フィラデルフィアより愛をこめて

SPINNERS 「SPINNERS」(1973) 

邦題が最高じゃないですか。レコード買ったのは大学生の頃かな。このアルバム、もう本当に好きすぎて、フィラデルフィア・ソウルと名乗るからには絶対にいつもこういう音楽が鳴ってくれないと正直困ります、っていうくらい。

華麗なオーケストラによるアレンジはもちろんトム・ベル。かつて小西康陽氏は「バカラックは好きだけどトム・ベルは嫌いだなんて人、僕には信じられない」なんてことをインタビューで語っていたような気がします。

スピナーズに限らず、ソウル・トレインに出てくる黒人のコーラス・グループの何ともいえないユルいダンスを繰り広げながら歌う映像も好きなんですよ。最初は「何じゃこりゃ」とまるで海外のコメディアンでも見るかのように可笑しいんですけど、そのザッツ芸能界的なショーマンシップの裏側に潜む切ない風情みたいなものに結局心が全部持って行かれてしまうというか。だんだん泣けてくるんですよ。しかも、さえないオッサン風であればあるほど、なお泣けるというね。

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