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食べる準備としての赤ちゃんの姿勢とハンドリガード。

歯科からみた赤ちゃん育ての要点シリーズ②『離乳開始前』

さて、シリーズ第二弾は離乳開始前の段階です。

授乳以外におさえておくべきポイントをまとめます。
前回書いたように、上顎の成長発育は生後3ヶ月までに大きく変化します。
そうだとすれば、授乳以外に影響を与えそうなのは抱っこと寝姿勢でしょうか。
これについては残念ながらあまりはっきりとした結論を出せる研究は僕は把握していません。
ただ、色々な見解を学ぶ中で僕自身が現在至っている結論は、

「首は死守」
「同じ姿勢で長時間固定しない」

です。

抱っこの姿勢。

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(写真は抱っこの一例であって、これがいいというわけではありません。)
抱っこの姿勢は、そのひとそれぞれ抱きやすいかたちがあると思いますが、頭が後ろにのけぞるような姿勢にならないようにだけは注意してあげてください。
頭が後ろに落ちた姿勢だと、筋肉が凝るだけでなく、まだやわらかい首に大きな負担をかけてしまいます。
なのでどんな抱き方でも首だけは死守、です。

抱っこ紐やベビーカーも便利ですからもちろん使って良いです。
ただし、長時間赤ちゃんを同じ姿勢でいさせることは避けた方がよいでしょう。

同様の理由で、商品名は書きませんがウレタン製のおしりがズボッとはまるアレ。アレもあんまり長時間は使わない方がいいです。

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ましてや食事の時なんて・・・ね。
猫背の姿勢から飲み込み方が歪んでしまうかもしれません。

食事時の姿勢。

せっかく食事時の姿勢の話になりましたので、そのポイントもお伝えしておきます。

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足の裏ぺったん。
膝90°。
腰もまっすぐ。
腕をおろした肘の高さにテーブル。

これが理想的な食事時の椅子の状態です。
足がちゃんと踏ん張れることと、高さが適切であることは、手づかみにせよスプーンで与えるにせよとても重要です。
まぁ最終的にどう座るかは赤ちゃん次第なので親はコントロールできませんが、環境は整えてあげたいですね!

ハンドリガードって?

さて、姿勢の他にもう一つ大事なのが、「ハンドリガード」
赤ちゃんが自分の手に気づいてジッと見つめる、あれです。あの超かわいいしぐさ。
たまりませんね。
もうそのぷくぷくのおててごと食べちゃいたい・・・。
ですが、その手をお口に入れるのは赤ちゃん自身。

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これです。
BLWの記事でも書きましたが、この手指を口に入れたりなんでも舐めたりする行動はとても大切なのです。
「指しゃぶりは歯並びに悪い」という認識があると思いますが、この行動はやめさせてはいけません。
赤ちゃんはこの手指舐めやおもちゃ舐めなどを通して食べるための準備をしているのです。
離乳開始前の指しゃぶりはむしろどんどんさせてあげましょう。

こうした様子が見られたら、「食べる」という目的ではなく、いわゆる「歯固め」として食品を手渡してみることもありです。
BLWのように食べることと直接的に結びつく可能性のある行為としてではなく、むしろ食べられないようにゴボウなど繊維質のものを清潔にして、折れたりして小さな形状になることのないよう固いまま与えます1)。
昆布などで試してもよいでしょう。

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赤ちゃんはハムハムとしゃぶるだけですが、こうした行為を通して食べることの準備をし、味覚も育てることができます。

これは手づかみを主体としようが、スプーンで与えることを主体としようが、いずれにしても「食べる」という行動の前段階として有効であるように思います。

今回の内容は出典が少ないことからもわかるように、あまり科学的根拠が存在しない領域です。
でも知っておいた方がいいし、実践することもさほど大変ではない内容かなと思いますので紹介してみました。
参考になれば嬉しいです!

1) 井上直彦「そしゃく器官の発達と歯科保健」OHブックス 口腔保健協会 1999年.

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