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「GIGAスクール構想による教育効果を感じている親は約4割」という結果は妥当で事実として受験レベルの教育効果は低い、だがGIGAには賛成


GIGAスクールの教育効果に関するアンケート

コロナ禍によるGIGAスクール構想の前倒しから4年、中高では一回りしたこともあり、その教育効果に関して考察が方々でなされています。

その話題に関わるアンケートの結果がWEB上に上がっていました。

記事によると一人一台端末などGIGAスクール構想に関わる教育効果を感じている保護者は約4割である、ということです。

言い換えれば、保護者の半数以上は効果を感じていないということになります。

では実際にどの程度の教育効果が上がっているのでしょうか。

定量的な効果検証

この点に関して、文科省は効果検証の手引書を出しています。

この検証を見る限りでは意欲などに関して大きく効果が高く、市販テストの結果も有意であるという結果が出ています。一方で中学校の社会においては結果がマイナスになっており、知識獲得レベルにおいてはやや落ちる可能性が見られるようです。(正確な分析はなされていない)

またこれはあくまでも公立の小中学校における学習レベルであり、例えば受験における中堅や難関大学での受験に関しては考察がなされておらず、受験指導に関しては未知数となっています。

またICTスキルに関しては当然ながらGIGA整備後の方が大きく効果を上げています。

従来型の学力とGIGA

これはあくまでも個人的な感想と成績推移からの推測ですが、ここ数年の状況を見る限りでは従来型のペーパー試験に関して、大学入試レベルの内容では学力向上の効果は直接的にはほとんどないように感じています。

もちろん意欲が向上した生徒なども存在しますが、果たしてそれが学力に結びついたかというとはなはだ疑問です。

大学受験レベルの学習においては、内容理解ももちろん重要なのですが、それ以上にインプットが求められます。そしてインプット学習において大半は自分で問題を解く、暗記するという作業が求められます。

これらは残念ながらタブレットを用いたとしても効率化が大幅に図れるという類のものではなく、ペンとノートとを比較しても現状のICTデバイスが大きな学力向上効果があるかというと疑問です。

おそらくですが、大学で学ぶような幅広い内容、かつレポートや自身の考察などを試験とする場合はiPad+Goodnote6などで資料をノートにまとめる学習方法は非常に効果が高いでしょう。そのようなひとまとめになった市販教材が存在しないこともあるからです。

一方で大学受験の場合、受験産業自体がガラパゴス化したことで市販教材が異様な進化を遂げており、個人が作成するよりもはるかにクォリティの高いものがすでに存在し、ノートまとめ行為が車輪の再発明になりがちです。

また、動画教材に関しても見直しができるなどの効果がある一方で、集中力を欠きやすいなどのデメリットもあり、あくまでもリアル授業との併用が効果が高いようです。

NEXT GIGA

現在、NEXT GIGA構想が進みつつあります。これはGIGA端末の普及から数年が経ち、設備が古くなったりしたものを更新しようという計画です。

特に最初のGIGAに関してはコロナ禍の混乱の中での実施ともなり、粗悪な端末を配布するなどの事例もあったようです。

これは顕著な例ですが、OSや通信環境の規格の更新などICT機器は一度導入すれば半永久的に使えるものではないからです。したがって、GIGAスクール構想は永続的にコストがかかる体質になることを意味するわけです。
(つまり補助金目当ての業者が群がる可能性もあるわけですが)

だが、GIGA賛成

しかしそうであってさえも、GIGAスクール、NEXT GIGAを推進すべきであると私は考えています。なぜならばICT機器の導入は圧倒的な利便性を持つからです。

そもそも生徒は数年後にはICT機器を日常的に業務に利用する場に放り込まれます。どうしてその状況の中で原始的なやり方のみを学校で行うことに必然性があるでしょうか。

今後、設備の更新とその費用負担に関しておそらくマスコミや庶民の味方を騙る人たちから批判が増加することでしょう。

そうした人たちの狭い見識に惑わされずに、設備の維持、更新が滞りなく行われることを願いたいところです。


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