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即興フィクション1 ブラマジ

20代のふたりの素人ラジオ「衝動男児レディオ」のなかで、ある話題からふたりの妄想が膨らみ簡単なフィクションができました。インスタントフィクションと言われます。ショートショートのような感じ。少し脚色を入れてアップします。

今後もふたりの自由思考の中で生まれたストーリーや、ラジオで出てきたストーリーをアップしようと思います。気になったら『衝動男児』で検索してもらえると嬉しいです。うれぴです。

【話題】

他人にとってことさら面白く見えたものを
あだ名にされてしまうことがあるよねという内容


【ストーリー】

ブラマジ


僕は、薬品の匂いは嫌いで、コーヒーの香りが好きだ。

ブラックコーヒーが好きな小学生の僕は
同級生から背伸びしていると思われた。

この日から僕のあだ名はブラックマジシャン。
略してブラマジ。

流行りのカードゲームのキャラクター。
闇属性、攻撃力2500、守備力2100の最高クラス。
身長だけは160センチとこの歳にしては大柄だったが、
野暮ったさと横幅はキャラと乖離しすぎではないか。

実際の攻撃力に至っては25くらいが妥当。
守りが強い闇属性は否めないなと、
うっとうしいと思いつつも、
厨二病的笑みを浮かべたと思う。

そんな僕も恋をした。
僕がいじられるそのせいで
あの子はいつからかブラックマジシャンガール。
男子どもは気まぐれに ブラマジガールを取り囲む。
優勢な時は容赦ない。
止めに入るブラマジの 攻撃力は25で
守りと逃げに尽くすのみ。

「ダークヒーローのお出ましか、やい、ブラガール」
いやブラガールはシンプルなセクハラだろう。三人そろって墓地送り。
ついでにブラマジはブラガールに嫌われた。

一年に一回の騎馬戦の時だけは僕も日に当たる。
「ブラマジ今日は頼むぜ」
本来ブラマジは武闘派ではない闇属性の魔法使いだろう。
が、僕はまんざらではない。

面目躍如。理科のノートを写させてあげるだけが能ではない。
三面六臂。ブラマジガール見ているか。
何を隠そう今日のおれ、スポーツドリンク飲んでいる。
旭日昇天。ピンチに弱気な同級生。
こんな時こそ思うまま、おれの動きについてこい。
三十六計。あとは逃げて守るのみ。
2100ある守備力は、この戦地でも最高クラス。
獅子奮迅。そのハチマキを放すなよ。
あと『最強デュエル』のカセット早く返せよ。


横倒しの画面で目に映る運動場を眺めながら、ぼんやりと思う。


救護テント。


僕は、薬品の匂いは嫌いだ。

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