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【ケダモノオペラ】『小さな花嫁が来た話』【小説風TRPGリプレイ】【完結済】8/9

 よね子が九死に一生を得てから数日が経過した。思ったよりも、よね子が悲嘆にくれる時間は短く、目線の焦点が合わない事以外は、何も変わらなかった。

ーーー
場面7 『いざ、さとがえり』
・概要:村へ、『さとがえり』に出立する
・舞台:闇の森の中
ーーー

 美しい満月ののぼった夜が明けた、次の朝。東の空がようやく明るむ早い時間。

よね子
「だーっ! むこどのーっ!」
「おはよーー!! 今日は遂にっ!」
「『さとがえり』の日だっ! 日だーッ!!」
 
 すくっと立ち上がって、雨戸を開けに歩き出す。 …が、それは見当違いな方向だった。

アラタヨ(擬似餌)
「…お早う、よね子や。あぁ、今日がその日、か」

 目を擦りながら、立ち上がりました。相変わらず朝は苦手なものの、慣れた手つきで、手を引きます。フワリと"煙の幻灯"が立ち昇り、よね子の視界に、自身の姿の幻を映しました。

「お早う」

 自身の存在を誇示するように、よね子の顔を覗き込みました。衣擦れと、髪の舞う音がするでしょう。

よね子
「…!……。」

 鳥の囀り、木々の騒めき。 聞き慣れた、安心する音に。むこどのの顔。

「ふっふっふ……いいのに、むこどの……」
「おはよ! 今日はいい朝かっ?」

 微笑みながら、話しかけた。

アラタヨ(擬似餌)
「…俺がやりたくて勝手にやっている事よ、案ずるな。」

 いいのに…といういつもの言葉に、いつもの言葉を返しました。 それは、よね子の視界から光が失われてから交わされるようになった、朝の会話。いつもしているやり取りでした。

「あゝ」

 頷きながら、片手を窓に向けスイっと横に。念力で、スパンと窓や障子が開け放たれました。気持ちの良い朝の風と、日の温もりが部屋に入ってきます。

「とても。里帰りには、よき日だ。」

よね子
「そうかっ! それはよいことだなっ!」

 スパンと音がした方向に向き直り、外の空気を大きく吸い込んだ

「それではっ!朝餉のじゅんびだなっ!むこどの!」
「……………。」
「…手伝ってくれるか? むこどのっ。」

 繋がれた手をピコンと上げた。

アラタヨ(擬似餌)
「勿論。…食事は、共に作った方が、もっと美味い。」

 目を細め、繋がれた手を握ると、上下させました。

よね子
「っ♪」
「そうだなっ! そのとおりっ!!」
 
 ぱぁっと笑顔が輝く

「ではっ! すわっ!かかれー!!」
 
 右手を上げて、台所の方角へ歩き出したのであった

アラタヨ(擬似餌)
「応とも、だ」

 つられて声を弾ませると、歩調を合わせて続きました。

 よね子が目を患ってから…彼女がもどかしさに苦悶することには、胸を痛める一方で、朝餉の支度や、洗濯、日々の雑事など、共に行う機会が増えた事は内心、好ましく思っていました。独りだったケダモノは、長らく話し相手に飢えていたのですから…

 今までの孤独の飢えを取り返すように、日々を貪るケダモノにとって共にいる時間が以前よりも増えたのは、皮肉にも、願ったり叶ったりでした。

マスター
 一人と一匹で、朝ご飯を作り、一人と一匹で、心を合わせて、手を合わせる。そして、一人と一匹で、稲荷ずしを腹いっぱいに食べ切った貴方達は身支度を済ませ、社を出立する事になります。
 今日はとうとう「さとがえり」。大樹の切り株で出来た臼は貴方をもってしても中々に重い荷物ですが、まあ、なんとかなりそうです。
 よね子は、右手で貴方の手を取り、左手で木の実の汁を入れた袋を持って、はりきって歩く。

よね子
「うれしいぞっ!あたいはっ! うれしいぞーっ!」
「おとうやみんなになっ!むこどのを自慢するんだっ!」
「むこどのは、つよくて、きれいで、めんこくて、とんでもなくやさしいお方ですってなっ!」

 ピコピコと頭が上下に揺れる。

アラタヨ(擬似餌)
「……っ…」

 とても、眩しい言葉だ。そして、あの人とよく似ている。輝くような笑顔に、ぽりぽりと頬をかきました。態とらしく咳払いして、よね子から僅かに視線を外します。

「…そ、…其方の好きにせよ」

 浮ついた足取りを誤魔化すように、足を早めました。沸き立った気分のせいでしょうか。背負った臼が、少しばかり軽くなったような気がしました。

よね子
「うむっ! ふっふっふ……好きにさせてもらうぞ……っ!」キラっと笑って
「はっはーん~どうしようかなぁっ どうしてくれようかなぁっ」
 
 よね子の腕の振りもまた、大きくなる。

 ……だが、此処は闇の森。一寸先は闇のこの森では、何が起こるかなんて分からない。貴方が逸らした視界の中に、一つイレギュラーが映り込んだ。
 それは古い知人、モルグだ。彼のケダモノは、樹の枝に止まって貴方を見下ろす。
 
「………相変わらずだな、アラタヨよ」

アラタヨ(擬似餌)
「おぉ…モルグか。其方も変わりないようで何よりだ」

 のほほんと気さくに微笑みかけ

「……もっとも、」

 口元は弧を保ったまま、視線を僅かに鋭くしました。

「此の森の中の奴輩は、違うようだな。」

 周囲を見回し、再度、枝の方に目線を戻しました。

「見たところ、『報せ』に来てくれたのか? 律儀な賢者よ。」

 淡々とした口調で首を傾げました。

よね子
「なんだっ、むこどの?」
「知り合いかっ?」
「あたいっ! むこどの、アラタヨどのが嫁っ よね子ですーっ!」

 キョロキョロとしながら、上を見上げ、声を掛けた。

モルグ
「………はぁ。」
「…そうだ。察しが良くて助かるぞ、アラタヨ」

 彼の言う通り、貴方は自分たちが囲まれていることが解る。ヤミオオカミ、エンギウサギ、アラクネ……森に住まうケダモノやその子供たちが、爛々と目を輝かせてよね子を狙っています。

「すまぬな、アラタヨよ。」
「抑えきれたのもここまでだった。」

 風に乗って、鼻に腐臭が届く。貴方は、夥しい量の骸の山が、この付近にあるかもしれないと思い至る。

アラタヨ(擬似餌)
「…なあに、充分だ。」

 言葉少なに返し、合点したように一人頷きました。

「如何にもだ、よね子。ちょっとした馴染みが挨拶に来てくれたのよ」

 よね子に視線を移すと、自身の元に引き寄せました。

「…して、少しばかり面倒な隣獣たちが」
「我々の門出の挨拶に来てくれたらしい。」
「少しばかり急ぐ。…少しこのままで…辛抱してくれるか」

 よね子をヒョイと掬い上げました。

よね子
「?」
「す、すまねぇ、むこどのっ」
「荷物…ふやしちまって……」
「辛抱も辛抱! よゆうのよゆうだっ!」
「このよね子にかかればーっ!」

モルグ
「……この先に征くと…そう、言うのだな、アラタヨよ。…解っていた、貴様が歩みを止めるような輩ではないと。」
 
 ザワっと、空気が一変する

「私は、数には逆らえん。・…そしてまた、みな、本能には逆らえん」

 その言葉を最期に、

魑魅魍魎の類
「「「「「ガァガアアウゥゥゥァアア!!!」」」」」

 ケダモノ達が我先にと襲い掛かってくる。

モルグ
「然らば、これを上手く使え、アラタヨ」

 モルグがバサリッと翼を羽ばたかせると、森の至る所で、強烈な光を伴う爆発が起きる。

よね子
「わわ!? なんだ!? お祭りかぁー!?」
「どんちゃん騒ぎって奴だなっ!むこどのっ!」

 小脇に抱えられながら、ピコピコと愉し気に踊る

アラタヨ(擬似餌)
「礼をいう、モルグや。」

 まぁ、うまくやるさ…と、悠長に返し

「はは。そうだな、盛大に見送りしてくれているようだ。良きかな、良きかな」

 魑魅魍魎が迫り来る中、努めて朗らかに声をあげました。彼女の目が見えなくて良かった、と。…はじめて、強く、思いました。

モルグ
 コクリと一つ頷くと、モルグは彼方へと飛び去る。夜が彼の独壇場。…しかし、今は日中。出来る限りの事をしてくれたのでしょう。

ーーー
 さて、餅を入れた大きな重い臼を背負ったまま、小脇によね子を抱えたまま、貴方は、この危機を脱することはできるでしょうか。試練を開始します。以下から貴方の好きなほうを選んで実行してください。

●試練『イ:ケダモノ達を蹴散らす』
・権能:【暴虐】
・難度:2

●試練『ロ:ケダモノ達から逃げる』
・権能:【狡猾】
・難度:2

▼波乱予言
〈予言:よね子は腕を 1 本なくしました〉
〈予言:裏切り者と扱われました〉
〈予言:あなたは深い傷を負いました〉
〈予言:その手は届きませんでした〉

PLつぎの
【試練『イ:ケダモノ達を蹴散らす』】を選択します!
どんちゃんしていこーぜっ!の精神でっ

マスター
 うぉぉぉおあああ!!いいぇえええ!!それでは……行こうか!! まずは1巡目だ!!

アラタヨ
いぇあ!レッツ!【ベースロール】!!!!
2d6 ベースロール (2D6) > 6[1,5] > 6

マスター いいぞ! 半分以上だ!! 

アラタヨ おし!ではでは
《ずる賢い獣》を使用。
★〈特技予言:他者の成果を横取りしました 〉を得て、振り足します。

マスター おぉおお!!おけ!! では! どうぞお!!! 

アラタヨ いざっ!
2d6 [特技B]使用(ナンバー3、4) (2D6) > 7[4,3] > 7

マスター おぉおお!! 越えた!!!
さて、どうしましょうかっ! 達成か、波乱か!

アラタヨ 「達成」にしますっ!

マスター 了解!! それでは! 2巡目に入って行こう! 

アラタヨ
はぁい!ワンモア★【ベースロール】!!!
2d6 ベースロール (2D6) > 10[4,6] > 10

マスター
 !??!?!?!?!??!?!あやあああああ!!!!!やりおおおおるるるるるうるるるるう

アラタヨ わぁい

マスター
 振りたしで、クリティカルを狙っていくか、このまま普通に達成にするか、どないしましょうね!

アラタヨ クリティカル狙いもアリか…!(悩)

マスター ね、なやむよねえぇ

アラタヨ …普通に〈特技予言〉欲しさに振り足してもよかですかっ!

マスター おkだよ! ここを越えれば、後は難易度1だからね!

アラタヨ あざす!ではでは
《堕天の灯火》を使用。
★〈特技予言:強い光が闇を消し去りました〉を得て、振り足します。

マスター うぉぉぉお!!! りょうかい!! それではどうぞお!! 

アラタヨ いざ!
1d6 [特技C]使用(ナンバー1、2) (1D6) > 6

マスター
いいおおんおのぞぞぞ????!!さて、達成にしまするかの~!?ダイスが跳ねはねだぜぇ!!

アラタヨ しますん!(騒ぐ気満々じゃん!

マスター
では、達成を選択したことで
難易度の回数、2に到達しました。
よって、試練は栄光の門へと至ります。

おめでとう!達成だああ!!! それでは! 描写に移っていきましょうかっ!

PLつぎの はぁいっ!

マスター 目いっぱい暴れろっぉぉ!!

ーーーー

魑魅魍魎の類
『?!』

 多くのケダモノが、数多の破裂音に驚愕し、足を止める中

『ギギギ…あんなモノは猫だまし…!!寄越せェ! 貴様にはァ! 勿体なき魂ジャァ!!』

 有象無象を抜けて、飛び出すはヤミオオカミの一派だ。器用に耳を畳んで、爆音を凌いだらしい。

『貴様諸共! 喰らってくれる!!』

アラタヨ(擬似餌)
「ははは。そうか、そうか。」

 のほほんと微笑み、迫る獣たちに背を向けるどころか、立ち向かう素振りも見せず、手近な岩にゆったりと腰を下ろしたのです。

「そんなに喰らいたいなら。───くれてやろうぞ。」
 
 迎え入れるように、手を伸ばしました。

魑魅魍魎の類
『……グル…』

 全力疾走の中、ヤミオオカミ達は嗤う。彼我の距離がそれなりの所で、彼らは一斉に”跳ぶ”。そのまま正面から突っ切って飛んでくる個体と、巧妙に影に飛び込んだ個体がいるようだ。

『お望みドオリにしてやる!!!』

 貴方の四方八方から、ヤミオオカミが飛び出すーー

アラタヨ(擬似餌)
 哀れ、無力なキツネヴィと盲目の少女は、獣たちの歯牙にかけられてしまいました。おしまい。
 …と、なる筈でした。

 魑魅魍魎たちの中では、牙が到達しようとした、その時でした。
 
 ────パチンッッ!!

 岩に腰掛ける宮司の姿が…シャボン玉が弾けるように、瞬間的に消失したのです。空間が煙のように燻ると…獣たちが狙いを定めた位置とは真反対の方角に、アラタヨたちが出現しました。

「おやおや…肴にする、のではなかったのか?」

 目を細め、口元を袖で隠しました。表情はハッキリみえないものの、笑っているのだとわかるでしょう。
 迫れば、消え…間反対に…。また反対に迫れば、消え…間反対に。獣たちは、こんなにも求めているのに、アラタヨたちに触れることができません。

アラタヨ
★〈特技予言:こんなに求めてるのに、触れることができません〉を「実現」します。

魑魅魍魎の類
『!?!?』
『何故だァ!! 何故!!?』

よね子
「はっはっはっ! 宴会はみなでやったらたのしいぞっ!」
「にぎやかだでっ!むこどの~!」

アラタヨ(擬似餌)
「はは。そうだな、我が嫁よ。」

 カラカラと笑い声をあげ、そっと髪を撫でると

「…だが、そろそろ我々はお暇するとしようか。日暮までには村の人々へ挨拶に参りたいのでな。」

よね子
「そうだなっ!むこどのっ!」

マスター
 貴方達は、このお祭りを抜け出す事にした。爆竹の余韻がそろそろ途切れそうだが、急げば、突破は出来るだろうーー

よね子
「いざゆかーんっ!」

 あらぬ方向を指さして、小脇でわたわたと騒ぐのだった

アラタヨ(擬似餌)
「ああ、いざ、いざ行こう」
「よい、せ」

 緩慢に立ち上がると、爆竹の爆音と煙を縫うように駆けました。かの賢者の火種のお陰で、ケダモノの群れの目をかいくぐる事ができました。

「よし、後少しで森を抜けるぞ…」

 前方に、見えてきた光。闇の森の終わり、よね子の故郷…人間たちの住む世界の入口です。出口は目前。そんな確信が、アラタヨの気の糸を少しばかり緩めた……その時でした

よね子
「わぁっ ふぅっ!」

 ガタンッ ゴダンッ 走るリズムに合わせて、よね子がはしゃぐ。

魑魅魍魎の類
「………」

 森の出口からほど近くに、それはあった。じめじめとした木陰に密集する菌類、ギノゴの生息地だった。

よね子
「?」スンスン……
「なんか美味しそうな匂いが……」
「…っは……っはっ!!」
「ックショイ!!!!」
「はっ!」

 そしてよね子は思い出す。 稲荷ずしの具材採集の折に、ギノゴなる輩に涙腺をぐちゃぐちゃにされたことをーー

「むこどのーー!!! ックシュイ!!!や、奴らがいるぞーっ!!! 奴らはっ! お祭りにいらなーーいッ!!」

アラタヨ(擬似餌)
「…よね子?」

 くしゃみに一瞬、心配そうに目線をやるも、奴ら という言葉に、頷きました。即座にその意味を理解して

「で、あるならば…ご退場願おうか。」

 片手でキツネの印を結ぶと、一声

「散ッ!」

 周囲に鳴り響く爆音、閃光。遅れて、熱風。強い光が、普く全てを消し去りました。嫁の鼻腔を襲った不届者も、しつこく追い縋る獣たちも、全て、全て、巻き込んで。

アラタヨ
★〈特技予言:強い光が闇を消し去りました〉 〉を「実現」します。

マスター 受理!

 息の乱れも程々に、一人と一匹は、悠然と闇の森を後にする。

よね子
「むこどのっ!」
「楽しいぜんや祭だったなっ」

 小脇でピコピコと動く

アラタヨ(擬似餌)
「ああ、如何にもだ。」
 フッと微笑みながら、周囲の気配を探りました。…きっと、もう大丈夫。

「さ、其方の村に行くとしようか」

 よね子を地面に下ろし、手を引きました。

よね子
「!」
「そうだなっ! きっともうすぐだっ!」

 そして、意気揚々と手を振って、かのつり橋へと、歩みを進めるのであったーー


ーーー

闇の森のイメージ!

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