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【米国】見えてきたトランプ陣営の戦略

SHO+XENONです。

いきなりぶっ飛ばしていきます。

テキサス州、不正4州を提訴

 テキサス州が、ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ジョージア州のいわゆる激戦州4州を、選挙手続きが合衆国憲法に違反しているとして提訴しました。

 ツイートしているのは、ケイリー・マケナニー報道官。「あなたたちメディアが真相の追及を行わないから、我々がやっている」と会見で言っていた方ですね。この方が訴状を添付してツイートしているということは、つまり政権側の公式声明(≠フェイク・デマ)となります。

さらに参戦州続々、原告は10州に

 さらにこの訴訟には9州が続々と参入しています。具体的には、

ミズーリ州
ケンタッキー州
ルイジアナ州
ミシシッピ州
サウスカロライナ州
サウスダコタ州
アラバマ州
アーカンソー州
フロリダ州


の9州。これらがテキサス州と共に、4州を告訴する側に立つことになっています。厳格に憲法や法律に従って選挙を行った自負があり、それをないがしろにしていると見える被告4州に対して思うところがあったのでしょう。

※記事を書いている間にテネシー州も加わったようで、原告が11州になったようです。

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※赤が原告・青が被告となる州

この訴訟が何をもたらすか

 さてこの訴訟、連邦最高裁判所が受理しました。棄却ではなく受理、つまりこの訴状に基づいて審理されることが決まったのです。
 ここでポイントになるのは、第1審の時点から連邦最高裁判所で始まっていることです。州と州同士の訴訟になるため、州地裁や州高裁では裁けず、アメリカ全体を管轄できる連邦最高裁判所でないと審理できないのです。これはつまり、もともとトランプ陣営が目指していた「最高裁判所で勝負する」戦略に当て嵌まっており、面倒臭い途中経過を全て跳ねられることも理由として大きいです。選挙不正を訴える上では、最も近道である手法をとったと言えます。

トランプ&ペンス、直接バイデン&カマラ・ハリスを提訴

 さらに、ドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス大統領が連名で、ジョー・バイデン&カマラ・ハリスを、ウィスコンシン州にて直接起訴するという、「そこまでやるのか」とか「とうとうやったか」とか色んな感想が湧いてくるような状況にもなりました。これが「窮鼠猫を噛む」なのか、それとも「悪を祓う最後の聖戦」なのか、今後の展開を注視したいものです。

これまでの「連戦連敗」は何のためだったのか

 さて、ここに来てこのような訴訟を起こすとなると、これまでの連戦連敗はいったいなんだったのか? 気になるところです。

 当初から言われていたのは、「最初から連邦最高裁判所での戦いを想定していて、面倒な途中経過をショートカットする目的」という話がありました。これに関してはジュリアーニ弁護士がしばしばそのような主張をしています。

 それから、「司法がすでに汚染されているため」という話もあります。これはたまに(ペンシルベニア州などで)そう感じさせるような判決文が出ていたりしました。これに関しては、仮にあったとしても全部ではないように思います。

 そして今回の訴訟で新たに浮上した4つの可能性が、「陽動作戦説」と「段階的波状攻撃説」、「事実の周知説」、そして「さらなる証拠を炙り出すため説」です。

 「陽動作戦説」についてはその名の通り、これまで打ってきた手全て(クラーケンさえも)が、実はこのための布石に過ぎない、あるいは今回の訴訟までの時間を稼ぎつつ目をそらすための陽動であったという説です。これまでの手立てが持てる手の全てであるかのように見せかけて、奥の手を隠し続けていた……というこの説が本当に正しいとしたら、トランプ大統領はまさに勝負師、トランプカード(切り札)の名手と言えるでしょう。

 「段階的波状攻撃説」は、ここまでの攻撃で落ちるならそれまで、そうでないなら段階的により強力かつ強行な方法に移行していくという説です。今までのはあくまで前弾であり、ここから第2弾、第3弾と、さらに破壊力が高い攻撃を加えていくということになります。この場合、今後これを上回るようなさらなる強硬手段を切り札として持っていることになります。

 「事実の周知説」は、これまでやってきたことが実は「不正の存在を広く周知させ、世論を味方につけるため」という説です。これについては特に公聴会が効果的に働いているように思います。そして、充分に世論の風向きが変わってきたタイミングで、強力な隠し弾をぶっ放す、という作戦なのでしょう。

 「さらなる証拠を炙り出すため」という説は、時間が経つことによって明らかになる新たなる証拠を押さえるための時間稼ぎという側面と、例えば「証拠隠滅を図ろうとする動きそのもの」を現行犯的証拠として捉えるため、敢えて泳がせておこうという側面などが挙げられます。シドニー・パウエル弁護士は「現在も偽の票が国外から流入し続けているのを確認している」と述べています。これも、時間を追うごとに新たに蓄積されていく証拠の一種であり、これらをさらに固めて新たな武器として使うためでもあるのでしょう。

 どの説が正しいのでしょうか? その答えはきっと、時と共に明らかになっていくと思いますが、私は「全部」だと思っています。一つの理由ではなく、これら全ての理由を含んだ総合的な理由で現在の戦略を組み立てており、連戦連敗なのも含めて全て計算通りで動いているように思っています。後から慌てて戦術を切り替えているように見えず、用意周到に仕組んでいたものを順番に繰り出しているように思えるのが根拠です。

何故いきなり最強の手を打たないのか

 ここにきて様々なところから言われていることとして、例えばリン・ウッド弁護士やマイク・フリン退役中将が勧めているという「戒厳令」のような強力な手段を最初から使えば良いのではないか、という話もあります。
 ただ、これをトランプ大統領は望んでいないように思います。トランプ大統領としてはやはり、少しでも「自分が負けたくないがために強硬手段を使った」とは思われたくないのでしょう。正義の信念を持っている自負があるでしょうし、本来なら自分が勝っていると確信している以上、そう思われるようなことは負けることよりも恥じることかも知れません。勝利者であり、その勝利を正当な理由と正当な方法で取り返す、そういう立場であり続けようとしているように思います。ですから、戒厳令のような手段は本当に最終手段にとっておいて、それまでは正攻法で攻めつつ、周知徹底に努め、アメリカ国内の団結を強めようとしているのだと思います。

トランプ大統領再選までの道のりとその後

 さて、ここにきて俄然トランプ大統領の勝利の可能性がグッと上がってきました。なぜなら、係争中の州からは選挙人を出せないからです。選挙人選挙によって過半数の票を得た人が次の大統領になるというルールになっています。

 現在被告となっている州はいずれも「バイデン勝利」となっています。この4州から選挙人が出ないと、仮に他のバイデン州の選挙人が全員バイデンに投じたとしても、票数が過半数を超えることはあり得ません。もちろんトランプ大統領側も超えることはないのですが、1番多い人が大統領になるのではなく、過半数を上回った人が大統領になるルールですので、選挙人選挙では大統領が選ばれないということになるのです。

 選挙人選挙で決まるパターンがあるとすれば、投票日までに審理に片がつき、州議会が選挙人を選出する場合です。この場合、4州の議会は全て共和党=トランプ側が優位ですので、トランプ大統領に票を投じる選挙人が選ばれる可能性が高いです。仮にこの4州全てにおいてトランプ大統領側に選挙人の票が投じられた場合、トランプ大統領は過半数を獲得し、大統領再任となります。

 選挙人選挙で選ばれなかった場合、1月に入ってから上院下院それぞれで選挙を行い、大統領と副大統領を選出することになります。上院では副大統領を、下院では大統領を選ぶことになります。
 さて、上院の過半数は共和党が押さえる可能性が高いのですが、下院は民主党が過半数を押さえています。ペンス副大統領の再任は心配なさそうですが、このままでは大統領にはトランプは選出されないように思えます。
 ですが、下院の投票は全下院議員によって行われるわけではなく、各州につき1票ずつということになるのです。下院議員は人口の比率によって選挙区が変わるので、大都市からは複数、複数の地方都市から合わせて1人みたいな選ばれ方をしていますが、州ごととなると特に地方都市を押さえている共和党が有利になります。恐らくは半数をやや上回るくらいで共和党が優位に立つので、その場合トランプ大統領の再選となります。

 これまではこれらの話は可能性の中でしか語られていませんでした。しかし、それが実現に近付いているのが分かります。ただ、これを実現させるためにも、1月早々のジョージア州の上院選挙の再投票にて、共和党候補が押さえなければなりません。

中国への制裁は?

 さて、今回の選挙不正に関して、中国が裏で手を引いているという説が実しやかに、というか政府レベルでしばしば言われています。

 恐らくはトランプ陣営はすでにその証拠を数多く掴んでいて、だからこそこのような主張を繰り返すのでしょう。であれば、トランプ再選は、中国への制裁開始への第一歩のようにも思えます。

 この場合はどのような動きになるでしょうか。最近はしばしば「NATO軍による開戦」が噂されています。

 が、この情報は中国からのものであるようで、恐らくは中国が思い描くシナリオがこれなのでしょう。実際中国側は「戦争に備えよ」としているようですし、英国の空母打撃群やフランス海軍などが太平洋方面に向かっているようです。

 私は、NATOによる戦争はあくまでブラフ、ないしは中国側の勝手なシナリオなんじゃないかと思っています。であるなら米国がするのは何かというと、私は経済的にとどめを刺すんじゃないかと思います。やり方は2つで、これまでのような経済制裁で、米国の同盟国が足並みを揃えて制裁というステップに上がっていくというやり方。そしてもう一つは金融制裁です。

 すでに米国内における中国共産党員の資産凍結などを行っており、金融制裁としてはかなり高いレベルを行っているのですが、このレベルをさらに上げることを予想しています。具体的には、「さらなる資産凍結」「為替取引の中止」、さらに「米国債の無効化」が考えられます。特に米国債の無効化は超強力です。

 米国債とはつまり、米国にお金を貸したという証明書です。実はアメリカは、敵国が持つ国債を無効化できるのです。例えば米国債を1000億ドル(約10兆4000億円相当)分購入していたとすると、その国は米国に1000億ドルのお金を貸したことになるわけです。しかし、これが無効化されると、米国は1000億ドルを返済する義務はなくなり、同時に債権国は1000億ドルを失うことになるわけです。で、中国は世界第2位の米国債保有国であり、その額は3月時点で1兆786億ドルにも上ります。もし国債無効化前にこれを売り抜けることができなければ、この資産をまるまる失うことになり、金融的に経済的に大打撃を被ることになります。私は最終的にはこれを行い、中国を根底から弱らせて叩きのめすのではないかと思います。

 さて色々(見ている分には)面白くなってきた米国大統領選挙に端を発したこの大騒ぎ、どうなることでしょうか。
 楽しみな反面、毎回情報を調べるのにも書くのにも気力体力を要するのでそろそろ疲れてきているSHO+XENONでした。

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