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志望理由書の書き方【自己PR】  

 具体的に志望理由書はどのように書いていけば良いのでしょうか。これには、通常の小論文の要素に何を加えておく必要があるのかということを考えておかなければなりません。



【1】 小論文における段落構成  

 基本的に小論文というのは、(1)仮説、(2)論理展開、(3)結論の3部で構成していきます。課題に対しての自分の意見を1つアピールしていきます。その1つの意見を(1)仮説の段落に端的に表現していきます。そしてその1つのことに対して、なぜそのように考えるのかについて対比や例示のようなテクニックを用いて論理的に説明をしていくわけです。それが(2)論理展開の段落ですね。そしてこれらの論理をまとめるのが(3)結論の段落です。


【2】 志望理由書特有の3要素  

 志望理由書もこれと同じように(1)仮説、(2)論理展開、(3)結論の3部で構成していきます。その流れも通常の小論文とまったく同じです。論理的な文章を書くというのはそういうことだからです。ただし、志望理由書については書く流れがほぼ1つに決まっているといえます。それが、(1)過去、(2)現在、(3)将来3要素です。


【3】 3要素の根拠  

 志望理由書というのは基本的に、志望する学校や就職先に入っていったい何をしていきたいのかという(3)将来の要素を書くのが基本であり、それが目的です。ですから、(1)仮説の段落、及び最終的な(3)結論の段落には、この「将来=この学校・就職先で何をしたいのか」ということについて書いていく必要があります。そして(2)論理展開の段落に、なぜあえてこの学校・就職先を選択するのかという根拠を論理的に説明をしていくわけですね。では「なぜその学校・就職先を選択することになるのか」という根拠はどこにあるのでしょうか。それはもちろん、その人のこれまでの人生、つまりその人の(1)過去にあるでしょう。例えば、過去に大きなケガをして入院をした際に命の大切さを学んだことで医療従事者を目指すことにしたり、過去に見たテレビ番組で海外の貧しい国々の人々を見てボランティアをするためにまずは英語を学ぼうとしたり、というようなことですね。何らかの要因が過去から現在に向けてあり、だからこそその目標のためにその志望先を目指しているということです。そして、(2)現在の自分がいかにその志望先に適しているのか、またどれだけその夢をその目標を今も思い続けているのかという現在の自己分析が必要です。


【4】 志望理由書の構成  

 志望理由書は下図のような構成にしていくべきだといえます。

(1)仮説の段落
   【将来】:志望先で何をしたいのか

(2)論理展開の段落
   <1>【過去】:エピソード・経験・出会い
   <2>【現在】:自分の能力、長所・短所
   <3>【将来】:<1><2>から帰結

(3)結論の段落
   【将来】:論理展開を踏まえて、だからこそ何をしたいのか

 このように志望理由書では基本的に(1)過去、(2)現在があって(3)将来があるというように時系列に並ぶものです。ただ、みなさんはそのような時系列にすぐに並べられるでしょうか。実際にはなかなか難しいことでしょう。なぜなら、先ほどの例のようなわかりやすい経験がある人もなかなかいないでしょうし、なぜかわからないし漠然としているけれどなんとなく将来こうなりたいとか、はたまた将来どうなりたいとかもまだわからないけれど、でもなんとなくここには行きたいんだ、といったような人も少なくないはずです。確かに、例にある過去の大怪我の入院のようにビビビと来るような経験があって、だからこその現在・将来だという論理がクリアに存在していればある程度書きやすいのですが、実際にはなかなかそうもいかないものでしょう。むしろそのような受験生の方が多いかもしれません。


【5】 志望理由書作成のコア  

 ここで必要な作業が「落とし込み」です。本来は(1)過去(2)現在(3)将来という順番で論理があるはずなのですが、今ある程度明らかなのは(3)将来どうしたいのかということだけだとすると、頭の中の思考順序として、(3)将来→(1)過去(2)現在、と「逆算=落とし込み」をしていくわけです。ある意味、無理やりにでも根拠を作っていくということですね。将来の漠然とした目標に対して根拠付けをしていくわけです。そのためにも、その漠然とした将来の目標をしっかりと分析をし、その目標に対する現在あるべき姿、過去のあるべき姿を逆算していきましょう。嘘を書いてはいけませんし、嘘はいつかバレるものですが、逆算は嘘ではありません。脳の中にある莫大な記憶の引き出しをどこから開けて探してみるかを「逆算」するだけで、嘘の記憶を作り出すわけではありません。


【6】 世界に1つだけの志望理由書  

 人それぞれにそれぞれの人生がありますから、この「落とし込み」の作業や内容はやはり1人1人で大きく違います。自分自身を深く分析し、論理的な説得力のある志望理由書を作りあげていきましょう。志望先が求める人物像と自分の将来に対する考え方についてしっかりと分析・吟味し照合していくことで、世界で1つの立派な志望理由書を作成しましょう。この落とし込み作業は、今回の受験だけでなくこれからの人生を歩んでいく上で、きっと大きな財産になるはずです。

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