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論理を表現する技術【小論文の極意】  



【1】 論理展開の考え方  

 論理とは「議論や思考を進める道筋・論法」のことで、論理が最重視される小論文という科目においては、仮説の段落(序論)や結論の段落よりもむしろ、仮説を立ててから結論に至るまでのその過程をいかに表現するのかが重要だといえます。つまり、(1)仮説の段落、(2)論理展開の段落、(3)結論の段落とある中の、(2)論理展開の段落でどのような説明をするのかが重要だということです。ではその論理展開というのはどのようなものなのでしょうか。


【2】 方程式の解き方の流れ  

 例えば以下のように x²-5x+6=0 という方程式を解くとします。

《 解答用紙 》
  x²-5x+6=0
  x=2,3

 確かにこの答えは正しいですし、真実ではあります。しかし、方程式をそれまでにたくさん解いて、この答えを暗記してしまっているような人にとっては当たり前の事実かもしれませんが、一般的には、x²-5x+6=0 という式に対して、急に x=2,3 と言われても何がなんだかわかりません。これは論理的に飛躍してしまっているからです。

 つまり、なぜ x=2,3 という結論に至るのかを順に説明していかなければなりません。それがまさに論理というものなのです。その論理はきっちりと解答用紙に表現する必要があるのです。

 したがって、正しい解答としては、

《 解答用紙 》
  x²-5x+6=0
  ( xー2 )( xー3 )=0
  xー2 =0 , xー3 =0
  x=2,3

とすべきだと言えます。この途中の2つの式というのが、論理の展開です。したがって、無理のない正しい論理展開というのは、論理的飛躍がないということなのです。


【3】 論理的飛躍がない状態を作る  

 小論文試験では、読み手というのは専門家であることが多いはずですから、前者の解答用紙のような答え方でも読み手はもちろん理解できるはずです。しかし、小論文試験というのは、どのように論理展開を表現できるのかが大切なのですから、前者のように解答すると、「論理的に飛躍している=論理というものがわかっていない」と試験官に誤解されて得点を失ってしまうかもしれません。したがって、後者のようにしつこすぎるぐらいに論理を展開していった方がいいでしょう。ただし、問題によっては文字制限があったりしますから、文字制限などがある場合には、例でいう「x-2=0,x-3=0」の部分をはずすというように、論理の飛躍が極力ないような工夫をする必要があります。

 つまり、極端にいえば、主張部分が一般的には好ましくないと思われるような内容であったとしても、その結論に至るまでの論理展開がしっかりしていれば、小論文としては満点というわけです。


【4】 戦争=絶対悪?  

 例えば「戦争は必要かどうかについて論じなさい」という課題が出題されたとします。もちろんみなさんは「戦争はよくないことである。」という答えが当たり前であって、その結論に向けてどのように論理展開しようかと考えるでしょう。戦争は多くの尊い命を犠牲にする、戦争をやっても何の解決にもならない、というような様々な論拠や例示、対比などを使って論理展開していくでしょう。

 しかし、別に「戦争賛成」という常識外れと一般に思われるような主張であったとしても、戦争をすることで戦争をしなかった場合の死者数よりも少ない死者数で抑えることができる、悪を根絶してその地に平和をもたらすためには戦争をした方がよい、などというように戦争賛成という結論に至るまでの論理を展開していければ、結論が一般的には非常識とも思われるようなものであったとしても小論文では問題はありません。もちろんその考え方自体が採点者にとって受け入れられるものかどうかにもよりますが、少なくとも「戦争」という言葉が出た瞬間に論点が消える、すなわち「戦争はよくない」以外に答えはないんだ!ということにはならないということです。例え主張部分が一般的に好ましくない事であっても、論理展開がしっかりしていれば小論文としては問題がないということなのです。


【5】 読み手が納得できる展開  

 自分の主張、あるいは自分が書きやすい主張をもとに、読み手に納得してもらえるようなしっかりした論理展開をすることが最も大切だということを念頭において文章を書いていくようにしましょう。例え読み手が自分自身とは正反対の意見を持っていたとしても、論理展開がしっかりとしていれば、その理論に対して納得することはできます。論点が存在する以上、人それぞれに意見があって、それぞれに長所・短所が存在するものですから、反対の意見を持っている人にある程度納得してもらえるような文章が書けるということは、論文としては立派な文章だといえるということです。

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