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ジョン・ブアマンのエクソシスト2

ジョン・ブアマンのエクソシスト2が最近再評価されている。嬉しい。アフリカでの悪魔(とバッタの大群)との戦いのシーンが秀逸だ。このモンド的異世界性は後年のエメラルド・フォーレストにも通じる。ミニチュアで作った崖と崖の間を這い上る人々の描写がシュールだ。

音楽がモリコーネで無駄に贅沢なのも良い。主題曲「リーガンのテーマ」は何故か後でタランティーノの映画、ヘイトフル・エイトで使われていた。この他人の映画を乗っ取る感じ、ポスト・モダンだ。庵野秀之の「さよならジュピター」の主題歌リサイクルにも通じる。

主人公の子役がティーンエイジャーになっているところも気味が悪い。特にステージでタップダンスを踊るところ。そして、ステージで卒倒するシーンとアフリカでの騒動のシーンとのジャクスタポジション。

子役が十代から大人になる様子を映画で観るのはいつも変な気がする。爬虫類が脱皮するのも見ている様な思いがする。いつの世にもメタモルフォーゼにはリミナルで異世界的な不気味さを感じてしまう。

アフリカのシーンは機械を使った催眠術の様な手段で語られるが、ヘッドマウントを頭に被りまさにVR仮想空間の先取りだ。サイバー感溢れる入れ子形式のナレティヴ(語り、エクリチュール)は、現実、リアリティ・ラインに穿たれた亀裂にも見える。前出の隣接する崖を無数の人間が昇っていくシーン然り、後半の奈落の底へ落ちていく少女の部屋にできた亀裂然り。

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