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シンデレラ労働者

こんばんは俵省太郎です

最近ずっと考えていたんですが、『シンデレラ』って悲しい教訓を秘めたお話しだと思うんです。

私の今の年齢になっての解釈なんですが、
きっと物語の作者はこう言いたかったんだと思います。

如何に真面目に生きていようと、貧しく、みすぼらしく、人に蔑まされている人間は、魔法でもない限り幸せにはなれない

という想いが伝わってくるのです。

もっと穿った見方をすると、

「薄汚れた屋根裏に住み、継母らに虐められ、綺麗なドレスを買ってもらえなくても、不満も言わず慎ましやかに暮らしていれば、そのうちきっと幸運が訪れる、、とは言ってみたけど、まあ現実では凡そ無理でしょうから、魔法使いを登場させた」

とも、お話しの内容から感じてしまい、

さらに穿った見方をすると、

「貧乏人を喜ばせつつ儲かるエンタメ物語ってないかな」
え?
「ずっと不景気でさ、不満の塊って顔してる市民が多いし、世間のガス抜きってやつでね。特に口うるさい女に向けて」
この間考えたこれなんてどうかな?
「何だこれ、魔法使いにかぼちゃの馬車、12時に魔法が解ける?」
先週舞踏会に貸衣装で紛れ込んだ貧民街の女の子を見て思いついたんだ
「こりゃいい、傑作。今の時代にお似合いの話だな」
主人公は活発なおてんば町娘にしようと思うんだけど
「いや、思いっきりみすぼらしい女がいい。薄汚れた服を着て、まともな家族もいないような。それでいて従順で耐え忍ぶ、控えめな女だ」
なるほど


シンデレラ労働者

申し上げにくいのですが、私はシンデレラの気持ちになって日々働いています。シンデレラ労働とでも言いましょうか。

壁の薄い賃貸アパート、大家に割高い家賃を毎月納め、職場では長時間拘束され、こき使われ、お客の横柄な態度にも笑顔を忘れてはならないという奴隷のような毎日。

給料も、給料と呼べる代物ではなく、大人1人がギリギリ生きていける程度の最低時給の低収入。
親兄弟親戚世間一般からの蔑んだ視線を受け続け、4年前にプラザトキワで買った襟よれポロシャツでは洒落た舞踏会にも出席できないでしょう。

ですが、私は希望を忘れません。不平不満も言わず真面目にコツコツと毎月週5で働いていれば、いずれは魔法使いによる便利魔法の力が足掛かりになり、何処かから大金が転がり込んで、埼玉の左上辺りに大豪邸を建て、SNSで掻き集めた偽知人に囲まれ毎日飲めや歌えのパーティー三昧。

職場には迷惑料として五百万相当の真珠をバラ撒き退職。
神奈川の汚めの浜辺を貸し切ったら、SNSで搔き集めた偽知人らに下劣極まりない乱痴気騒ぎをさせ、その様子を素敵なホテルの最上階から手振れ補正付き高級双眼鏡で眺める至福のひと時を過ごしたい、

という、ささやかな夢を胸にしまい、毎晩涙で600円の安枕を濡らすのです。

そんな折、気付いたんです。

シンデレラという物語には親切な魔法使いが出てきて魔法によって幸運をもたらしてくれるのですが、私の住む現実世界の東京都練馬区には魔法使いといった類いのファンタジックな登場人物は現れないと思うんです。
現れないと思うんです、というより、100%何処にもいないんです、かぼちゃを馬車に変えてネズミを白馬にする魔法使いは。

そこでピンときたんです。

冒頭にも申し上げましたが、もしかしたら、シンデレラという物語の教訓は、

「あなたのような不幸な貧乏人は、魔法使いが現れて魔法にかけられでもしない限り幸せにはなれないのでございます」

なんじゃないかと。

「コツコツと真面目に黙って働いていても、魔法使いがいないと、残念ながら婚活パーティにも参加できないし、マッチングアプリでハジかれ続けることになります」

「やっぱり貴方みたいな貧乏でみすぼらしい人間が素敵なお相手とお近付きになるには、せめて魔法使いに魔法をかけてもらわないと無理なんじゃない?いませんけど魔法使い、絶対にいませんけど、じゃ、頑張って」

という絶望に向き合うお話しだと気付いてしまったんです。

しかしです、私は魔法使いの存在しない、現実世界のシンデレラで良かったと思っているんです。

だって現実世界には、貧しい48歳のオジさん27歳の年頃女性結婚できてしまうという、素敵な物語が存在しているのですもの。そうなのだもの。
素敵なのだのだもの。
長ったらしいおのろけだのなのだもの。

めでたしめでたし


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