝利の立役者、クボタスピアーズのキャプテン立川理道選手

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Shoe: 去年から一緒にトレーニングするようになって頻繁に会ってるから、こんな風に改まるのは少し緊張するけど、まずはやっぱり昨年のW杯かな。日本史上最高のセンターと呼ばれ、多くのファンに活躍を期待されながらあの舞台に立てなかった自分をどう捉え、どんな風にマインドセットしたの?

Haru: 本番2か月前ぐらいのセレクションでも落とされてしまって、代表入りはかなり厳しいということを自覚しました。そこで諦めることは簡単だけど、自分が諦めてしまうと、日本代表に対して刺激を与えることもできないし、自分にとっても良くないと思ったんですよね。
だからW杯本番まで国内でアピールの場がないなら、ニュージーランドのリーグに挑戦して、最後まで足掻き続けた。その挑戦を通して、もちろん自分の成長にも繋げたかったし、選ばれてる選手たちにも、選ばれなかった人たちが頑張ってると伝えたかった。自分がもう選ばれないと思って、試合にも出ず挑戦しなければもちろんオフで楽なんですけど、その道は誰にでもできること。きつい時にきついことをすれば自分に返ってくると思えた。

W杯が始まってからはテレビやイベントの出演も多くて、外から見ている身としては複雑な心境もありました。あの熱狂を見ながら、悔しい気持ちと、こう嬉しい気持ちと言うか...逆に選ばれなかった試合前よりも、試合始まってからの方がこの場所に立ちたいなという気持ちが強くなったのもありますね。でもやっぱり嬉しい気持ちも間違いなくあって、凄くたくさんの人が来て、みんなが応援してくれる、みんなが歌ってくれてる。そういう光景はこれまでのラグビーではなかったことなので、それも凄く感動しました。

Shoe: 黙って受け入れる「美学」と、最後まで「足掻く」という二つのアスリートの側面。 足掻ききったからこそ受け入れられるものもあるのかもしれないね。酷な質問かもしれないけど、じゃあ自分には何が足りなかったんだろうって振り返る?

Haru: 振り返って思うことですけど、2015年の時にはあった自分の中での大義みたいなものを、今回の日本代表では僕はもう持てていなかったんじゃないかなって。自分が出たいという強烈な気持ちだったり、この人のために頑張ろうとか、そういう思いを最後に持てないまま直前合宿に臨んでしまったのかなと。

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Shoe: 逆に2015年はそういうもの(大義)があった?

Haru: その時はもちろんエディーさんが日本ラグビーを変えたいと旗を振って、トシさん(廣瀬俊朗)を始めとしたリーダーたちが選手間でも伝えていってくれていた。みんなが日本ラグビーのためにプレーする、したいという気持ちを持ってできたのかな。もちろん今回のW杯も選ばれた選手はきっとそう思ってできていただろうし、そういう選手が残って、素晴らしい結果を残してくれた。そこに自分は取り残されたというか、自分がそこに考えをうまく持っていけなかった部分があったのかなと思います。

Shoe: 俺は2015年の南アフリカ戦のハルのプレーに心の底から痺れたんだけど、その時から自分は伸びてる?落ちてる?

Haru: 2015〜2016年はそれまでやってきたことの貯金みたいなものがあったなと思っていて、2017年ぐらいから本当に怪我や脳震盪も多くなってきた。自分自身のプレーにも納得できないことが多かったというのも正直ありましたね。だから色々なところに顔を出して、手がかりを探すようになった。GRIT NATIONもそうだし、手塚さんのところ(上達屋)もそう。色々なところに行って、自分にとっていいものを探したいともがいた2年間だった。

Shoe: そういうときラグビーは楽しいの苦しいの?

Haru: どちらかというと苦しい時間の方が多かったかな。怪我との付き合いもあって、特に2017〜18年はしんどかった記憶がありますね。

Shoe: でもそういう状況でもふてくされないというか、もがいて、苦しいけど足を前に出していく、その原動力みたいなものは自分ではなんだと思う?

Haru: やっぱり家族の存在というのもありますし、後はそれこそトシさんとか、苦しい時も努力を続けている先輩の姿を見てるっていうのが自分の原動力になりました。もちろんクボタの先輩もそうですし、でもやっぱりトシさんの存在は僕には大きかったな。

Shoe: 彼と日本代表で一緒にプレーしていた頃の影響?

Haru: そうですね。特に代表の中でも凄く厳しい立ち位置の中で、もがき続けてる姿をそばで見ていた。もちろんトシさんの気持ちの全部はわからないけど、それを見せない姿は感じていたので。それは僕がクボタに帰ってもできることだと思ったし、そこは継続してやりたいと思う。

Shoe: 今後のプランは?

Haru: 2019年W杯で悔しい思いをして、ラグビー選手としてもまだできるという感覚があるので、もう一度2023年のワールドカップに合わせていきたいですね。2015年の活躍なんて本当に関係ないので、トップリーグでいいパフォーマンスをするっていうのが大事だと思ってます。今、トップリーグには凄くいい状態で臨めてます。

Shoe: いい状態って解説するとどんな感じなの?

Haru: チームの戦績や、自分の体にキレがあることもそうですが、厳しい状況も楽しめてる自分がいるときって凄くいい状態なのかなと。凄い接戦の試合だったりタフな状況もチームとして楽しめている状況が今あって、それが自分の気持ちや身体も前向きにしていますね。

Shoe: 進化を楽しむというのはその結果だけでなく、仲間と共に高い壁に挑んでるという状態こそが心のご馳走になるんだろうね。

Haru: 直近のトヨタ戦、逆転して、最後40秒のところで再逆転されて負けて。自分自身も落ち込んだし、チームとしてもすごくしんどかった。このまま落ちていけば今まで通りのチーム、自分たちのスタンダードはもっと高いんだと示すための、しんどいところを乗り越える1週間だった。
キャプテンとしても個人としても、自分の態度とか行動ってすごく大事で、そういうところを測られてるのかなと。誰も測ってはないんですけどね、僕のことなんて。あそこで沈むのは凄く簡単だけど、前を向いていくのが自分の成長というか器のデカさで、測った時の重さになるんじゃないかなって。チームの選手たちと一緒に壁を乗り越えている自分がいること自体が大きな変化。


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Shoe: 自分で言うのはくすぐったいかなと思うんだけど、何で自分がキャプテンに選ばれるんだと思う?

Haru: 僕には1歳上の兄がいて、誰が見てもこいつがキャプテンって言われるような存在。自分にも人にも厳しい人、間違ってることがあれば人前でも正せる。僕はみんなと仲良くやりたいタイプで、厳しいことも言えないし、演じて怒ることもできない。なぜ選ばれるかあまり考えたことはないんですけど、今だったらクボタにとって、勝つためにやるべきことを一番やってると思ってます。ここ2年ぐらいはチームの状態も良くなり、厳しいことでも素直に言えるようになってきた。理不尽に怒ることでも、演じて怒ることでもなくて、自分が思ったときに伝えることを重ねて、だんだん認められてきたのかな。ヘッドコーチとも相談して、遠慮して言うべきことを言わないのをやめよう、素直な意見を自分のタイミングで伝える。それが大事なんだなっていうのは実感しましたね。

Shoe: なるほどね。 勝つためにやるべきことを自分が一番でやってるってどういうこと?

Haru: 例えば、自分に必要なスキル練習や、週末に向けたチームプランの理解、練習のビデオを見返すことや相手チームの分析、このあたりはたぶんチームの誰よりもやってると思う。

Shoe: なるほどね。やるべきだよねってみんな分かってるけど…

Haru: みんな分かってると思うけど、なかなか出来てなかった。それをここ最近、自分がやるだけでなく、みんなに言えるようになってきた。 自分のリーダーとしてのまた一つの成長だと思うし、それに対してみんなもリアクション取ってきてくれた感覚があって、逆にそれがまた楽しくなってきたり、結果に出てきたから凄く良かった。

Shoe: 一番上手いから選ばれてたキャプテンから、行動と言葉で人をインスパイアするキャプテンに切り替わった、そのきっかけみたいなものはある?

Haru: 2年前ぐらいって正直今じゃちょっと考えられないですけど、遠征のバックアップメンバー(基本的に試合に出ないが、風邪や怪我など不測の事態に対応するために帯同する選手)は試合前夜に飲みに行ってたんですよ。次の日の朝ミーティングで真っ赤な顔してて、朝まで飲んだんだなってのが分かる。 それがクボタでは当たり前だった。

Shoe: そうなんだ!

Haru: 長年の慣習というか、そういうレベルの低いチームだったと気付いていたけど言えなかった。でもヘッドコーチと話をして、そういうチームを1年間作り上げたのは俺らだよねって。じゃあ、やめよう、来年からはそんなチームにしないでおこうって覚悟が決まった。翌年からは怒って注意するというより、こんなチーム絶対上に行けないですよねって語りかけるというか。自分の素直な気持ちで、自分たちのチームがトップ4になりたいですよね、それだったらもっとチームのために何ができるか考えて行動しましょうよと。それが僕っぽいなって思ったんですよね。自分らしさみたいなものを出せた年になったのかな。
もう一つは、試合に出られない選手達のアイデンティティー、それこそ孤独にしないとか、そういう部分に対しての考え方やあり方が変わってきた。もちろん本当にみんながそう思ってるかどうか分からないですけどね。週頭のメンバー発表で30人弱の選手がメンバー外と告げられるわけですけど、その選手たちが次に向けてどう過ごすのかというのを、チーム全体で考えられるようになってきたのかなっていうのがありますね。

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Shoe: きっと頭では前から分かってることじゃない?エースだけ、一軍だけが頑張ってるチーム、二軍三軍が腐ってるチームなんて強いはずないと。だけどハルの人生はほとんどエースで一軍だから、分かってるようで本当の意味では分からない。ひょっとしたらジェイミージャパンでの冷遇が新しいインプットになってそういうものをリアルに感じられるようになったとか?

Haru: そこはもう間違いなくありますよね。ジェイミージャパンになってからなかなか先発で出る機会が減って、外れる立場の気持ちも痛いほどわかるし、そういう選手たちが頑張ることで結果が出るっていうのも感じられたのもある。
オタゴでもなかなか先発では出られなかったけど、入れなかった選手も凄い実力があって、ハングリーに日々の練習をやっていた。もう本当にこう生活がかかってる、ラグビーで食っていこうと思ってる選手たちなんで、そういうハングリーさみたいなものを教えてもらった。
だから今は本当にクボタとしても、メンバーに入れなかった選手達がチームを支えてるっていう感覚がすごくあって、ポーズとしてではなく本当にそう思えるようなチームになってきた。
まだクボタの中でもやっぱり弱い人というか、早く帰っちゃうような人もいるけど、なるべく引き込む。 チームとしてその人たちを諦めずに、誰かが声かけて戻してあげられるようなそんな雰囲気になってきた。
シュウちゃんがよく孤独がGRITを奪うって言うけど、一般の人もそうだと思うし、チームでメンバーから外れる選手は特に強く孤独を感じると思う。自分はもう必要ないんじゃないか、引退した方がいいんじゃないかとか。でもその人たちが頑張ることでチームってすごく成長することもあるし、すごい支えられてる感じがするから、それを大事にするカルチャーを築けてきた。
W杯だけじゃなく、トシさんの影響もあると思う。あの頃自分は自分のことを一所懸命やっていたから、トシさん頑張ってるなと尊敬はしていたけど、本当の意味ではわかっていなかった。自分が同じように苦しい立場になったとき、すごい感じることが多かった。


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Shoe: 何かそういう話を聞くとこれが本当のスポーツの価値ってもんだよなって思うんだよね。勝った人、選ばれた人、チャンピオンが褒められるのは当然なんだけど、もっとずっと多くの光が当たらないところにも、スポーツを通した自己変革であったり、人格の向上だったりが起きている。

Haru: 僕が好きな写真があるんですよ。去年の東芝戦。それこそラストワンプレーでペナルティ取ってキック決めて勝ったんですけど、たまたまカメラマンが観客席にいる試合に出られなかった選手たちを撮ってたんですよ。それがマジで最高なんですよ。本当に飛び上がって喜んで、抱き合って、今までのクボタにはなかった。試合に出ていない選手たちがこんなに喜んでくれていることにメンバーはなかなか気づけない。
この写真がね、今一番好きです。こういうのを見るとやっぱり頑張れるというか、この場面をもう1回見たいから頑張ろうって思えます。

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Shoe: すごいいい話聞けたな。やってみるもんだなインタビューっていうのも。最後の質問として、すごく大きな質問だけど、何のためにラグビーをやるのか?

Haru: 何のためにラグビーやるのか…好きだからですね、1番は。好きだからっていう気持ちが消えない限りは多分やると思うし、それは間違いなくありますね。

Shoe: 何が好きなのラグビーの?

Haru: こういう瞬間!(前出のメンバー外選手の写真)代表の試合で、僕は国歌を歌うときに試合に入れなかった選手に向かって歌うんですけど。向こうも絶対試合に出たかったけど、応援してくれる、その人たちと一緒に歌ってる。そういう瞬間が凄く楽しいというかすごく幸せ、ラグビーやってて良かったなと思います。代表の試合じゃなくても、ロッカーを出たときに試合に入れなかったメンバーが花道をつくって応援してくれる。そういうのも凄い嬉しいです。

Shoe: 美しいよね。ラグビーの良さが凝縮してる。人って自分のためだけには頑張り切れないものだよね。

Haru: 2015年の時は家族のためとかファンのために出たいとかよりも、何よりも自分がW杯という舞台に立って自分がプレーしたいという気持ちが凄く強かった。
2019年W杯の時は、自分のために日本代表に入りたいとか、自分のためにラグビーをやってるっていう感覚が凄く薄まったというか。
2018年の秋に代表メンバーから外されて、もう一回立川を代表で見たいという声をたくさん貰ったりとか、自分がたくさんの人に支えられてプレーできるんだなって再確認できたという意味では、ひとつの良い経験だった。子どもとW杯をテレビで観ながら「なんでパパいないの?」って聞かれるのは一番つらいことだったけど…
甥っ子がラグビーやってて、僕が代表に入ったり、クボタが勝ったりで泣くぐらい喜んでくれるような奴なんで、今は自分のためよりもそういう人たちの手本になって、信じて支えてくれた人たちに恩返しがしたいという気持ちが強いですね。

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輝いている人はずっと光の中にいたように思ってしまいますが、困難に直面し、信じてきたものを否定され、闇の中でも諦めずに足を前に出したから今がある。今この時を戦っているラグビー選手だけでなく、多くの人に読んでもらいたい話を聞くことができました。

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