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雨時計と森と男たち 第3話

初めて絵本を書いたのは岸田の部屋のリビングのソファの上だった。
おかしな時間に起きた僕はなんとなく目の前のテーブルにあったノートの端にある国の夫婦の話を書いた。そのストーリーにイラストを付けたものが僕の処女作だ。

それから何人かの友だちの家のカウチソファを渡り歩き、夜になるとストーリーを考えイラストを添えていった。

夜に生まれた絵本が20冊を越えたあたりで当時付き合ってたガールフレンドの友達が勤めていた小さな出版社からほとんど自費出版といったカタチで1冊の絵本が発売された。

その絵本はもちろん話題になることはなかったがそれまでにお世話になった(あたたかくカウチソファをかしてくれた)友だち達の本棚にそっと並べられた。

僕は出版社に勤めていたガールフレンドの友達と寝たことが原因で当時付き合ってたガールフレンドと別れた。絵本はその後も(自分の部屋で)書き続けている。

【今分かっていること】絵本は夜に生まれる。絵本は1人で作られている。




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