【ケダモノオペラ】『小さな花嫁が来た話』【小説風TRPGリプレイ】【完結済】4/9
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場面3 アラタヨとよね子のけっこんしき
・概要:よね子と結婚式のまねごとをする
・舞台:“闇の森”、アラタヨの棲み処『打ち捨てられた社』
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よね子
「ほぁあああ~~」
あなたの棲み処である打ち捨てられた社に着くと、よね子は驚いて探検をして回る。ここは何だ、あっちは何だと色々と質問を繰り返しーー
ひと段落すると、急にきりっとした顔になって、たすきを掛けて、チョコンとアラタヨの顔を見上げて言う。
よね子
「むこどの!」
アラタヨ(擬似餌)
「…何だ、人の子よ。」
相変わらずそっけない口調でしたが、少し屈んで、よね子に目を合わせた。
よね子
「つきましては、あたい、『けっこんしき』の準備をしようと思うっ!たてものは、いろいろと崩れてたりしたけど、中には…ほこり一つねっ!むこどのは、立派なむこどのだっ!」
ニコニコと喋ってたが、一転。申し訳なさそうに俯く。
「…けど、あたいは、白いおべべも持たせてもらってねえ、むこどのに注ぐ祝い酒もねぇ…」
再びピコっと顔を上げて、鼻息も荒く宣言した。
「こんな立派なむこどのにお嫁入りできるんだから、むこどのにふさわしい結婚式をしなくちゃならねぇっ! あたい、いっぱい頑張るから、むこどのも手伝ってくれたらうれしいぞ!」
アラタヨ(擬似餌)
「…婚礼、とな。」
微かに脳裏を掠めるモノがありました。
「…相、わかった。」
ひとつ頷きます。こうして連れ帰ったからには、気が済むまで付き合おうと心に決めて
「…欲しい道具があるなら、其処の突き当たりを出て裏手に行ってみると良い。宝物殿…普段使わないモノをしまった蔵がある。…確か、シロムクとかいうヤツが仕舞われていたと思うぞ。」
よね子
「…!シロムクっ! あたい、なんか聞いた事あるぞっ!けど……。 …む? ……うーん…?」
よね子は腕を組んで考え込む。彼女の歳はまだ九つ。嫁入りに来たといっても、結婚式というものをどうやるのか詳しくは知りません。考えた挙句、分からずに恥ずかしそうに聞いた。
「………。…む、むこどののところでは、どうしてたか…?」
アラタヨ(擬似餌)
「…………」
はにかんだ表情に、フッ…と目を細めると、よね子の頭に手を添えました。
「実をいうと、俺も、記憶が朧げでな。…式典について記載された書物も、蔵にあった筈だ。共に、行って、見て、確かめれば良い。」
よね子
はっとした表情を浮かべる
「あ、あたい、もじ読めね……。……まっ! ふたりでつくればたのしいはずだなっ!」
ふたりで相談して、何日かかけて、ふたりなりの結婚式を作ってみるしかなさそうです。「身に着けるもの」「食べるもの、飲むもの」「贈り合うもの」あたりがあれば、どうにか格好がつくでしょうか。
〈試練:「けっこんしき」のまねごとをする〉を開始します。
<試練:ふたりだけのけっこんしきをあげる>
・権能:【慈愛】
・難度:1
▼波乱予言
〈予言:よね子を心からしょんぼりさせてしまいました〉
〈予言:約束は守られませんでした〉
〈予言:知り合いのフギンムニンが、渋い顔であなたたちを見守っていました〉
※フギンムニンはミミルズクの亜種で、カラスの姿をしています。
アラタヨ 2つ目の試練だっ!【ベースロール】参りますっ!
2d6 ベースロール (2D6) > 7[6,1] > 7
マスター シックスセンスッ! 後3でございまするね!
PLつぎの
はぁい!うーん、波乱もめっちゃ気になるんですが、ひとまず「特技」を使います!
マスター 了解ッ!
アラタヨ
《煙の幻灯》を使用。
★〈特技予言:煙に巻きました〉を得て、振り足します。
マスター 了解ッ!うぉぉ!どうぞおお!!
アラタヨ
2d6 [特技B]使用(ナンバー3、4) (2D6) > 10[5,5] > 10
マスター
つ、強い…! 見事達成ですっ!さて、どちらにしますかっ?
PLつぎの
う〜ん…!悩みどころさんなので、一旦【権能】で振り直しますっ!
マスター
おkだ!慈愛を行使してイケッ!それでは、纏めて4d6をどうぞ~!!
PLつぎの ありがとうございます!レッツゴー★
アラタヨ
4d6 権能による振り直し([特技B]使用) (4D6) > 14[5,2,3,4] > 14
マスター お、3もある!選択の時っ
PLつぎの
ありますねぇ!クッ!波乱めちゃくちゃ気になる…。けど、ここは「成功」を選びますっ!
マスター
おkだ! では栄光の門にたどり着いた、という事で成功~!!それでは、描写していきましょう~っ!
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「それじゃむこどの!いくぞーっ!!」
服の袖を掴んで、裏の蔵へ向かう。
「ああ」
袖を引かれ、宝物殿に向かいました。
向かうと、壁にヒビの入ったオンボロな蔵。年季を感じますが、掃除は行き届いているようです。 中に入ると、目を引くモノがあるでしょう。衣紋掛けにかかった、白一色で織りあげられたキモノです。
「彼れがシロムクだ。そう、主人さまが呼んでいた。」
よね子
あまりに綺麗だったので触る事が出来ずに、近くまで寄ってじろじろと見る。
「…ほぁ~……。…ぬ! こんなに真っ白なのか、むこどの!」
そして、キョトンと首を傾げた。
「? むこどの、むこどの。 その…主人さま…とは?」
アラタヨ(擬似餌)
「俺がお仕えしているカミサマだ。…いまは、少し、遠くに出かけていらっしゃるようでな。お戻りになるまで、このヤシロをお守りしている。」
少し遠くを見るような目をして、淡々と告げました。
よね子
「なるほど~……。…なら、あたいが隣にいれば、待ってる間、退屈しないなっ!……そ、それで、あのシロムク…あたい、きてもいいのか…?」
アラタヨ(擬似餌)
退屈しないという言葉に、かもしれぬな、と曖昧に微笑む。そして、よね子をマジマジと見て
「良いとも。……。…其方なら、寸法も違わず着れる筈だ。」
確信めいた口調で、感情の読めない声を上げました。
よね子
「そうなのか!よかったぞっ あたい、すそ直しなんてできねっ!それにしても…ははーん…はははん……こいつぁやはりさだめってやつだな……。こんな偶然、ぜったいないっ!」
ムフムフと微笑んで頷く。
「よっしっ! 着るものはあった! 次はなにを準備したらいいかを決めねばなっむこどの!ささ、けっこんの本はどこだっ! よんでくれ、むこどの!」
アラタヨ(擬似餌)
「(…さだめ、か。)」
よね子の笑い顔は、やっぱり彼の方によく似ていた。一つ頷き、和綴じの書物をぱらぱらと捲って、ある頁で指をとめ、よね子に差し出しました。
「…そら」
「ほっ!どこだっ!」
アラタヨ(擬似餌)
其処では、豊富なな絵や図を用いて、式の大まかな流れが説明されていた。 トントン、と軽く図を順に示して。
「…身につける物、食べる物と飲む物、送り合う物…か?この三つを決めれば、それらしくなるだろう。」
よね子
「みにつけるもの、はシロムクだっ!のむもんはわからねっ。けどな、むこどのっ!…ふっふっふ……稲荷ずし……知ってるかっ?」
恐らく、紅白まんじゅうを食べている図を、ビシッと指さしながら
「あたいのただ唯一のとくい料理…それすなわちっ!いなりずしっ!!ほら、ここっ!まるっぽいものを食べてる!これはきっと稲荷ずしにちげぇねえ!」
アラタヨ(擬似餌)
「…得意料理とな…!」
アラタヨの目がキラリと輝きます。ツゥ…と無意識にヨダレを溢しながら、食い入るように図を見つめ、何度も何度も、力強く頷きました。
「…! そうか、…稲荷寿司か……」
よね子
「…! そ、そんなに好きなら仕方ないっ これは作らざるを得ないなっ。 さいごは、飲むモノ、だな!むこどの!」
アラタヨ(擬似餌)
ふうむ、と顎に手を添えました。枯れかけた酒蔵も裏手にあるにはあります…が、よね子に飲ませても良いものでしょうか。
「飲み物か…。…酒蔵に1つ樽が残っていたな。…それか、厨(くりや)にある酒粕で甘酒にしてもいいだろう。」
よね子
「あまざけ…? …あまいおさけ?……おいしそうだなっ!むこどのー!!」
椅子からピョンッと飛び跳ねて言う
「全部きまったな!じゅんびだっ!」
アラタヨ(擬似餌)
「ああ、支度にかかろう。」
微笑ましげに口元を綻ばせると、長い前髪を掻き上げました。なんだか邪魔っけなので、これを機に切るのもいいかもしれません。
よね子
「そうだっ! あたいがむこどのの髪、ととのえるぞ!いつまでもおばけでいられては、困るからなっ!」
ーーー
それから、1匹と1人は、挙式の準備に取り掛かる。
アラタヨが、甘い樹液が出る樹を血まなこで探し出し、甘い成分を手に入れ、よね子がはしゃいだり、アラタヨが人知れずよだれを垂らしていたり。
シロムクの着方を、一緒に本から読み解く中、よね子はうたた寝をかましたり、アラタヨはうたた寝をするよね子に厚手の布を掛けてやったりして……
ーーー
よね子
ジャキン サララーー ジャキジャキン サララーーー……
「…むこどの、とんでもなくめんこい顔してたんだなぁ???」
色々な準備をした後、漸く髪を整える事にしたよね子は、現れたアラタヨの顔にびっくりしていた。
アラタヨ(擬似餌)
「?」キョトンと傾げ
そして、スッキリ良好になった視界に、満足そうに頷く。
「サッパリしたぞ。礼をいう、よね子や。」
日を重ね、共に支度をする中で、いつしか、親し気に名を呼ぶようになっていました。出会った頃の素っ気なさも、いつしか鳴りを潜めていました。
よね子
「………ふっふーん……♪ よね子と……ふっふっふ……よね子と………」
呼んでもらえるようになって、そんなに日が経っていないのか、まだ慣れていないらしい。
「むこどのは、しばし待っていてくれっ!ぱぱっと稲荷ずし、作ってくるっ! このっ!よーねこがっ!腕に寄りを掛けてっ!」
ピューンと台所に走り去っていく。
アラタヨ(擬似餌)
「ふは…! 気持ちは嬉しいが、つまづかぬようにな。」
小さく笑い声をあげ、後ろ姿を見送りました。なぜか、主人さまと瓜二つの少女。はじめは戸惑いこそすれど、今はあまり気になりませんでした。経緯はどうあれ、共に過ごすものがいる、というのは大変心地よいものです。
そして、各々が最後の準備を進めーー
「出来たっ! できたぞっ! むこどのー!!」
打ち捨てられた社には、様々に工夫された多くの稲荷ずしが並ぶ。曰く、タケノコが入っていたり、ニンジンが入っていたり、ショウガが入っていたり、キノコがはいっていたりした。 全て別のお皿に盛りつけられている。
アラタヨ(擬似餌)
思わず、小さく感嘆の声を漏らす。
「おお…!…これは、筍…む?こっちは茗荷か…!凄いな、こんなにも多様な種類があるものか…」
子供みたいにはしゃぎながら、皿の上の稲荷寿司を見て回っています。
よね子
「ふっふっふ…あたいの手は神の手……。あたいに…作れぬ稲荷ずしなど……ッ!ないッ!」
そして、1対になっている紅白の器をそっと掲げる。
「後は、酒をのみかわす、だったな!むこどのっ!」
アラタヨ(擬似餌)
「ああ。…好きな方を注いでやろう。よね子や、何方を所望するか?」
酒樽と甘酒の入った甕を、よね子の方に示しました。
よね子
「むー……どれどれ……」
甕の蓋を開けて、手であおぐようにして匂いを嗅ぐ。運悪く、1つ目の甕は、酒精の強い酒の方だったらしい。
「ふぇーーーーーー!!!!???? ひとののみもんかぁこれぇ?! むこどの!こいつは腐ってるっ!そのはずっ!そっちがあたりかっ!!」
スンスン……
「ほらぁ!むこどの!こっちは甘いー!!!」
アラタヨ(擬似餌)
「では、其方にするとしよう。」
クスリ。小さく笑って、首を縦に振ると、妙に手慣れた手つきで、甘酒を注ぎました。何回も誰かにそうしてやった事があるような…
よね子
注がれていく甘酒を、興味津々で見つめる。
「ほぁ~……。……はっ!次はあたいが、むこどののを、つぐんだったなっ!?ささっ!器をっ」
アラタヨ(擬似餌)
「ああ、頼む。」
スッ… 器をよね子の方に傾けました。
よね子
「えへへ……。…っ!こ、これぐらいだったなっ、むこどの!」
零れないようにギリギリを攻めたようだ。
アラタヨ(擬似餌)
「…お、おお……!?…ははっ、随分と…」
ソロソロと器を手元に引き寄せました。表面張力で、プルプルと酒が波立っています。
「……さ、よね子や。」
器用に器を僅かに傾け、よね子の方に近づけました。書物で見た乾杯の仕草
よね子
「ぁいっ!」
こぼさない様に、慎重に器に口を付けて、ズズズイと飲み込む。
「……ぷはーっ!!うまいーーっ!! ささっ!次はむこどのだっ!」
いい感じに、飲みやすい位置にソローリソローリと運んだ。
アラタヨ(擬似餌)
頷き、杯を受けました。…遠い昔、同じ事を誰かとしたような気がする。そんな、奇妙な懐かしさを覚えながら。喉を甘酒が通っていく感覚がする。唇を舐め、一つ頷き、独り言を呟いた。
「甘いな。とても、」
よね子
「ふっ…これがオトナのアジ……。……♪」
そして、むこどのに微笑みかけた後、膝に器をのせて、空を見上げた。目を閉じてパンッと拍手を一つ。
「おてんとさま、おてんとさま。 あたい、こんな立派なむこどののお嫁さんにしてもらえました。」
「どうか…どうか、あたいが、むこどののお役に立つことができますように。」
「むこどのを、さみしくさせたり、悲しくさせたりすることが…なぁんも起きませんように…見守っていてくだせっ……」
アラタヨ(擬似餌)
「…………」
健気な祈りを横耳に、空を見上げました。雲ひとつない快晴。ケダモノにもヒトにも平等に降り注ぐ日の光は、これからの一人と一匹を祝福している…かのような錯覚すら覚えます。
「…何卒、」
同じように手を合わせ、目を閉じ…書物で読み齧った、祝詞の一節を謳いあげました。
「幾久しくお守りください」
びゅおっと、二人の元へ、一陣の風が吹き抜けました。二人の祈りを聞き届けた、とでも言っているかのように。
…ですが、これは人喰いと人の子の物語。そうは問屋が下ろさないのでしょう。
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