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【ケダモノオペラ】『小さな花嫁が来た話』【小説風TRPGリプレイ】【完結済】1/9

【まず初めに】
 全9話に渡って連載される本リプレイは、『暗黒童話TRPG-ケダモノオペラ』で遥唯祈様作『小さな花嫁が来た話』のシナリオを遊んだ際のリプレイを小説風に書き換えたものとなります!

(シナリオのURLはこちら!)

 その為、本シナリオのネタバレを多分に含んでおりますので、プレイされる予定の方は、ご注意くださいませ。また、GMやるぜ!という方は、是非参考までに…!(少し改変した所もありますのでご容赦ください。

それでは本編をどうぞ!

ーーー

『場面0:とある村娘との出会い』
概要:とある村娘を家まで送り届ける
舞台:貴方の棲み処の近く

 この世界のどこか“闇の森”――
 永遠を生きるケダモノたちが住むその場所に、深い渓谷を挟んで隣接している小さな村がありました。

 そこでは「キモノ」という不思議な服を着た黒い髪の人間たちが、田畑を耕し、「オダイカンサマ」に「ネング」を納めて暮らしています。

 そんな小さな村から、そう遠くない場所。遠い昔に、人々から存在すら忘れられた社(ヤシロ)があった。
 そこに住まうは、1匹のケダモノーー

『…主人(あるじ)さま…!』
 森奥。人々の信仰が忘れ去られた、その場所で。近隣のケダモノたちにとっては、いつものこと。すっかり馴染みになった呼び声が、風に乗って聞こえて来ます。

アラタヨ(擬似餌)
「…ああ、…まだお戻りになられないようだな」
 主人の消失した事を忘却し、主人がどこか遠くに出かけている…そんな勘違いをした哀れなキツネ。

「………? 童(わらべ)の泣き声?」

 いつものように、あてどなく周囲を散策していましたが、ふと覚えのない音に首を傾げました。

とある村娘
「……ック……ヒック………。……どこ…おとう……? …おとうー!」

 血の滲んだ膝小僧を擦って、か細い声を上げている。村娘は、地味な色の甚平を身に纏っている。あの村の子供の特徴の一つだ。

アラタヨ(擬似餌)
「…! …やれ、迷ったか、人の子や。」

 人の子だ。随分と久しぶりに見た気がする。傍らにしゃがむと、そっと声をかけました。

とある村娘
「……?…ぴかぴか……?!」

 突如として現れた、キラキラと輝いて見える不思議な人影。村娘は驚きではなく、興味を持って返すが、我に返って何が起きたのかを幼稚な言葉使いで説明した。

「あ…そ、そう……まよったの……さんさい?をとりに来てたの、お父と…。けど、あたい、こけておちちゃって……」

アラタヨ(擬似餌)
「ぴか? ……そうか。ならば、俺が村まで送り返しちゃろう。」

 村娘の話を静かに聞き終えると、ややあって一つ頷きました。微かに村娘から漂ってきた土の香り。かぎ覚えがあります。きっと主人の治めていたあの村でしょう。

「…おっと。その前に、だ」

 ちろりと膝小僧を尻目に、左手の人差し指をピンと立てて、いたずらっぽく目を細めました。

「どれ、この老耄がひとつまじないをしてやろうぞ。」

とある村娘
「……!」

 村娘は紡がれる言葉の一つ一つに反応する。ピコピコと切り替わるその表情は、飽きを感じさせない。

「おい、ぼれ? おにい、おいぼれっていう名まえなのか!まじない! まじないー!! おいぼれのっ!まじないー!」

 『送り届ける』という言葉一つで、膝の痛みなど忘れてしまった目の前の村娘は、ニコニコと期待の眼差しを向ける。

「なぁにするの?まじない!」 

アラタヨ(擬似餌)
「(……むぅ。…まあ、良いか。)」

 どう呼ばれようと些事だ。ぽり…と頬を掻いた後、口を開く。

「まあ、見ておれ。見ておれ。」

 村娘の口調に釣られて、歌うように口遊む。すると、立てた人差し指が、ぽう…と蛍のような光を放った。

『…祓いたまえ、清めたまえ
 …神ながら守りたまえ、幸えたまえ
 いなりこんこん 痛いの痛いの、飛んでゆけ』

 人差し指が膝小僧をなぞります。滲んでいた血が止まり、傷が淡雪のように消えていきました。
 そして、村娘を取り巻くように、辺りを小さな光の玉が照らします。あたりはすっかり日が落ち、闇が包んでていましたが、もう足元につまづく事もないでしょう。

とある村娘
「わ…わわーっ! いたくないー?!」

 光の玉に手を伸ばすも、触れられずに、キョトンと首を傾げる。

「おいぼれのっ!まじないっ! すごいなーっ!あるけるぞっ!おいぼれっ!あたいあるける!」

 ピン!と勢いよく立ち上がると、その場でピョンピョンと跳ねた。

「えっと、むらは~・・・」
「…ぁ、あった! あっちの方っ! いくぞ、おいぼれー!」

 今は既に黄昏時。村娘は、空を見上げ、明星を探し当てると、問答無用で、貴方の手を握った。

アラタヨ(擬似餌)
「…あ、ああ、」

 面食らったように瞬きし、手を握り返しました。

「ゆこう、ゆこう。いざゆこう。」

 久しぶりの誰かの温もり。忘れかけていた温度。口元が僅かに弧を描きました。

マスター
 山中にあって、およそ出会う訳もない2人が、仲良く手を繋いで、人里を目指す。やがて、幾つかの火がちらほらと見え始める。火とは、ヒトの生活の証。
 つまりーー

とある村娘
「あっ! おいぼれっ! あそこっ! あたいのむらだぞ!」

アラタヨ(擬似餌)
「…そうか。 そなたの住処は何処だ? そこまで送り届けちゃろう。」

 胸中を通る隙間風。一瞬、名残惜しそうに手を握ってから、再び、歩みを進めるのでした。

とある村娘
「すみかっ! それなら……」

 村まで後10mといった所で、幾つかの必死な声が聞こえる。

とある農夫
『よね子―!! 何処だー!!』

とある村娘
「あそこだっ! そしてこれはおとうの声っ! おとうー!! あたいはココだ~~~~~!!」

アラタヨ(擬似餌)
「……………」

 寂しさと安堵の入り混じった吐息を漏らし、そっと、繋いでいた手を離しました。村娘の頭に手を置くと、優しくポンポンと叩いて、囁きます。
促すように、背中を押しました。

「…さ、行っておいで。みなに姿を見せてやるといい。」

とある村娘
「ぁい、そうだなおいぼれっ! あたいをまってるひとがいるーっ!」

 振り向く事も無く、押されるがままに駆け出す。

アラタヨ(擬似餌)
 背後から小さく声なき声が聞こえてくるでしょう。
『さらばだ、人の子や。二度と会う事も無いだろう。』

とある農夫
「!! よね子!! どっこほっつきあるいっとったんだぁ!!」

とある村娘
「グエッ! いたっ おとうっ いたっ つよすぎるっ」

とある農夫
「ひとりで帰って来たのか!? 何て危険な…!! 山で迷ったら朝になるまで隠れてじっとしてろって言っただろうが!?」

とある村娘
「?」 村娘はポカンと首を傾げる。
「ひとりじゃねぇぞ、おとう! ほら、あそこに!」

 振り返って、妙に煌びやかな、優しい”おいぼれ”がいた場所を指さす。

「…あれ?…あれー!?いない!おいぼれがいないー!?」

とある農夫
「なぁにいっとんだ!あふぉたれっ!! 嘘つく暇があったら!今日はさっさと寝ろっ!」

とある村娘
「アイター!!……あれ……? ……うまい飯のひとつやふたつ…いっしょにたべたかったのに………どこいっちまっただかぁ……?」

 キョロキョロと見渡すも、その姿は見つけられず、がっくりと肩を落とした。

PLつぎの
 肩を落とし、俯く少女の視界端に…キラリと光るものが見えました。ハッと顔を上げれば、今しがた指をさした方角…
 ”おいぼれ”と歩いて来た道が、ポツポツと微かに光っているのです。目を凝らしてやっと見えるくらい仄かな光は、指摘されたとて、見つけられるものではないでしょう。
 たった今さっき、”おいぼれ”と歩いて来た少女一人を除いて…

 遠くから、コンと寂しそうな狐の鳴き声が聞こえました。

とある村娘
「ホァ!! ほらっ!聞こえただろおとうー!?」

とある農夫
「…………。 …ほら、たったと寝た寝た。 そんな嘘ばっかりついてっと…えんま様に舌抜かれるぞぉぉぉ……」

 ドロロロロ・・・そんな音が漂う表情で娘を脅す。

とある村娘
「ぎゃぴ! それはいやだぞおとう!!」
 担がれた小さな村娘は、父の肩の上で呟く

「…あんがとな、おいぼれっ」

 こうして、”おいぼれ”と村娘は出会い、別れる。それから、少しの時が経ち……

次回に続くッ!

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 初めの自己紹介などなどは、下に回しましたっ!キャラシの情報が気になる方は、是非お読みになってください!

マスター
 ようこそ!今日から、小さな花嫁が来た話、始めていきまする!まずはッ! 自己紹介から参りましょうかッ!先にどちらが自己紹介するかーー 1私
 1d2 アラヨットォ!!! (1D2) > 2
 ってなわけでPLとPCの自己紹介、つぎのさんからお願いしますねい!

PLつぎの
はーいっ!PLを務める「つぎの」ですっ
久しぶりのケダオペPL、がんばりま〜すっ
久しぶりのしょーちゃんさん卓だっ!楽しみきりますそうしますっ!
で、PCですが、データをペタリっ
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【ケダモノ名】アラタヨ
【ケダモノ種】キツネヴィ
【権能】慈愛(他者の心を理解し、利用する交渉力。また医療などの癒す力。)
【欲望】奉仕(誰かに尽くすことを喜びとしており、頼りにされるのを待っている)

【擬似餌の姿】"狐憑き"
 普段は「中性的な見目の宮司(神主さん)」の姿。老若男女から器物まで様々なモノに化けられる。うっかり耳と尻尾が出ることも……
 正体を見抜く目を持つ者が見れば、宮司の影が時折、キツネの形に見えるかもしれない。

【住処】"打ち棄てられたヤシロ"
「夢が流れ着く岸辺」に在る。
 人々の信仰が忘れ去られた場所。今や、そこに社があった事すら、誰も覚えていない…

【弱点】
・尾に水をかけられること
 弱点の影響:超常の力が失われる(乾けば元に戻る)
・いなり寿司
 弱点の影響:気を取られ、目で追ってしまう

《伝説》"永劫の別れ"
 「とある神さま」に仕えていましたが、人々の信仰を失い、神さまは死んでしまいました。主人(あるじ)の死を受け入れられず、打ち捨てられた社に居座り続けています。

《伝説》"人身御供(ヒトミゴクウ)"
 実は、元人間です。ムラの日照りと不作を鎮める為、とある「儀式」によって、神に供物として捧げられました。
 幸か不幸か、神に気に入られ、生きながらにして神の使い(ケダモノ)となりました。当人は、すっかりその事を忘れています。
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可惜夜(アラタヨ)
 明けて欲しくないほど素敵な夜 という名前の稲荷空狐(イナリクウコ/三千年以上の年を重ねており、神通力が使える妖狐の事)です。

アラタヨ(擬似餌)
 「主人(あるじ)さま」を失った神の使い。主人(あるじ)の死(消失)を受け入れられず、打ち捨てられた社に居座り続けています。
 かつて、よね子の住む村一帯の土地を治める主人(あるじ)に仕えていましたが、数百年前の「とある事件」で、社は打ち捨てられ、力の殆どを失っています。
 シナリオ開始時点、危うく消失しかけていたところで、農夫の声を聞きつけました。何の偶然か…よね子が、別れた『主人(あるじ)さま』と瓜二つだった為、驚愕することになる…

『迷い込んだか、人の子や。村まで送りかえしちゃろう。』

 以上ですっ 宜しくお願いします〜

マスター
 うおぉぉおお!!シナリオに寄せて下さるその心意気…!!ありがてぇ!!キツネヴィという事で…オペラとか…色々気になって仕方がないぜ……!どうぞ最後までよろしくお願いしますッ!では私、行きます!!

 マスターを務めます、しょーちゃんです~!
 ケダモノオペラのPLは数回…そして今回マスターに初挑戦という事で……!!色々と未知数な事が多すぎて、てんわやわんやする可能性がありますが、その時の合言葉を先に決めておきましょう。
『TT(タイムテーブル)、あいつはこの先の戦いについてこれそうもない』
……ちゃんと収める様に頑張ります。()色々とデータ面で聞く事があるかも…しれません!その時はどうかよしなに!!

ーーー

 そして今回のお話は…ケダモノの貴方のところに、ちんまい娘が嫁入りで飛び込みます!! という本シナリオッ!

 和風で、民話で、結婚生活!

 いいよね!ロマンだ、ロマン。よね子さんの紹介は...本編が始まってからのお楽しみ、という事でどうか一つ。では!改めまして…!!

ケダモノオペラ
遥 唯祈 様作 『小さな花嫁が来た話』
開幕です! よろしくお願いします~~!!!

PLつぎの うぉぉぉぉ!宜しくお願いしますっ!

セッションに使った背景 すごく森!

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